映画「偽りの人生」は2013年公開のアルゼンチン映画だ。
サスペンススリラーと言うべきスタイルだが、双子の兄を殺した弟が兄になりすますという構造だ。
主演ヴィゴ・モーテンセンは「ロードオブザリング」などのハリウッド作品に出演して、名声を高めている。彼は少年の時にアルゼンチンに住んだことがあった。その彼が今回監督をするアナ・ピターバーグから自分の脚本を呼んでくれと言われ、読了した。重層構造の脚本に引き込まれ、一人2役を演じることになった。ヴィゴ・モーテンセンが加わることで、映画界から資金を引き出すことができ、映画としての体裁が整ったようである。
アグスティン(ヴィゴ・モーテンセン)は医師としてブエノスアイレスで妻(ソレダ・ビジァミル)と裕福な暮らしをしていた。
2人には子供がなかった。養子をとりたいという妻の申し出に対して、夫は拒絶した。立腹した妻は家を出る。アグスティンは何をやるにも気ののらない抜け殻のような状態で家にいた。
そんな時、長らく離れていた一卵性双生児の兄ペドロ(ヴィゴ・モーテンセン/二役)が突然訪れてきた。兄は末期癌であることを告げる。痛みに耐えられないので、自分を殺すよう懇願する。話を聞いて主人公は驚いたが、風呂に入っている時、兄が発作を起こしているのを見て、とっさに殺害してしまった。
アグスティンは自分が死んだことにして、ペドロになりすまそうと考える。ブエノスアイレスから北へ30km程のデルタ地帯ティグレへと帰った。ペドロはそこで養蜂をやっていた。ボートでペドロの家へ戻ると、川岸の周囲からは白い目で見られた。ペドロは仲間たちと闇の犯罪に関わっていたようだ。町の人からさかんに仲間の行方も聞かれる。そこにはもともとペドロが親しかった若い女性もいたようだ。
アグスティン自身もペドロが今まで生きてきた人生が少しづつわかっていくのであるが。。。
映画っていいよなあ。ティグレなんて町存在することすら知らなかった。調べるとブエノスアイレス近郊の水郷エリアのようだ。ティグレではみんなボートを使う。密林の中を流れる川をボートで行くシーンが繰り返し登場する。描かれる景色は美しい。バックに流れる音楽がすばらしく、情感を高めてくれる。
川とも水郷とも運河とも観光案内ではいろんな書き方がされている。非常に美しい町と書かれているが、映画に映る世界は多少泥臭い。
ヴィゴ・モーテンセンといえば「ヒストリーオブバイオレンス」だ。自分の中でもベスト20に入るくらい好きな映画だ。そこでは、昔マフィアで今はごく普通のカフェの店主になっている影のある男を演じた。そこではカッコよかったが、この映画ではむしろドツボの世界を彷徨う男だ。双子って映画の題材にしやすい。映画「美しい妹」ではマリオン・コティヤールが死んだ妹になりすました役を演じた。その映画ではむしろ華やかな世界の人になりすますわけで、医者から裏稼業まっしぐらの男になる彼からすると真逆である。
印象に残るシーンはたくさんある。まずは兄を殺すシーンだ。1人二役なので撮影はかなり難儀したと思うが、殺してくれと言ったのにもかかわらず、いざというときには抵抗する。その暴れ方がリアルでうまい。あとは蜜蜂に顔を刺されてしまうシーンは大変だなあと同情する。別れた妻との牢屋での再会シーンなどシリアスな雰囲気を醸し出す部分も多い。ソフィア・カスティリオーネという女優がティグレに帰った主人公の恋人になった。彼女のキャスティングは成功だと思う。華美な女性が出てきてもここではおかしい。胡散臭い世界をイメージさせるにも彼女でよかった。
ただ、ここでのメインはやはりティグレという水郷に面した町だ。この景色をバックに練りに練られて撮影されたと思われる映像コンテは実に美しかった。
この映画は2回見た方がいいと思う。関係が一度見ただけではわかりにくい。2度見て初めて良さがじんわり来る。
サスペンススリラーと言うべきスタイルだが、双子の兄を殺した弟が兄になりすますという構造だ。
主演ヴィゴ・モーテンセンは「ロードオブザリング」などのハリウッド作品に出演して、名声を高めている。彼は少年の時にアルゼンチンに住んだことがあった。その彼が今回監督をするアナ・ピターバーグから自分の脚本を呼んでくれと言われ、読了した。重層構造の脚本に引き込まれ、一人2役を演じることになった。ヴィゴ・モーテンセンが加わることで、映画界から資金を引き出すことができ、映画としての体裁が整ったようである。
アグスティン(ヴィゴ・モーテンセン)は医師としてブエノスアイレスで妻(ソレダ・ビジァミル)と裕福な暮らしをしていた。
2人には子供がなかった。養子をとりたいという妻の申し出に対して、夫は拒絶した。立腹した妻は家を出る。アグスティンは何をやるにも気ののらない抜け殻のような状態で家にいた。
そんな時、長らく離れていた一卵性双生児の兄ペドロ(ヴィゴ・モーテンセン/二役)が突然訪れてきた。兄は末期癌であることを告げる。痛みに耐えられないので、自分を殺すよう懇願する。話を聞いて主人公は驚いたが、風呂に入っている時、兄が発作を起こしているのを見て、とっさに殺害してしまった。
アグスティンは自分が死んだことにして、ペドロになりすまそうと考える。ブエノスアイレスから北へ30km程のデルタ地帯ティグレへと帰った。ペドロはそこで養蜂をやっていた。ボートでペドロの家へ戻ると、川岸の周囲からは白い目で見られた。ペドロは仲間たちと闇の犯罪に関わっていたようだ。町の人からさかんに仲間の行方も聞かれる。そこにはもともとペドロが親しかった若い女性もいたようだ。
アグスティン自身もペドロが今まで生きてきた人生が少しづつわかっていくのであるが。。。
映画っていいよなあ。ティグレなんて町存在することすら知らなかった。調べるとブエノスアイレス近郊の水郷エリアのようだ。ティグレではみんなボートを使う。密林の中を流れる川をボートで行くシーンが繰り返し登場する。描かれる景色は美しい。バックに流れる音楽がすばらしく、情感を高めてくれる。
川とも水郷とも運河とも観光案内ではいろんな書き方がされている。非常に美しい町と書かれているが、映画に映る世界は多少泥臭い。
ヴィゴ・モーテンセンといえば「ヒストリーオブバイオレンス」だ。自分の中でもベスト20に入るくらい好きな映画だ。そこでは、昔マフィアで今はごく普通のカフェの店主になっている影のある男を演じた。そこではカッコよかったが、この映画ではむしろドツボの世界を彷徨う男だ。双子って映画の題材にしやすい。映画「美しい妹」ではマリオン・コティヤールが死んだ妹になりすました役を演じた。その映画ではむしろ華やかな世界の人になりすますわけで、医者から裏稼業まっしぐらの男になる彼からすると真逆である。
印象に残るシーンはたくさんある。まずは兄を殺すシーンだ。1人二役なので撮影はかなり難儀したと思うが、殺してくれと言ったのにもかかわらず、いざというときには抵抗する。その暴れ方がリアルでうまい。あとは蜜蜂に顔を刺されてしまうシーンは大変だなあと同情する。別れた妻との牢屋での再会シーンなどシリアスな雰囲気を醸し出す部分も多い。ソフィア・カスティリオーネという女優がティグレに帰った主人公の恋人になった。彼女のキャスティングは成功だと思う。華美な女性が出てきてもここではおかしい。胡散臭い世界をイメージさせるにも彼女でよかった。
ただ、ここでのメインはやはりティグレという水郷に面した町だ。この景色をバックに練りに練られて撮影されたと思われる映像コンテは実に美しかった。
この映画は2回見た方がいいと思う。関係が一度見ただけではわかりにくい。2度見て初めて良さがじんわり来る。