映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

神田昌典  全脳思考

2009-07-12 20:50:08 | 

神田昌典の新作である。彼の一連の作品は一時期よく読んだ。エエカッコしいコンサルタントの言葉と違う、販売営業テクニックを学んだ。しばらくは、読んでいなかった。何気なく本屋で見つけ手にとったら、こういうセリフがあった
「私のとった結論は自己否定だった。営業している会社は時代遅れ、営業しなきゃいけないようじゃ先行き暗い。これを認めるのに、私は抵抗せざるを得なかった。。。。」
この文章を読んで驚いた。
これまで営業テクニックのプロとして売りまくっていた彼が、自己否定をするわけだから、よほどのことなのだ。
本屋で速読した。ここしばらくの本と違って、さっと読めない。内容もありそうだ。すぐ購入した。

内容盛りだくさんなので、一回では紹介しきれない。
まずは具体例も列挙しながら、産業構造の転換と知識社会への変化を解説する。そして昭和初期の小林多喜二のプロレタリア小説にたとえて現代の労働環境を「知的蟹工船」と評する。そのイメージはよくわかる。ちょうど10年くらいであろうか?パソコンが恐ろしく普及すると同時に、一人一台マイパソコンが与えられるようになった。エクセルやワープロソフトを通じての業務簡略化だけでなく、メールやネットの活用が急激に進んだ。むしろメールに追いまくられるようになった。私自身本社からの課題メールが続いて13kgやせたこともあった。

10年ほど前、神田昌典の本では、ファックスやセールスレターの効果的な使い方を伝えていた。「書いたことは実現する」という最近の流行をつくったのも彼だと思う。今も彼のビジネスモデルが完全に消えたわけでないと私は思う。しかし、神田は現在メジャーに売れているものは目立った営業活動をおこなっていないと主張する。(例えばグーグルやi-phone)それでは成功するにはどうするのか?現代の商品購入に当たって、インターネットの情報源をテレビや雑誌の2,3倍重要視する消費者が多いようだ。一日3回以上ネット検索する人は66%いるという
「検索されなければあなたの事業は存在しない。」と言い切る。

グーグル検索の上位にランキングを上げるように、ホームページの設定をすることを巷のIT会社は中小企業に売り込んでいたと思う。神田はこういう。「カテゴリーで検索される限り、競合ひしめく市場に参入されることになり、すでに事業に失敗していることになる。」巷で言われていることも否定する。 というように次から次へと神田の持論が展開される。

非常に内容がある。いつものように付箋をつけながら読んでいく。読了に時間がかかった。それと同時にもう一度付箋をつけたところを中心に読んでいった。何度も読む価値のある本だと思う。具体例も非常に身近に感じられることが書いてある。ホンダのMSXの話は知らなかった。最近のビジネスコーナーにおいてある本の中ではかなりいい本だと思う。
昔はあまり写真に出ていなかった彼が、写真入で雑誌の記事に見るようになった。コンサルタント向けの季刊雑誌「THINK」にもよく出るようになった。割とコンサルタントのことを否定していた口調が目立った彼がこういうところによく出るのはどういうわけなのか?とも思っていた。この本を読んで彼の目指そうとするものはなんとなく理解できた。自分もビジネスに役立てるように再読してみたい。

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サンキュースモーキング  アーロン・エッカード

2009-07-12 17:10:32 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)

すごい傑作である!これまで不快な映画と誤解していた。
タバコをすわない自分にとっては、「スモーキング」の題名はとっつきづらかった。しかし、この映画は脚本、出演者、構成すべてにわたって完璧な映画である。タバコ推奨の映画でもなかった。アーロン・エッカードは好演、ケイティ・ホームズ、マリアベロの美人だけでなく男性脇役陣が鉄壁である。
アーロン・エッカードはタバコ会社が出資して運営するタバコアカデミーのスポークスマンである。離婚しているが息子が一人。タバコ有害説を唱える論者たちを前に雄弁を振るい、やっつけていく「口が達者」な人物。敵も多い。そんな彼は同じように有害とされる「酒」、「銃」のスポークスマンたちと定期的に情報交換している。美人記者ケイティホームズの取材を受けて、逆に言い負かして関係を持つがどうも何かあるらしい。。。。

「スモーキング」といいながら、出演者はタバコを吸わない。ここでの見どころは、主人公アーロンの難問解決法である。どんな相手でも論破してしまう頭のよさが見所。そう思わせる脚本が実にうまいといえる。ましてや出演者はコーエン兄弟の作品ともダブる名脇役たち。上司のJKシモンズとロバートデゥバル、対立する上院議員は「ファーゴ」のドジな主役ウィリアムメイシーこの3人が出ているだけで映画が引き締まる。主人公がどんなにかっこよくても相手がいなけりゃ本領発揮できない。

タバコというと「インサイダー」というマイケルマン監督の名作がある。この作品はシリアスでなくコメディである。匂いはコーエン兄弟作品の流れを汲む。しかし、ジェイソン・ライトマン監督のもう一作「JUNO」のできも含めて、ひょっとしてコーエン兄弟以上の天才かもしれない。

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ある愛の詩  ライアンオニール

2009-07-11 20:48:42 | 映画(洋画 89年以前)

どうした風の吹き回しか、この映画を見た。
出身の家庭があまりに違う二人が、反対を押し切り結婚する。妻が白血病にかかってしまい悲しむ夫の話。主題歌があまりに有名。映画上映当時は、日本の歌謡界も競ってこの歌を歌っていた。「歌唱力に自信があるイコールこの歌で感動させる。」が如く。

ハーバード大学に通うライアンオニールは、アイスホッケーの選手でありハーバード法科大学院を目指して勉強する富豪の息子。その彼がハーバードの系列女子大学の図書室に本を借りに行く。貸し出し場所にいたのが、無邪気な学生アリ・マッグローである。ケンカまがいのやりとりのあと、二人はデートし、やがて付き合い始める。アリも大豪邸のライアンの家に遊びに行く。両親は歓待するが、「一時の恋」と冷静さをライアンに要求する。ライアンは親の援助で大学院に行くつもりだったが、父親から命令口調で人生を決めようとさせられる気運を感じて自力で学校行こうと家を飛び出す。そしてアリと結婚するが。。。

正直映画としてはもう一歩であった。ニューヨークの冬を描く撮影はなかなかよいが、それほどレベルは高くない。脚本も涙するほど彼女の死がつらくも感じさせない。フランシスレイのテーマ曲は名曲だが、「男と女」「白い恋人たち」ほど映画の中で効果的に使われているとは思えない。二人の無邪気な演技は悪くはないが。。。。
激動の70年代に入ったころのニューヨークの風景と伝統あるハーバード大のキャンパスを見れるということでの価値はある。冬に見る方が情緒あるかも?

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父一周忌

2009-07-10 06:02:57 | 家族
父が死んで昨日でちょうど一年たった。
会社休みを取って、妹と高輪の寺に行った。家のお供えも父の好きな中華を中心に買った。寺で住職と相談して二人一緒に一周忌をやることにした。

前の日曜日に娘と妻と一緒に寺にいった。続けてになるが、来週はお盆なのでまた行かねばなるまい。娘と妻が一緒のとき、高輪白金から地下鉄で神田神保町までいった。日曜日なので古本屋街は休みの店が多かった。このあたりはカレー屋が多く、お目やての店もあったが、娘がナンのあるランチを指差し、その店に入った。明治大学のそばである。あとはぶらぶら御茶ノ水方面を歩いた。この界隈を歩くのは昔から好きである。美術部に所属している娘に関心があるかと思い、画材屋にいくつか入った。昔は「レモン」がいくつもあった気がする。今は一つしかない。逆にディスクユニオンは増えた気がする。

昨日妹と一緒に墓にいった帰りに、生まれた五反田に寄った。そこでもカレーを食べた。古くからある坂本味噌店の隣である。それなりにおいしい。どうも父はカレーを食べたかったのであろうか?前にも書いたが、父とはインド料理屋へぼくが小さいころからよく行ったものだった。銀座や六本木によく行った。五反田は「京浜ベーカリー」という洋食屋があった。これもよく行った。でももうない。そんなことを感じながら帰った。帰りは池袋で本を買って、赤羽で父の好きな中華をつまみに飲んで帰った。

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加山雄三  エレキの若大将

2009-07-09 06:31:33 | 映画(日本 昭和35年~49年)
いつ見てもどきどきする場面である。

勝ち抜きエレキ合戦に登場して、加山雄三ひきいるバンドが演奏する。バックには黒沢年男、青大将の田中邦衛、ウルトラマンの隊員二瓶正也、そしてエレキの巨匠寺内タケシのそうそうたるメンバー。「夜空の星」の一番を寺内タケシのソロで演奏して、2番に加山雄三のヴォーカルが「ぼくの行くところへついておいでよ」と歌い始める歴史的場面だ。

日経新聞「私の履歴書」に今月ついに登場した。先月末、明日から加山雄三さんと出ていてドキッとした。長嶋茂雄さんが次週より出るという予告を見て以来のどきどきぶりだ。内容も面白い。両親との葛藤、地元小学校の仲間に入れないもどかしさ、ボートを自身で作ってしまう器用さ。小さいころからかっこいいなあ。今日から大学卒業して東宝入社となっている。

映画ではエレキバンドとアメリカンフットボール部の両方掛け持ちである。京南大学とはよく付けたものだ。ライバルが西北大学というのもらしくていい。倒せ西北と自分も言いたくなる。こうやって見ると、マネジャーをはじめとして部員たちの表情は慶応体育会の匂いを出している。学ランも似合う。時はビートルズ全盛で、まだ学生運動が激しくなっていないころ。能天気な大学生活を上手に描いている。もっとも加山は卒業して5年たっているわけだが。。。。

演技だけを取ってみると、いつもながら田中邦衛の振られぶりがおもしろい。後は飯田蝶子の張り切りぶりだ。自分が小さいころは、おばあちゃん役というと飯田蝶子か浦辺粂子のどちらかであった。ちょっとした動きが笑いを誘う。星由里子はいつもながらのワンパターンだが美しい。のちに加山の妻となる松本めぐみも親衛隊4人の一人として出演しているのにも注目した。

この映画が上演されると同時に発売されたのが、「君といつまでも」である。とんでもない大ヒットであった。映画の中でも日光の中禅寺湖で加山は星由里子を目の前にして歌う。自分の記憶が薄くなってきたが、その昔優勝を争う「早慶戦」の野球で加山雄三を目の前で見たことがある。応援指導部の依頼で試合前応援を買って出て歌ってくれた。そのとき「君といつまでも」を歌ってくれた気がするが、「若き血」だったか?記憶は薄れている。しかし、試合は完敗。歌っているさながら試合前の練習で早稲田4番阪神前監督の岡田氏がぽんぽん外野スタンドに打ち込んできた。
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東京物語  小津安二郎

2009-07-08 19:49:06 | 映画(日本 昭和34年以前)
穏やかな気持ちになれる映画が見たかった。
ちょっと疲れ気味なので、しっとりと「東京物語」を見た。

世間では小津安二郎監督の最高傑作といわれる。年老いた笠智衆、東山千栄子夫婦の東京見物のときに、東京在住の実の息子、娘がそっけないのに、戦死した次男の嫁原節子が心を込めてお相手する。血のつながらない嫁との特別な感情のやりとりを淡々と描いていく。

昭和28年、尾道に住む笠智衆は役所勤めを定年で終え、今は妻の東山千栄子と娘で小学校の教員をしている香川京子と暮らしている。その老夫婦二人が東京に住む開業医の長男山村聡、美容院を経営する杉村春子が相手をする。開業医の山村宅に泊まるが、休みも往診でなかなか東京見物もできない。そこで戦死した次男の嫁原節子がお相手をさせられる。その後忙しい山村、杉村は老夫婦を熱海の温泉に滞在してもらおうとする。しかし、泊まった旅館は宿泊客の騒がしい声が部屋に響いて寝られない。熱海から早々に帰ってくるが、杉村は迷惑そう。。。。

個人的にはこれよりもいい小津作品はあると思う。しかし、笠智衆、原節子の演技がいちばんさえているのは「東京物語」だと思う。
笠智衆は元市役所勤務という設定である。今の役所よりもかなりのんびりしていたと思われる田舎役人OBっていう役の性格を笠はよくつかんでいる。何を言われても「柳に風」の会話で、変にあくせくしていない。自分が自分がという匂いをまったく出さない。東山千栄子もいかにもその奥さんという役を上手にこなしている。
原節子の役は、戦争未亡人。このときはありえても、いまどきはありえない設定である。お上品で、育ちのよさを芯からにおわせる言葉遣いが上手な俳優はもう日本では現れないのではないか?小津自身が言っている。「娼婦を演じる方が良家のお嬢さんを演じるよりもやりやすい。」確かにそうだ。

この映画は海外で評価されているといわれる。美しさ、表情はともかく、原節子の使う言葉遣いの素晴らしさは伝わるのであろうか?例えば「お姉さま」という言葉一つをとっても、原節子の話す「お姉さま」のニュアンスは英訳できないと思う。他の国の言葉で適切な訳語があるであろうか?それだけは疑問を感じる。
銀座の松屋?か松坂屋?のデパートに老夫婦を原節子が案内するシーンがある。屋上から国会議事堂がくっきり見える。昭和40年代はともかく今は見えないだろうなあ?小津の前作「お茶漬の味」よりは東京ロケは少ないが、ノスタルジックな場面も多い。尾道の和瓦屋根の町並みと海を走る船のロケも素敵だ。
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官僚たちの夏  テレビドラマ

2009-07-06 06:59:03 | Weblog
驚いた。この城山三郎作品がテレビ化されるとは。
ここしばらく役所のキャリア官僚が諸悪の根源のように言われていた。ここでの官僚たちはみなかっこいい存在だ。久しぶりに官僚たちの復権となるのであろうか?
優秀な人物に対する嫉妬がちょっと強烈な気がする。優秀な人がしかるべき場所で働くこと自体は私は悪くないと思う。天下りも度をこすとよくないが、ある程度は仕方ないのではないか?ネタミも度をこすと醜い。

いずれも実在の人物である。大学時代この作品を読んでかっこいいなあとおもったなあ。しかし、佐藤浩市とモデルである元通産事務次官佐橋滋とは似ても似つかない。妻がテレビを見ていて、昔買った本に出ている佐橋滋の写真を見せたら、ずいぶんちがうね。と言っていた。ひたすら笑うしかない。佐橋滋著「異色官僚」も家にあるし、彼を評した草柳大蔵の本もある。私設人事課長のように人事の予想をするのが好きだというのは同じだが、ここで描かれている大衆的な人ではなかったと思う。

船越英二郎が演ずる佐藤浩市のライバルと杉本圭太が演じる役のモデルの人物は実際に知っている。会ったこともある。名前はいわないが、いずれも超大物だ。杉本圭太の演じる役の息子さんは学生時代の先輩だった。お母さんが社交的な人だったのはよく覚えている。いずれもイメージ違うのかな?

昭和30年代の映画をよく見るので、リアルな30年代の画像を見るけれど、セットはまあまあかな?苦労したかも?今後に期待!
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上意討ち 三船敏郎

2009-07-05 20:06:24 | 映画(日本 昭和35年~49年)
昭和42年の時代劇作品。三船敏郎、仲代達矢の黒澤映画コンビが、「切腹」の小林正樹を監督に迎えてオーソドックスな時代劇をつくる。全体に重厚感があり、安心してみていられる。脇役を含め演技のレベルはきわめて高い。武満徹の音楽にも注目だ。

時は1700年代前半享保の時代、会津松平藩の3百石藩士三船敏郎のところに、息子加藤剛の嫁に殿の側室司葉子を引き受けてくれとの話が藩の重臣たちより来る。司は子を産んだが、大奥内での殿の別の妾とのいざこざで、殿とトラブルを起こしていた。養子だった三船は自分の息子だけは気に入った結婚をと断るが、加藤は家のことを思い引き受ける。司は美しく、性格もよく三船の一家になじんでいた。そして娘が生まれた。
ところが殿のお世継ぎが亡くなり、司の子供がお世継ぎになることとなった。そのためお世継ぎの母である司は大奥へ戻るようにご家老たちは画策し、三船と加藤親子を説得した。二人は拒絶したが。。。。

会津というと藤沢周平の一連の作品を思い出す。山田洋次の「たそがれ清兵衛」などと同じで開始してしばらくは殺剣の動きはない。むしろホームドラマのように動いていく。そして藩幹部の策略で動きがでるのは「たそがれ清兵衛」と同じ。役割は逆転してちがうけれど。。。。
こういう時代劇のストーリーが似てくるのは致し方ないと思う。演歌の歌がどれもこれも似ていて盗作騒ぎがたまに起こるのと同じである。基本的パターンは有限かもしれない。

三船は「赤ひげ」を撮り終わっていちばん円熟していた時期なのであろう。初期の黒沢映画のような荒々しさはないが、初老の役がいちばんうまい時期だ。
仲代達矢の映画をいる機会がここのところ多い。昭和30年代前半の作品と比べると、格段にこの作品での演技のレベルは高い。顔つきも引き締まってちがう。転換期なのであろう。
司葉子も現代劇だとわざとらしい演技でうまいと思わないが、ここではよい。
三船の妻役の鬼のような表情をした姑さんや神山繁、山形勲、三島雅夫の藩の悪い幹部たちの演技は実にうまい。見ていて憎たらしくなる。ものすごくレベルが高い。

そういった意味で小林正樹の演技指導はすばらしいといえる。
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それでも恋するバルセロナ  ウディ・アレン

2009-07-04 21:14:04 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)

映画館で見た。予想以上に女性でいっぱいだった。宣伝が良かったのか?ウディアレンの作品では客が埋まっている方だ。左隣に座った女性は、映画が始まると同時にずっと寝ていた?驚いた。何しにきたの?右隣のカップルは何か動きがあると、小声で語り合っていた。うるさい。不思議な上映だった。自分は途中からおかしくてたまらなかった。

ウディアレン監督の新作。スカーレットヨハンソン、バビエルバルデム、ぺネロぺクルス他の超豪華スターによる変則恋愛ストーリーをバルセロナを舞台に、スペインを意識した映像の下描いていく。楽しめる小品だ。
 スカーレットヨハンソンレベッカホールは、アメリカからバルセロナへ遊びに来ている。あるパーティーで二人は妻と別れた画家バビエルバルデムと出会う。スカーレットは彼に強い関心を持ち、二人は恋仲に陥る。そのとき、元妻ぺネロぺクルスが自殺未遂をしたという電話連絡がある。バビエルは迎えに行き、ペペロネを預かる。バビエル宅で変則的な3人の暮らしが始まる。。。。

映画の手法はいかにもウディアレンらしい展開であった。舞台をいつものニューヨークからロンドンに移して2作撮ったが、いよいよスペイン進出。お気に入りのスカーレットに美女ぺネロぺを加えてさぞかしウディはご機嫌だったであろう
早口言葉での会話のやり取りが多い脚本は、ウディらしい展開。2作撮ってなれてきたスカーレットだけでなく、ぺネロぺもその情熱的な役柄にあった激しい感情を会話の中に見せる。ラストが近づくときのバビエルとのやり取りは実にこっけいで本当に笑えた。
会話している二人を歩かせながら、カメラが引っ張り、おしゃべりを撮っていく手法がウディはすきで、「アニーホール」や「インテリア」のころから変わらない。バルセロナのいいとこ取りをしたバックの風景や美術もいい。ただし、画面の鮮明度はペドロ・アルモドバル監督の作品のようなド派手な感じにはなっていない。少しおさえている。だからか、「ボルベール」では原色まるだしでド派手に見えたペネロぺが落ち着いて見えた。ウディの老練さであろう。


女性陣も良かったが、バビエルバルデムはプレイボーイを楽しそうに演じていた。「ノーカントリー」の非情きわまる殺人鬼ぶりとは一転である。かっこいい。どうもこの映画のあと、バビエルとぺネロぺは私的に付き合っているらしい。でもそのぺネロぺの気持ちもわかるような気がする。
そんなに制作費がかけられているとは思えない映画だけど、よくもまあ豪華スターが集まったものである。もちろんイーストウッドと同じで晩年の域に達したウディの威光であろう。ウディも楽しんでいたし、それぞれの出演者がちょっと変態な役を本当に楽しんでいた気がする。単純におもしろかった。

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ぐるりのこと

2009-07-04 21:11:52 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
子供のいない夫婦と彼らを取り巻く家族、仕事の仲間を描く。
木村多江とリリーフランキーの主役二人が好演。リリーフランキーが演じる法廷画家がおもしろい。
脇役陣が非常に豪華である。現在考えうる中で一番の日本の名脇役を揃えている。

出版社に勤める木村多江とリリーフランキー夫婦を中心にストーリーは流れる。
ぱっとしない画家リリーは友人からある仕事を教えてもらう。法廷で判決を聞くときの被告の様子をスケッチする仕事だ。二人の間に子供ができたが、生まれてすぐ死んでしまう。木村は子供ができないことで心を痛めてしまう。

法廷の描写がおもしろい。
同じ裁判物でも「それでもボクはやっていない。」では捉えていない描写がある。
裁判の内容よりも、傍聴席にいる人たちにスポットを当てる。話題の犯罪には、傍聴券を求めて行列ができる。傍聴券を取れた後、中には速報で判決を伝える人、被告の表情をスケッチする画家が傍聴席に座る。オウム裁判や宮崎ツトムを思わせる裁判が出てきて、その裁判の特徴が良くわかる。

神がかったお灸の先生倍賞美津子が木村の母親。年取ったなあ、倍賞さん。
木村の兄は不動産屋で、時代を経るにつれて落ちぶれていく姿も描いていく。
ちょっとだらだらとした印象を受ける。裁判例も多すぎるのでは?もう少し簡潔に編集できたのではないかな?いろんな題材を選びすぎていて、焦点がはっきりしない気もする。悪い作品ではないが傑作とまでは。。。。
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ヒストリー・オブ・バイオレンス

2009-07-02 19:17:12 | 映画(自分好みベスト100)

平凡なカフェの店主のところに荒らしの人間が2人入ってきて暴れまわる。客を守るため暴漢を殺害し、彼は一躍町の英雄になる。マスコミに顔が知れたところに、ギャングまがいの人間が彼の周辺に現れるようになる。本当の彼の正体は何なのか?

 カフェの店主ヴィゴ・モーテンセンは弁護士の妻マリア・ベロと息子、娘の4人で暮らしている。夫婦仲も良い幸せな夫婦である。カフェに入ってきた人相の悪い男たち。二人が客の女性を押さえつけようとするのを見て、店主は売上金をあげるから出て行ってくれというが、収まらず。店主は機転を利かせて2人を仕留めて撃ち殺す。これで彼は正当防衛で客を助けた町の英雄扱いを受ける。二人との格闘で負傷した彼は、病院から退院した後、不穏な車が家のまわりにいる事に気づく。その後、有名になって繁盛している彼の店にエドハリスをはじめとしたギャングまがいの3人がはいってくる。エドハリスは「ジョーイ、久しぶりだな。フィラデルフィアであった以来だな。」と声をかける。自分はフィラデルフィアにも行っていないし、別の名前だと店主は言う。しかし、彼らは店主の家族に付きまとう。。。。。

映画の長さは90分強。簡潔にまとまっている。日本でいえば、高倉健がヤクザあがりで今は堅気の役をよく演ずる。「夜叉」もそうだった。その匂いが少しだけある。主人公は相手を素手で撃退するテクニックを持ち合わせた殺し屋である。強い。そこにいじめにあっている息子や妻もうまく絡めてくる。
片目をつぶしたフィラデルフィアマフィエドハリス
の顔が不気味だ。実に気味が悪い。悪役が本当に似合う俳優だ。ウィリアムハートもいい味出しているが、エドハリスのほうがいい。妻役マリアベロは体当たり演技を披露する。これもいい。

リュックベッソンやコーエン兄弟などは、今でも映画は90分程度に簡潔にまとめる。長ければいいというものではない。バイオレンスが題名にはいってとっつきにくい気がしたが、これはすんなり受け入れられる。傑作だと思う。

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6ヶ月の反省

2009-07-01 05:21:58 | Weblog
ちょうど今年も折り返し点に達した。
当初目標に掲げたことと比較してどうかということ。
映画は結局143本みた。今年は読書にもウエイトを置いて年間250本程度を目標と変えたので、まあまあいいペースだ。後半157本は見て、300本は達成する。
読書のペースもまあまあ。映画と違って数を数えていない。習慣化していないのは映画と違う。ただ、ブログに書こうと思ったのがあまり書いていない。読書ノートへの転記だけだ。本の中の気になったところだけを抜粋して書こうと思ったのであるが、ブログに書いていいのかな?と思ってしまった。

仕事はまあまあかな?6月は成績もそれなりにはまとまった。毎月アップダウンがあるのは仕方ない。大きめのクレームの行方がどうなるのかが気になる。最近思うのは、会社の販売方針通りにやらないことが好成績につながるのではないかということ。会社のトップが替わると、方針が変わる。熟慮の上のことなので、当然まともな方針だが、それを実行するときにはトレンドが変わっていることがある。昔の方針の方が合っていることがある。何を実行するときに選ぶか?はこちらの判断だ。いろんなトップがいろんなことをやってきただけに選択肢がいっぱいある。むしろ現在の方針と逆のことをやるとうまくいく気がする。

6月は結局4回しか酒を飲まなかった。家ではイベント事以外は酒は飲まない。もしかしたら月4回はここ15年くらいでは新記録じゃないであろうか?娘の勉強につきあったりして、普通に家に帰ることが多い。交際費も使っていない。これもどうかと思い、昨日がんばっている若い連中を週末の飲みに誘った。

娘も前回ほどの点数は取れなかったようだ。それはそれで仕方ない。ある事象をxとかyに置き換えて解いていくことにまだなれていないのかもしれない。少しずつなれていってもらえばよい。
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