早稲田大学ウリ稲門会

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2015年納涼会のご報告

2016-04-06 00:19:21 | 会長のご挨拶

猛暑から一転、秋が早く訪れた本年9月19日、母校に隣接するリーガロイヤルホテル東京で2015年納涼会が開催されました。既にご案内の通り、今年から納涼会は奨学生証授与式を兼ねることとなりました。

 当日は、10名の奨学生とその他4名の在日在校生、加えて3名の留学生、合計で17名の現役学生が会し、奨学生の家族も交えた多数の老若男女が集う活気あふれる会となりました。

 

 金君夫会長が、会に先立って主に在校生たちに語りかけたスピーチの一部を以下に掲載します。

「ウリ稲門会を代表し、私から君たちに一言お話をしたいと思います。

第一は、奨学金の基金、即ち、資金の出処というか性格に関することです。

『ウリ稲門会奨学事業募金』に出資された諸先輩、諸学兄の中には事業をなさっていて、趣旨に賛同され、気前よく大口の寄付をなさって下さった方もいらっしゃいます。しかし、中には小口や、匿名で寄付をされた先輩方も多々いらっしゃるということです。要は、諸君が受け取る奨学金は大企業や財団などからなる通常の基金と性格を異にしています。

二つ目は、奨学金の使い方への我々の希望です。今の世の中、グローバリズムが急速に進展する一方、ナショナリズムのぶつかり合いが頻発、その複雑さの度合いは日々増すばかりです。こういった世相の中でのキーワードはダイバシティー、多様性を帯びた視点、即ち複眼的な視野から本質を見極める思考が肝要だと言われています。このような思考を構築するには、その基本となる自己のアイデンティティー、即ち、在日としての立ち位置をしっかり見据えて学問をすること、酒を飲むこともよし、人と付き合うことだと考えます。この奨学金がかような意味でその一助になれば幸いですし、この基金を作った我々の一片のロマンでもあります。

第三点目は、この奨学金制度を作った目的というか意図するところです。我々の時代にはその時代の時勢を反映して大学の構内に南北別々ではありましたが、在日学生のサークルが存在し、その集まりを通じ歴史や言葉を勉強し、種々共有の問題を考えたりしたものです。学内からこういった集まりが無くなって久しいと聞き及んでいます。今年は学年を問わず12名の奨学生を採用しました。基金の総額の関係上、残念ながら来年度からは奨学生の採用は2~3名、それも新入生が中心となります。今年採用された諸君は、在校生間の交流を深め、早稲田しかも在日の学友、先輩、後輩として親しくなっていただきたい。そして来年以降の新規採用者を迎え入れその輪を広げていっていただけたらと考えます。そういった学内での人の輪の広がりがこのウリ稲門会の将来にも直接、間接的に繋がっていくと信じているからです。(中略)

この納涼会の場で大いに語り、旧交を温め、更には、新たに加わった在校生にご自分の貴重な経験の一部でも熱く語って頂ければと思います。同窓間の交流は勿論の事、世代間交流、異業種交流、勉強会、若者への歴史、文化、経験の伝承、そして婚活まで含めた情報交換の場、これらすべてがウリ稲門会のイベントです。大いに楽しんでください!」

 

続いて、奨学金事業立ち上げに多大なるご尽力をいただいた早稲田大学学生部学生生活課 関口八州男課長から「今日のこの会は歴史的で特別な会である」と祝辞をいただき、その後に奨学生一人ずつに奨学生証が授与されました。また当日は、政経学部68年度入学の同窓、「在日の国際家族法とこれに関連する本国法」を専門とする立命館大学法学部・大学院法学研究科講師、司法書士の趙慶済学兄を京都からお呼びし〈「在日」司法書士としての31年間〉というミニセミナーを開催しました。この講演で私たちが知識を新たにするとともに、学兄は在校生にご自身の貴重な経験の一部を熱く語ってくださいました。

 

 宴席では、留学生を代表して李常揆君、若手会員の河景浩・羅相福・趙亜悠美各学兄に壇上でそれぞれ一言語っていただき、メインイベントとばかりに奨学生ひとりひとりに自己紹介してもらいました。若い後輩たちの話に「へー」とか「すごいな」とか「頑張れ」とか、諸先輩方のあちこちから声が上がります。時が流れて変わったこと、時が流れても変わらないこと、会場にいらっしゃった、上は80代から下は10代に至る世代を超えて、早稲田で学び学んだ私たちが、様々な想いをあらためて抱き紐帯を強くする中、スピーチの最後を李春夫学兄が締めてくださいました。崔相敦副会長ご夫妻の仲良く円満な閉会挨拶の後、尽きない気持ちを抱えてほとんどの会員が二次会に移動、その先はレポートするのが野暮というもの。当会の画期をなした夜は更けていきました。

 

 後日、避けられない事情で参加できなかった二人の奨学生には、高田馬場駅近くの韓国料理屋「にっこりマッコリ」で、彼らと同期の奨学生と留学生の10人ほどを交えて、幹事団が奨学生証授与式第二弾を執り行いました。