映画とライフデザイン

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映画「異人たち」

2024-04-22 18:48:40 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「異人たち」を映画館で観てきました。


映画「異人たち」山田太一原作、市川森一脚本、大林宣彦監督による1988年の作品「異人たちの夏」のリメイクである。自分のベスト100に入れているくらい好きな映画である。泣けて泣けて仕方なかった。今回はロンドンと郊外の町が舞台で、「さざなみ」「荒野にて」アンドリュー・ヘイが監督である。主人公がライターということは同じで、亡くなった父母に会う設定も変わらない。前回、主人公風間杜夫の恋人役で名取裕子が登場していた。主人公はゲイの設定で、男性の恋人を持つ。原作のファンだけに見逃せない作品だ。


孤独に暮らす中年の脚本家アンドリュー・スコット)が住むロンドンのマンションには、2戸しか住んでいない。ある夜、もう1人の住人(ポールメスカル)が突然、ウィスキーを片手に誘ってくる。でも、その場は酔客の申し出を断る。

脚本家は自分が幼少期を過ごした郊外の町を訪れると、町の店で父によく似た男(ジェイミーベル)を見かける。あとをつけて行くと男の方から声をかけてきた。そのまま家に向かうと母(クレアフォイ)もいた。12歳の時に両親は交通事故で死んだのに、前と変わらない姿でやさしくしてくれる。世界を不思議に思わない。自宅に戻った後でマンションの住人に近づき、やがて恋人のようになっていく。そして何度も両親に会いにいくのだ。


もう一歩のれなかった。
ストーリーの基調として、なつかしの父母に会う設定は変わらない。同じアパートに住む恋人と親しくなるのも変わらない。でも、恋人は男性だ。ゲイ映画の色彩が強い。ゲイ同士の恋の映画は苦手。男性同士の性的な場面も多い。セリフも当然変わってくる。母親がひと時代前の価値観なのかもしれない。息子がゲイであることに対して,強い嫌悪感を持つ。でも、最終的にはかわいい息子だけに少し気持ちが変わってくる。


演技のレベルは高かった。特に主人公と母親とのセリフのやりとりが良かった。母親は自分の息子がゲイになることに対して嫌悪感を持ち態度がかわる。主人公の悲しい表情がリアルであった。それでも,母親は優しい。こうやって映画を見ていると亡くなった父母が自分の目の前に現れてくるような感覚を少しだけ持った。「異人たちの夏」を直近で観たのは父母が亡くなって少し経ったときだった。泣けて泣けて仕方なかった。そこまでの感覚はなかった。


いまいち乗れなかったけれども,父母がもうこれ以上自分たちに会ってはいけないと語るシーンはジーンとしてきた。浅草とロンドンと舞台が変わり,大衆的なムードはない。いかにも英国的な雰囲気が漂う。しかも、今回は恋人になったマンションの男性は名取裕子のように大暴れはしなかった。大きく違うのはそこなのかもしれない。

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