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映画「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」 レオナルド・ディカプリオ&ロバート・デニーロ

2023-10-23 07:49:53 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「キラーオブザフラワームーン」を映画館で観てきました。


映画「キラーズオブザフラワームーン」マーティンスコセッシ監督の最新作で、レオナルドデカプリオとロバートデニーロ主演という超豪華メンバーだ。マーティンスコセッシは80になるのに創作意欲が衰えない。3時間を超える上映時間に腰が引けるが、これは観るしかないでしょう。予告編でアメリカの先住民がからんでいるストーリーであることはよめたが、先入観なく映画館に向かう。自分が子供の頃に見た西部劇ではまだインディアンが悪者になっていた。まあ、最近では絶対ありえない話だ。

時代背景は第一次世界大戦が終わったあとの1920年代前半である。石油が発掘されて、一気に大金持ちになるアメリカ先住民がいたなんて話は初めて知る世界だ。しかも、それに目をつけるカネ欲しさの白人が町にたむろうという話もアメリカ史の暗部だろう。興味深くストーリーに入っていける。


第一次世界大戦の復員兵アーネスト(レオナルドディカプリオ)は、オクラホマ州の叔父ヘイル(ロバートデニーロ)を頼って移り住む。先住民のオセージ族は石油が発掘できたおかげで豊かに暮らしている。白人たちは石油の受益権を目当てに先住民の女たちと結婚するものもいた。アーネストはオセージ族のモリー(リリー・グラッドストーン)と惹かれあい結婚して子供もできた。ところが、オセージ族の女たちが次々と病気で亡くなったり、殺されたりする事件が頻発する。何かおかしいのではとワシントンから捜査当局が調べに入ってくるのだ。


重厚感のある映像が堪能できる。
ストーリーの内容はわかりやすい。説明口調になっているわけでないのに、登場人物のセリフを聞いているとぼんやり内容がわかってくる。観客には比較的親切な映画だ。現代と比較すると、1920年代だと医学は進歩していないと思うけど、先住民たちが次々に亡くなっていく。どこかおかしい。徐々に白人たちの企みの様子がつかめてくる。ファミリーなのにお互いに猜疑心が強くなっていく。

妻のモリーは糖尿病だ。当時世界中探してもあまりなかったインスリン注射の処方を受ける。でも、良くならない。夫のアーネストが勧めても注射を拒否するようになる。モリーに疑惑の気持ちが生まれてくるのだ。ジワリジワリと不安の度合いが進む。歴史上の事実に基づいてはいるんだろうけど、ヒッチコック映画的な不安をかき立てる要素もある。わかりやすく時間をかけて映像は進む。


それにしても、演技の水準が高い。ずっとディカプリオの映画を追っているけど、現役俳優では最高レベルだと思う。いわゆる二枚目の役柄ではない。どこかヤバさや欠点をもった役柄を演じている。今回もあえて自ら役柄を代わったようだ。適切な行為だと思う。自分的にはクエンティンタランティーノ監督「ジャンゴ」での農園主の怒り狂ったパフォーマンスが頭から離れない。

ロバートデニーロ貫禄は長い間映画界に居続けたからこそのものだ。ディカプリオとの共演は久々だという。意外に思った。町を仕切るまとめ役で善人そのものに見えるけど裏がある。まさに黒幕だ。リリー・グラッドストーンも良かった。わるいことを考えている白人たちの一方で、地道に生きる先住民の女性だ。今回、その母親をはじめとして無表情に近い先住民役の人たちがでていた。映画のリアル感を高めるには必要な存在であった。


小学生時代「じゃじゃ馬億万長者」なんてTVでアメリカのコメディドラマをやっていた。同じように石油あてて億万長者になった田舎の家族の物語だった。でも全然違う。笑いを誘う場面でも悪さするやつらがいて気が抜けない。先日観た日本映画「福田村事件」とほぼ同時期の出来事である。この時代にはこうやって殺し合う世界がまだ前近代をひきづっていたような気がする。ロビーロバートソンの音楽もこの映画のムードにあっていた。亡くなったことは映画を観た後初めて知った。「ザ・バンド」時代からのファンなので残念に思う。

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