映画とライフデザイン

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映画「銀座二十四帖」川島雄三&月丘夢路

2020-09-28 20:38:29 | 映画(日本 昭和34年以前)
映画「銀座二十四帖」は1955年(昭和30年)公開の日活映画


まさに銀座を舞台にした「銀座二十四帖」川島雄三監督作品、予想以上に現地でのロケシーンが多く、戦後10年目、昭和30年の銀座がどのように復興しつつあるのかよくわかる。昭和30年前後の東京を写した写真集がいくつもあるが、この貴重な映像にはかなわない。60年後のわれわれにその時代の銀座を教えるが如くの川島雄三の解説が入っていて価値のある作品である。

月丘夢路と三橋達也の主演であるが、このすぐ後に日活を支える北原三枝と浅丘ルリ子が登場する。いまだ健在の2人の若々しさに心ときめく。森繁久彌自ら歌を歌う。一瞬誰の声と思ったが、森繁だ。ナレーション で続く。

銀座のクラブといえば、花がつきもの。その銀座で 子分ジープ(佐野浅夫)と花屋を経営している三室戸完(三橋達也)こと通称コニーはルリちゃん(浅丘ルリ子)という少女をアルバイトに使っていた。あるとき、京極和歌子(月丘夢路)にバラを頼まれ川沿いの菊川という料亭にもっていき仲良くなる。


和歌子 は夫の克巳がよかならぬ事業に関係しているのを嫌って、一人娘を藤沢鵠沼に残したまま別居して銀座の菊川に身を寄せている 。 そこへ突然大阪から姪の仲町雪乃(北原三枝)が「ミス平凡」のコンテストに出場するために上京して来た。 自由奔放な 雪乃は銀座の夜を楽しんでいた。

生計を立てるために 和歌子はいくつかの絵を銀座の泰西画廊に持ちこんだ。その中には、少女時代、奉天で五郎としか記憶がない若い画家に自らを描いてもらった絵があった。そこにはGMとだけサインがある。手放すつもりはなかったが、 画廊の主人からは展示しておくと画家が名乗り出るかもしれないと言われ展示に応じた。

まもなく銀座で幅を利かせる桃山豪(安部徹)というキザな画家が名乗り出たが 和歌子のイメージと違う。姪の仲町雪乃 と親しくなったプロ野球選手の赤星(岡田真澄)より奉天にいた男がいると聞きあうが、プロ野球のスカウト三ツ星五郎(芦田伸介)であり画家ではない。

コニーはヒロポン中毒になり仲たがいした子分ジープを探すときにバーの奥に入ると、GMという人間が夜のヒロポン取引の元締めで名は三室戸五郎だといわれる。それはコニイの実兄であり、生きているとわかり、あわてて探すのであるが。。。

1.昭和30年の銀座
川島雄三監督得意の状況を説明するというパターンが多いのでわかりやすい。空からの銀座の俯瞰映像には中心部でもビルだけでなく木造の二階の家が目立つのに気づく。月丘夢路が身を寄せる料理屋のそばには川が流れ、柳が風に揺れている。銀座周辺のお堀や川は高速道路となって10年後には姿を消してしまう。


中心部に都電が走り、今なお残る服部時計店の時計台に加えて、森永ミルクキャラメルの地球儀のような広告塔がめだつ。たびたび映像になる このネオンサインの横での 捕り物風景は絵になる。河津清三郎の渋い表情も明治の顔でいい感じだ。すず(鈴)らん通りやみゆき通りもここまではっきりと映像にしたのは少ないのではないか。あえて鈴としたのは映像の画面にそうある。


東京駅の映像では、駅前にあるヤンマージーゼルの建物がまだビルになっていないで二階建てなのが印象的だ。1964年に新幹線が開通する前の東京というのも郷愁がある。

2.昭和30年の大阪難波
百貨店の比較をする。大丸、そごう、高島屋とあって銀座には松屋、三越、松坂屋があるとする。大阪のそごうが有楽町で建築中と今ある建物の工事現場を見せる映像もある。月丘夢路が大阪に向かうシーンでは、北原三枝も一緒だ。銀座で知り合った岡田真澄演じるプロ野球選手の試合を大阪球場で見る。高い席からは南海電車と高島屋の裏側が見える。よく戦災に耐えたものだ。高島屋の屋上から御堂筋を眺める。考えてみれば、大阪にいるときにその場に立ったことがないので見たことない景色だ。月丘夢路が高島屋で買い物をするシーンは優雅な感じがする。


3. のちに出世する俳優陣
石原裕次郎が登場する前の日活映画だ。昭和31年5月に「太陽の季節」が公開なのでまだ映画界に存在していない。いまや妖怪と化した浅丘ルリ子がこの当時15歳で少女の趣きを持っている。このあともっときれいになるが、この純情さもいい。

北原三枝は劇中では20歳となっているが、公開当時で21歳だ。石原まき子さんという存在しか知らない若者から見ると、この魅力にはびっくりしてしまうだろう。自由奔放なお嬢さん役で銀座のクラブで颯爽とマンボを踊る。そういえば数年前東京の名門ゴルフ場桜ヶ丘カントリーのメンバーの札に「石原まき子」という名を見つけたことがある。


主役の三橋達也はこの中で格上か?東宝に移る前の方が主役を張っていたかもしれない。芦田伸介「七人の刑事」で人気になる6年前、岡田眞澄は日活映画に出ているが、主演格ではない。チンピラ役の佐野浅夫が後年水戸黄門役をやろうとは誰が想像しただろうか?



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