映画とライフデザイン

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映画「ベルイマン島にて」ティムロス&ヴィッキークリーブス&ミア・ワシコウスカ

2022-04-27 05:00:19 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「ベルイマン島にて」を映画館で観てきました。


「ベルイマン島にて」は映画監督の夫婦が、構想を得ようとスウェーデンの名匠イングリッドベルイマンが晩年過ごした島に行った日々を描く.。「未来よこんにちは」のミアハンセン-ラブ監督の作品である。名脇役ティムロスが夫で、ファントムスレッドでの好演が光るヴィッキークリーブスが妻役である。「映画の中の映画」の手法での妻が構想するストーリーでは、久々にミア・ワシコウスカが主演となる。予告編で観たとき、島の雰囲気がよく見えて、出演者も自分とあいそうなので、映画館に向かう。

クリス(ヴィッキークリーブス)とトニー(ティムロス)は倦怠期に入ったともに映画監督の夫婦である。新作の構想を得ようとアメリカからはるばるスウェーデンの孤島フォーレ島に向かう。名監督イングマールベルイマンが晩年過ごした静かな島で、クリスは脚本を書いていく。そこでは若き日の自分にダブらせたエイミー(ミアワシコウスカ)が友人の結婚式に参列したときに昔の恋人ヨセフに再会して復活の恋によろめく話である。


実はそれほど期待せずに観に行った映画だった。逆の意味で裏切られた肌合いの良い作品である。
倦怠期に入った映画監督の夫婦の会話は大したことない。普通だ。それが、妻が構想した自分の恋を基調にした脚本が映像になってきて、物語が一つ増える。ストーリーはビックリするような話ではないけど、この島で執り行われる結婚式やその後のパーティーのシーンのもつ雰囲気もいい感じで、恋に揺れるミアワシコウスカが次第に大胆になっていく姿とその後に現実と虚実を交錯させる展開が良いと思った。

一生行くことはないであろうスウェーデンの離島は、湖と思うくらい波の少ない海や海岸べりの風景がきれい。それよりも、ここまで見どころがあるのかと思うくらいポツリと建っている特徴のあるいくつかの建物が魅力的だ。風車もある。暖房効率を気にしてか大屋根の家が多い。自転車で島を走るシーンを観ながら、この独特の空気に身を包むと快感を覚える。


⒈イングマールベルイマン
ベルイマンの映画を難解と思って好きでない人でもこの映画はすっと入っていけるはずである。50年も前の話だが、1961年処女の泉、1962年野いちごで2年連続キネマ旬報ベストテンの1位である。その翌年に死神とチェスをする名場面がある「第七の封印」がノミネートされているが、「アラビアのロレンス」という超名作がトップなので6位にとどまる。日本でも当時の知識人たちに圧倒的に支持されている。

ベルイマン島と言われるだけに、イングマールベルイマンの住んでいた家が残っていたり、記念館と思しき場所でベルイマン作品が上映される。本棚が壁を埋め尽くしている海を見渡す書斎にはあっと驚く。処女の泉」や「第七の封印」には強い宗教的な要素を感じるが、野いちご悪夢のような夢と現実が交錯する物語である。今回、「映画の中の映画」の手法を用いているので、若干通じる要素がある。


⒉ミアワシコウスカとヴィッキークリーブス
ダニエルデイルイスの引退作ファントムスレッドでダニエルと対等に渡りあいヴィッキークリーブスはすごいなあと思った。映画を観ながら、気づくのに時間がかかった。最初は淡々とティムロスと倦怠期に入った夫婦を演じているだけと思ったら、後半戦で本領を発揮する。いい感じだ。

ミアワシコウスカはある意味一世を風靡したといっても良いかもしれない。イノセントガーデン」「永遠のぼくたち」など10年近く前にずいぶんと彼女の映画観たなあ。でも、最近見ない。どうしたんだろう。昔の恋人に出会い、心が揺れる恋のときめきをうまく演じている。ボリューム感のないスレンダーなかわいいバストトップも見せてくれて大サービスだ。


⒊ティナチャールズ
予告編の時に、往年のディスコ系で聞いたことのある曲がバックで使われているのに気づく。とっさに題名が浮かばない。映画館に入って場内でその曲が流れる。アレ?と思う。映画では結婚式の二次会的なパーティーで流れてミアワシコウスカが元カレと踊り出す。しばらくして曲のバックのリズムで思い出す。そうだ、歌っているのはティナチャールズだ。

ずっと流行っていた歌手でない。日本では「恋のレディダンス」という曲が1977年のディスコティックで流れていた。再上映された「サタデーナイトフィーバー」の前年である。そのあと、化粧品のCMソングティナチャールズが歌っている。東京女学館の夏目雅子がスターダムに駆け上がる「クッキーフェイス」を歌っていたのだ。まあ、こんなことみんな忘れてるだろう。


そのティナチャールズの英国におけるヒット曲が流れているわけだ。ウキウキするのは当然だ。でも、この映画の選曲は絶妙だね。

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