時間がずいぶんかかったけど、山崎豊子「大地の子」を読み終えた。
主人公は終戦まもなく日本人孤児として路頭に迷った。そこを中国人夫婦に助けられ九死に一生を得た。日本人として差別を受ける中、学校の教員であった養父母に大事に育てられ、大学まで行かせてもらった。そして国家発展の根幹である鉄鋼業に従事することになった。そうしたとき文化大革命がおきる。インテリ層が軒並み更正を言い渡される中、彼も逮捕される。まったくの無実であるが、政治犯として、日本人に生まれてきたことで迫害を受ける。中国人の父親は行方がしれない息子を心配するのであるが。。。。
山崎豊子の小説はダイナミックである。中国を舞台にするとよりスケールが大きくなる。この映画は「不毛地帯」や「沈まぬ太陽」のような具体的個人モデルがあるわけではない。しかし、歴史上の史実は概ねその通りである。
モデルがいないだけ他の作品よりフィクション性が強くなる。そのせいか、作者の山崎豊子は主人公陸一心を次から次へと谷底に突き落とす。意地悪な人が主人公をいじめるテレビドラマのように、ねたみを持たれて主人公がいじめられる。むしろ女性読者がすきそうな陰湿ないじめぶりだ。
文化大革命の悲惨さは現在では中国映画でも観られるようになっている。権力回復のためとはいえ、毛沢東もちょっとやりすぎだ。国家主席劉少奇が廃人になるくらいいじめを喰らって失意のまま亡くなったのは有名な話である。その末端で数多くの知識人が紅衛兵にコテンパンにやられた。その一人として日本人残留孤児の主人公を登場させる。ヤクザのリンチ顔負けのすさまじさだ。
それでも養父を尊敬し敬い、家族を大事にする姿勢は素晴らしかった。
この小説の中で、「もし日本と中国の立場が逆転したとしたら、はたして日本人は中国の子供を助け育てたであろうか?」という話があった。
大多数の日本人は同じような慈悲の心を持っているはずだ。でもあの戦前の流れからするとわからない。逆にそのことで迫害を受けたかもしれない。
当時の中国の元首蒋介石が戦争が終わったときに、日本に対して賠償を要求しなかったことは有名だ。第1次大戦後戦争に負けたドイツが戦争賠償金のためにハイパーインフレになり、その後復讐を始めたことへの懸念があったと思う。この決断によって日本はかなり復興を早めることができたと思う。蒋介石は日本の恩人と言ってもいいかもしれない。
この小説の中で「中国は日本に戦争賠償を求めなかった。」ということが何度も言及される。そのためにもっと無償で日本は経済援助をすべきだと言っている。ある意味その要求は正論かもしれない。でもあまり引きずられるのもどうかと思う。中国の経済発展のためにかなり尽力をはたらいたのであるから、もういいであろう。
そんなこと思った。
主人公は終戦まもなく日本人孤児として路頭に迷った。そこを中国人夫婦に助けられ九死に一生を得た。日本人として差別を受ける中、学校の教員であった養父母に大事に育てられ、大学まで行かせてもらった。そして国家発展の根幹である鉄鋼業に従事することになった。そうしたとき文化大革命がおきる。インテリ層が軒並み更正を言い渡される中、彼も逮捕される。まったくの無実であるが、政治犯として、日本人に生まれてきたことで迫害を受ける。中国人の父親は行方がしれない息子を心配するのであるが。。。。
山崎豊子の小説はダイナミックである。中国を舞台にするとよりスケールが大きくなる。この映画は「不毛地帯」や「沈まぬ太陽」のような具体的個人モデルがあるわけではない。しかし、歴史上の史実は概ねその通りである。
モデルがいないだけ他の作品よりフィクション性が強くなる。そのせいか、作者の山崎豊子は主人公陸一心を次から次へと谷底に突き落とす。意地悪な人が主人公をいじめるテレビドラマのように、ねたみを持たれて主人公がいじめられる。むしろ女性読者がすきそうな陰湿ないじめぶりだ。
文化大革命の悲惨さは現在では中国映画でも観られるようになっている。権力回復のためとはいえ、毛沢東もちょっとやりすぎだ。国家主席劉少奇が廃人になるくらいいじめを喰らって失意のまま亡くなったのは有名な話である。その末端で数多くの知識人が紅衛兵にコテンパンにやられた。その一人として日本人残留孤児の主人公を登場させる。ヤクザのリンチ顔負けのすさまじさだ。
それでも養父を尊敬し敬い、家族を大事にする姿勢は素晴らしかった。
この小説の中で、「もし日本と中国の立場が逆転したとしたら、はたして日本人は中国の子供を助け育てたであろうか?」という話があった。
大多数の日本人は同じような慈悲の心を持っているはずだ。でもあの戦前の流れからするとわからない。逆にそのことで迫害を受けたかもしれない。
当時の中国の元首蒋介石が戦争が終わったときに、日本に対して賠償を要求しなかったことは有名だ。第1次大戦後戦争に負けたドイツが戦争賠償金のためにハイパーインフレになり、その後復讐を始めたことへの懸念があったと思う。この決断によって日本はかなり復興を早めることができたと思う。蒋介石は日本の恩人と言ってもいいかもしれない。
この小説の中で「中国は日本に戦争賠償を求めなかった。」ということが何度も言及される。そのためにもっと無償で日本は経済援助をすべきだと言っている。ある意味その要求は正論かもしれない。でもあまり引きずられるのもどうかと思う。中国の経済発展のためにかなり尽力をはたらいたのであるから、もういいであろう。
そんなこと思った。