映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

たいへんだなあ

2012-02-03 06:21:43 | Weblog

日経新聞2月1日付けの北朝鮮に関する記事を読んだ。
わかっていることながらショックを受けた。
北朝鮮でまともに食事にありつける人たちは全体の20%しかいないというのだ。いくらなんでもこんな国ないよね。

この国の場合、現代経済学で考えるのではなく、アダムスミスやマルクスの時代背景までさかのぼって考えてみなければならないと感じる。

他の国のように失業して飯が食えないというわけではない。
アダムスミスは「諸国民の富」の中で
「多くの職人は、仕事がなければ、一週間とは生存できないであろうし、一カ月生存できるものは少数で、1カ年生存できるものなどはほとんどまったくなかろう。」(大内訳)
18世紀当時、職人は失業することもできず、低賃金でも働かざるを得なかったのだ。つまり失業の概念がなかった。

アダムスミスは失業のことは考えていないように思われる。
今の北朝鮮も同様かもしれない。

マルクスは著書で賃金は最低生活を下回る悪条件でさえ働かざるを得ない状況をといている。
悪条件での労働は栄養失調と過労から病気になり病死する。現代なら大量失業が発生する状況で、失業者にならず見かけ上は就業したままで死んでいく。
これが現状の北朝鮮の状況であろう。

またマルクスは、労働者の生み出す剰余価値は、すべて生産手段の所有者に搾取されるとしている。
今の日本でマジにそう思っている人間はいないであろう。
しかし、実際北朝鮮の場合は剰余価値が一握りのピョンヤンのエリートに搾取されている。北朝鮮は独裁者による社会主義の世界である。
なんと「一家最低の生活費は月3850円とされるが、労働者の平均月収は実勢レートで77円!!!以下」(2012年2月1日日経)といわれる。
さすがにこれは搾取を超えた世界だ。大変なことだ。北朝鮮は難民と同じである。いくら気に入らなくても助けてあげねばならないのであろう。
これでよく国家が成り立っていると思う。瀕死の重傷だ。

マルクスは所有者に搾取されるとして市場に愛想を尽かした。
アダムスミスの考えはマルクスとはちがう。
「諸国民の富」の中で
「ある国で、賃金により生活する人々、つまり労働者、日雇職人、あらゆる種類の使用人に対する需要がたえず増進する場合、すなわち毎年の仕事がその前年に雇用されたよりも多数のものに提供される場合には。。。。。。人手の払底は親方たちの競争を引き起こすが、かれらは職人たちを獲得するためにたがいにせりあい、またこのようにして賃金を引き上げまいとする親方たちの自然の団結をやぶってしまう。」(大内、松川訳)
アダムスミスは基本的には賃金が生存費の水準に一致しやすいとしていたが、場合によっては水準以上の賃金も存在するとしているのである。
今年の建設関係の労働市場は世間一般の労働市場に比較して大きな変貌を遂げている。震災後の復興需要のせいだ。ここ数年賃金が安くても仕事があればといった状態から、東北で仕事があるので水準以上の建設関係の職人への賃金が現実に存在している。
そのため建設業界では大工不足に嘆いているようだ。元請が仕事を請けても職人がいなければどうにもならない。不況といわれ、有効求人倍率の低い日本でもこんな状況がおきるのである。

アダムスミスは経済の道理がわかっていた。
マルクスの搾取の概念は時代に応じてはありえたと思う。その発想のおかげで労働条件の大幅改善がなしたげられたのも事実である。
しかし、搾取とは違う経済の動きが一部を除いた現状の姿である。
でも北朝鮮はちがう。むしろ上層部が搾取すらできない状態にまでなっているのではないか。
マルクスの思想を基盤に成立した社会主義政権はほぼ脱落したといえよう。
同時に市場経済の要素を取り入れた中国の強烈な躍進はすごい。
アダムスミスは
「競争市場によって資源がもっとも無駄なく利用される。」
「競争市場で利潤を上げようとするとき、人はもっとも勤勉に創意工夫をいかそうとして
また失敗を避けるために慎重に行動する。」という。
もはや市場経済の導入以外には生きる道はなかろう。
しかし、外資を受け入れようとする意志は見当たらず、孤立化が進む中、崩壊は目前である。
見るに見かねて書きたくなった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Jエドガー  イーストウッド... | トップ | まほろ駅前多田便利軒 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事