栃木県にある湯西川温泉は、壇の浦の戦いに敗れた平家が逃げてきて暮らした村として知られている。
戦いで完敗した平家で生き延びた人たちは「平家落人」として全国各地へ散らばった。
その中の数人(一説には平重盛の六男「平忠房」の一行だとか)が湯西川温泉付近にたどり着いたといわれている。
だから、この辺りには、鯉のぼりはあげない、鳴き声を出す家畜は飼わないなど、隠れ里だと知られないようにして暮らしていた時の風習がいまでも残っているらしい。
そして、数軒の宿は平家の末裔ともいわれているし、「平家集落」や「平家の里」など平家ゆかりの場所もたくさんある。
湯西川は山深い場所にあるので、冬は雪に覆われる。
その雪を利用して1月末から3月初めごろまで「かまくら祭り」が行われている。
「平家の里」をメイン会場とし、その他には温泉街に流れている湯西川沿いの「沢口河川敷」、「平家慈光寺」など、湯西川温泉全体で楽しめるようになっていた。
[平家の里のかまくら]
大きな「かまくら」が並んでいて、近くのお店で買った料理を中で食べることができた。
[沢口河川敷のかまくら]
小さなかまくらがたくさん並んでいて、夜になるとそれぞれに明かりが灯されていた。
「かまくら祭り」は昼と夜では全く違った景色になっていた。
昼間はソリや雪遊びなどをして家族みんなで楽しめる賑やかな場所だったのに、夜になると一変していた。
河川敷の「ミニかまくら」にロウソクの灯りがともされ、それらが雪の中で揺らめいているのを見ると、辺り一面が幻想的な雰囲気になっていた。
この景色は「死ぬまでに一度は見たい絶景」の一つになっているとか。
ところが、残念ながら夜の写真撮影は難しく、光の具合が上手に撮れたものは一枚もなかった。
「かまくら」は秋田県の横手など、東北地方のものだとばかり思っていたのが、近場の関東地方でも見ることができ、とても良い体験になった。