映画とライフデザイン

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映画「マエストロ レナードバーンスタイン」 キャリーマリガン&ブラッドリークーパー

2023-12-10 18:12:16 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「マエストロ その音楽と愛と」を映画館で観てきました。


映画「マエストロ」はブラッドリークーパーが名指揮者かつ作曲家であったレナード・バーンスタインを演じたNetflix製作の新作で自らメガホンをもつ。マーラーの5番がバックで流れるモノクロの予告編のセンスがよく、キャリーマリガン演じる妻との語り合い場面がよく見える。予告編を観れば、説明がなくても、ブラッドリークーパーがレナードバーンスタインを演じているのがわかる。そっくりになるようにメイクしている。

このブログに登場する回数は、ブラッドリークーパー,キャリーマリガンともに奇遇にも11回目である。2人ともメジャーに這い上がってきた。もちろん2人の共演は初めてである。

1943年カーネギーホールのコンサートでブルーノワルターの代役としてニューヨークフィルの副指揮者だったレナードバーンスタイン(ブラッドリークーパー)が代役を務めることになりキャリアが開ける。ユダヤ系の父をもつバーンスタインはミュージカルの作曲家としても活躍していた。ホームパーティで妹の友人のチリ出身の俳優フェリシア(キャリーマリガン)と知り合い恋に落ちる。

時は流れ、レナードバーンスタインは名声を高め、フェリシアとの男1人、女2人の子どもが大きくなっていた。一方で仕事仲間の男性とバーンスタインが接近している姿を見てフェリシアはいい顔をしていない。世間でもバーンスタインの男色系の噂が流れるようになっていた。

レナードバーンスタインのウラの一面をクローズアップする。
想像以上に見どころが多く、十分堪能できた。

音楽ファンはNetflixで見れるとケチらずに映画館の大画面で観るべきであろう。


センスの良い予告編を見るだけでは、50年代のモノクロ映画のような肌あいだと思っていた。レナードバーンスタインの若き日をモノクロで、中年以降をカラーの画面で見せてくれる。カラーの画面自体も解像度を落として70年代の映画を思わせるトーンだ。映し出す建物のオーセンティックなインテリアがゴージャスで、ロケハンにも成功して背景も美しい。コンサートホールも皆タキシード姿で正装だ。


演奏や舞台の場面は当然すごいが、1番の見どころは、キャリーマリガンとブラッドリークーパーのトークの絡み合いである。掛け合いがリズミカルでまさに職人芸の域だ。若き日のラブトークだけでなく、結婚倦怠期での罵り合いと両方である。さすがアメリカの超一流俳優の共演だと思わせる。エンディングロールのクレジットトップはあえてだと思うが、キャリー・マリガンである。闘病シーンも巧みに演じる。

映画ではバーンスタインのバイセクシュアルな振る舞いに触れる。若き日のレナードバーンスタインのところへ、ニューヨークフィルの音楽監督のロジンスキーから臨時指揮者依頼の連絡がある。その時、バーンスタインは裸で男性とベッドを共にしている。その場面を観て、初めてバーンスタインにゲイの要素があることを知る。それが、映画のストーリーを追うごとにエスカレートする。今と違って同性愛がタブーとされた時代だ。当然、妻のフェリシアの苦悩を追っていく。

映画で流れる曲の数々は,ブラッドリークーパーが選曲したという。センスある選曲だ。予告編で流れるマーラー5番は一度だけ。「ウエストサイドストーリー」もあの緊張感あふれるプロローグだけだ。

ミュージカルの場面やコンサートホールで指揮する場面もあっても、女性のオペラ歌手を従えてオーケストラを指揮する場面がこの映画の一番のハイライトであろう。レナードバーンスタインを意識したブラッドリークーパーの大げさな指揮ぶりも迫力がある。前半、ブラッドリー本人が連弾でピアノを弾いている場面が出る。リアルに鍵盤を叩いている。音楽的素養を感じた。


自分がクラシックを聴くようになった70年代前半の中学生の頃、レコード店のクラシックのコーナーでは,カラヤンのポスターがやたら目立ったものだ。それに対抗してCBSソニーがレナードバーンスタインを徹底的に売り込んでいた。4チャンネル録音のレコードもあった。

中学の同級生に高校生の兄貴がいて、マーラーが大好きだった。友人の家に行った時兄貴がレコードコレクションを説明してくれて影響を受けた。マーラーの指揮者はレナードバーンスタインだった。その兄貴は添削のZ会のペンネームもマーラーにしていた。映画「ベニスに死す」でマーラーの5番が全面に流れた後で、高らかに鳴り響くレナードバーンスタイン指揮のマーラーの交響曲を聴いたものだ。


映画の作品情報で、「ウエストサイドストーリー」の作曲家として紹介されているのに驚く。あの当時、超有名指揮者のレナードバーンスタインウエストサイドストーリー作曲していたという事実に逆に驚いた。ただ、「ウエストサイドストーリー」版権だけでバーンスタインは一生金には困らなかったそうだ。

指揮者の岩城宏之は追悼文で「ウエストサイドストーリー」について
「対位法やフーガなどのあらゆる作曲技法といい、音楽的ハーモニーの複雑な使い方といい、あの曲はびっくりするほど高度なものを盛り込んでいる。おそろしく高度な作曲技法を使っていてびっくりした。」(岩城宏之 文藝春秋1990年12月号)と大絶賛だ。
50年の時を隔ててレナードバーンスタインの伝記を観れたことがうれしい。

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