映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

魚影の群れ  緒方拳

2009-02-25 13:26:00 | 映画(日本 昭和49~63年)
この映画がロードショーになったとき、十朱幸代がヌードになったことが大きな話題になっていた。それだけの映画と思ってしまい、長い間縁がなかった。
しかし、見てみるとすばらしい映画であった。

青森下北半島の漁村でマグロの一本釣りをやっている緒方拳は、口より手が早い荒っぽさが災いして妻に逃げられ、娘の夏目雅子と二人で生活する。夏目は飲食店を経営する佐藤浩市と恋仲にある。佐藤は漁師になって、娘さんと結婚したいと緒方を説得する。緒方は「お前には漁師は無理だ」と拒絶するが、熱意に負けて仕事を教え始める。二人でマグロ漁に出たとき、大マグロに出会い、佐藤は身体を張ってマグロを獲ろうとするが、身体は瀕死の重傷を負う。命はとりとめたが、人命救助よりマグロ獲りを優先した緒方の振る舞いを、娘の夏目は非難し縁を切る。
その後緒方は青森近海でマグロが獲れないので北海道に遠征する。マグロを引き上げ北海の港に停泊しているとき、別れた元妻十朱幸代を見かけ彼女に声をかけようとする。追いかけられた十朱は懸命に逃げるが。。。。

吉村昭の原作がしっかりしているのであろう。ストーリーは単純にはいかず、最後までいくつかの波をつくる。仕事に乗り切れない佐藤浩市の心理描写も見所だ。
何より緒方拳がすさまじい迫力を見せる。マグロ一本釣りというのは、暴れまわる大マグロを吊り上げるのであるから大変な仕事だ。下手をするとマグロの力に飲まれて海に沈められてしまう恐れすらある。命がけの演技である。彼もまだ40台半ばでパワーもあったのであろう。この時代いろいろな賞を受賞して、油の乗っているころだが、一番大変な役はこの映画の主人公ではなかろうか。

海上の撮影もさぞかし大変であったろう。地元の漁協の協力を得ているとは思うが、大マグロとの格闘の撮影はそうたやすいことではないと思う。スペンサートレイシーがヘミングウェイの「老人と海」の主役を演じた。彼自体の演技はよかったが、海上撮影の迫力はこの作品より落ちると思う。

夏目雅子も晩年で抜群の演技を見せるし、十朱幸代の出番は少ないが、体当たりで汚れ役を演じて美乳も見せる。長まわしのカットが多く、俳優さんたちはさぞかし大変だったと思う。下北半島の塩のにおいがぷんぷん伝わる見所たくさんでいい映画だった。


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