早稲田大学ウリ稲門会

在日コリアンOB・OGのためのオフィシャルブログ

母校ラグビー部優勝の感想

2008-01-15 09:56:36 | 連載コラム

李  宇 海
 ラグビーの大学選手権も慶応に勝って優勝し,六大学野球と箱根駅伝の往路での優勝とあわせて,「所沢スポーツ大学」と揶揄されている。
 自分の学生時代にも野球やラグビーは時々優勝していたのだろうけど,はっきりは思い出せない。学生スポーツというのは今より地味だっだと記憶している。もっとも,学生スポーツが派手だったら良くないわけではないし(本当は良くないように思うが,そう思う理由は自分でも明らかでない),テレビで観ていると早稲田を応援してしまい,勝つと少しはうれしい。
 しかし,卓球の,あの「愛ちゃん」という人は,見ていて不愉快を感じるわけでもないのに,なぜか別に応援したくはならない(ゴルフの「ハニカミ王子」とかいうのには不愉快を感じる。早稲田とは関係ないが)。同じ個人競技のマラソンでも金哲彦学兄は無論応援したが,これは在日同胞だからそうしただけで,瀬古選手を応援したことはない。早大生の「かたまり」を見ないと,かつて通った大学への帰属意識が刺激されないのである。
南北・在日を問わず,コリアンのスポーツ選手については個人でも団体でも本能的に応援するのに,早稲田については団体競技にだけ感情移入することになるのには,いわば愛族精神と愛校精神の違いの秘密が隠れているように思う(大袈裟だが)。
換言すると,私達がよく使う,「同胞」という言葉の秘密があるんだろうと思える。民族は,生まれながらに自分が投げ込まれている場所であって,同じ場所に投げ込まれてしまった者がたった一人でも闘うのを見ると,どんな気持で闘っているのかが分かる気がする。「同胞」とはそういうものとして,私達に認識されているのだろう。一方,「愛ちゃん」を見ても,「愛ちゃん」が闘っている気持はちっとも分かった気にはならないのである(健気-けなげ-だとは思うが,そんなに必死に卓球をやらなくても,ほかになんとか生きていけるんじゃないかと思う)。
だからとて,愛族精神が気高くて,愛校精神はそうでもないと言いたいわけではない。篠つく雨の国立競技場で慶応と闘った早稲田のラグビー部員達は,勝って泣いていたが(勿論,慶応の部員達は,負けてもっと泣いていた),観ている自分はそこまでは感激しない。どの民族のナショナリズムも,「泣くほどのことはないが応援する」という愛校精神のレベルにまで解かれていく方が,良いと思う。
勿論,「愛ちゃん」を泣くほど応援する在日同胞がいても良いと思う。
                               



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2 コメント

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所沢スポーツ大学 (朴 魯善)
2008-01-20 09:35:56
サッカーでもひっそりと大学日本一になっています。夏の日、高麗大学との交流戦を観戦したあのチームです。ラグビー同様、決勝の相手、法政を打ちのめしたようです。確か4年前には3部リーグにまで落ちていたはずです。マスコミに大きく取り上げられませんが、すごいことですよ。元日本代表のOB大榎に監督を頼んだのが成功しました。
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コラムへの感想 (S)
2008-02-16 01:29:41
「健気-けなげ-だとは思うが,そんなに必死に卓球をやらなくても,ほかになんとか生きていけるんじゃないかと思う」

「ほかに何とか生きていけるんじゃないか・・・」と云う発想、一瞬眼が点になり、ちょっと動転して、最後にかなり笑ってしまいました。
やりたくてたまらない事がある、それをやっている、それで認められている・・・これ以上の満ち足りた人生ってあるだろうか。必死に何かをやっている姿って、私にはとても美しく思えるのだけれど。。。でも、愛ちゃんが“美しく”見えるかというと、可愛すぎてその言葉が少しぎこちないかも。

愛族精神・・・強さのレベルは色々あるでしょうけれど、確かに心の隅に座っていますね。でも、ワールドカップのように選手の必死の姿がテレビのスクリーンに映し出されると、うるうるして来て、もう国籍などはどうでも良く、懸命な選手たち全てを応援したくなります。良い試合を見せてくれただけで十分な気がします。でも見ていないゲームに対してはどこの国が買ったか結果だけを追い、そこに愛族精神がちらっと顔を見せるようです。でもスポーツは競争、私のような考え方では、面白みや興奮は半減するのでしょう。World Baseball Classic で韓国に負けた時、イチローが「僕の野球人生の中で、最も屈辱的な日です」と言ったことで、その後の韓国との試合ではイチローに韓国人席からブーイング:韓国人席の方にボールが飛び、それをイチローが追いかけた時、一人の韓国人客が体を突き出して守備妨害もどき事をしたのをスクリーンで見た記憶があります。踵を返して元のポジションに戻ろうとしたイチローをカメラのレンズがキャッチ。なんとも悔しそうな顔!
こんな事がゲームをより楽しいものにするのでしょう。確かに心が逸ります。スポーツを楽しくするものとして、愛族精神が健在なことが良いのかも知れませんね。
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