早稲田大学ウリ稲門会

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第20号「稲門会ニュース」編集後記

2011-08-06 22:16:57 | 新聞編集後記

3月11日金曜日、午後2時50分、19階。収まらぬ揺れに、足がすくみ、血の気が引いてゆく。
夕刻、非常階段を降り、人の河となった道をひたすら歩き続け、家にたどりついてさほどの被害もない事にほっとしてテレビのスイッチを入れた瞬間飛び込んできた津波の映像。目を覆うとはこのことか。
続けて福島原発冷却装置損傷の報道。そして、爆発。シーベルト、ベクレル、セシウム、ストロンチウム。
元素記号の暗記に挫折した高校時代を悔やんでも遅い。
大地震は頭の隅で想像していたものの、原発事故や放射能災害までは考えていなかった。原発安全神話を信じるほどナイーブではないとうぬぼれていただけだった。
原発のことは何一つ知らなかった。自らの不明を恥じるばかりである。
韓国も既に原発の依存率は高くなおも増基を図っているという。
地震による事故の可能性は低いのかも知れない。が、ひとたび事故が起これば取り返しのつかないことになる。
放射能の管理や使用済み燃料の処理に大きな課題をかかえた、いわば生煮えの技術でしかない原子力発電に依存した繁栄は果たして持続可能な繁栄といえるだろうか。
刹那主義といわれても仕方のないものではないか。
そして近年声高に叫ばれた自己責任原則という謳い文句は今、電力業者や行政にどのように響いているのだろうか。(編集長 朱茂)