映画「ジェリーの災難」を映画館で観てきました。
映画「ジェリーの災難」は台湾からアメリカに移住した男が定年退職の後に特殊詐欺に遭い、全財産を騙し取られる実話を当事者が主演を務めて再現した映画である。日経新聞の映画評でこの話に興味深く感じてスキマ時間に見た。特殊詐欺映画は日本,韓国でも多数作られているが実話そのものを再現した訳ではない。この映画はいわゆる日本で言うオレオレ詐欺に引っかかって財産を失う男を追っていく。
ジェリーは台湾からアメリカに移住し、3人の息子もできたが、妻とは離婚して定年後1人暮らしだ。ジェリーに中国警察を名乗る男から電話がかかってくる。国際的なマネーロンダリング事件の捜査でジェリーが第一容疑者になっていると知らされる。当然覚えがない話だ。自身の潔白を示すために、電話の相手である「警察」の当事者の言いなりになる。指示通りに次々と送金していく。息子の1人は、家を購入することになっていて、資金援助をするつもりであったが,そのお金まで送金する。結果的に約100万ドル近く失うことになった。
期待したほどではなかった。
実話の再現と聞いて興味を持つが,あまりに主人公が不用心なので、途中から呆れてしまう。人を疑うということができなかったのであろうか?先方のやり口は、国際ロンダリングの操作であなたに疑いがあるので、疑いを晴らすために金を出せとの要求だ。しかもこの話を家族に秘密にしろと先方は主人公に言う。確かに,中国警察の存在は怖い。強制送還と言われれば、心臓はパクパクだろう。でもなぁ。
自分の家の固定電話は妻が出ない。留守番電話にメッセージが残してあり,明らかに相手が特定できる時だけ返信の電話を入れる。数ヶ月前アメリカから電話が何度もかかってきたことがあった。知人がいるわけでもないし、ありえないので当然出ない。留守番電話も入れない。そのままスルーである。その時期、何故か自分の携帯にもアメリカからの着信があった。もちろん出ない。
最近は高齢者のいる家に電話をすると,迷惑電話への対応で録音機能が付いていることが多い。しかも,日本の銀行は不正送金に敏感で,銀行の窓口担当者が奇妙な動きをする老人がいると、警察に電話することもある。防御体制はできている。けれども,アメリカはその点疎いんだろう。
この主人公はその後認知症ということがわかったらしい。そうだよね。いくらなんでも、こんな単純な詐欺に引っかかる人は、日本では滅多にいないだろう。巧妙な詐欺話が展開する映画と比較すると、残念ながら陳腐な作品であった。