映画とライフデザイン

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映画「止められるか、俺たちを」門脇麦&井浦新

2018-10-24 17:41:06 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「止められるか、俺たちを」を映画館で観てきました。


「止められるか、俺たちを」は60年代後半から70年代初頭の若松プロダクションに集まる若者たちを助監督志望の女の子の目線で描いた作品である。ポルノというよりピンク映画を撮り続けていた若松プロダクションには、個性あふれる映画好きの男たちが集まっていた。その中に飛び込んでいった紅一点の女の子を門脇麦が演じる。そして若松孝二自身は後期若松映画の常連井浦新が演じる。脇を固める俳優たちも特別出演というべき寺島しのぶや高良健吾、大西信満など粒ぞろいの役者ばかりだ。メガホンは白石和彌がとる。

吉積めぐみ、21歳(門脇麦)。1969年春、新宿のフーテン仲間のオバケに誘われて、"若松プロダクション"の扉をたたいた。当時、若者を熱狂させる映画を作りだしていた"若松プロダクション"。 そこはピンク映画の旗手・若松孝二(井浦新)を中心とした新進気鋭の若者たちの巣窟であった。小難しい理屈を並べ立てる映画監督の足立正生、冗談ばかり言いつつも全てをこなす助監督のガイラ、飄々とした助監督で脚本家の沖島勲、カメラマン志望の高間賢治、インテリ評論家気取りの助監督・荒井晴彦など、映画に魅せられた何者かの卵たちが次々と集まってきた。撮影がある時もない時も事務所に集い、タバコを吸い、酒を飲み、ネタを探し、レコードを万引きし、街で女優をスカウトする。撮影がはじまれば、助監督はなんでもやる。


現場で走り、怒鳴られ、時には役者もやる。「映画を観るのと撮るのは、180度違う…」めぐみは、若松孝二という存在、なによりも映画作りに魅了されていく。 しかし万引きの天才で、めぐみに助監督の全てを教えてくれたオバケも「エネルギーの貯金を使い果たした」と、若松プロを去っていった。めぐみ自身も何を表現したいのか、何者になりたいのか、何も見つけられない自分への焦りと、全てから取り残されてしまうような言いようのない不安に駆られていく。(作品情報 より)

学生運動真っ盛りというべきこの時代の空気が映画のあいだ中流れている。まだまだバブル期の匂いがない。飲み屋やジャズ喫茶の映像ではタバコの煙ムンムンというのも今とは違う。その猥雑な感じがいい。新宿三丁目の裏手をはじめとしたロケハンは成功していると言える。

1.若松孝二と井浦新
残念ながら初期の若松孝二の映画を見たことない。さすがに古い時代の若松ピンク映画はDVDにはならないよなあ。このブログでもいくつか紹介したが、もっぱら後期作品のみ観ている。高校中退で反体制勢力に近い底辺の世界で生きてきた若松孝二は前科者でもあり、そのあたりも台詞で語られる。

赤軍派の映画を撮っているので、若松はアカ系思想かと思ってしまうが、そうでもないらしい。パレスチナの映像を撮るため、カンヌ映画祭に参加した後中東まで取材に行って撮った映像を赤いバスで回って各地で映写会を開く。それももっぱら足立正生の役目だ。若松孝二は他の人がつくった映画も見ないし、本も読まないというセリフもある。ただ、ひたすらピンク映画を量産することしか若い頃は考えていなかった職人と言えるかも?インテリ系で映画評論、脚本もこなす荒井晴彦とは対照的だ。


井浦新が東北のイントネーションで若松孝二役を演じる。実物の肉声を聞いていないのでどんな話しぶりだったかわからないが、末期作品の常連だった井浦新はきっとつかみどころはわかって話したのであろう。それにしても、若松孝二はあっけなく死んでしまったものだ。その追悼で演じた井浦新は配役されてさぞかし光栄だったであろう。


2.門脇麦と吉積めぐみ
門脇麦は好演、92年生まれの彼女には70年前後の雰囲気はよくわからないとは思うが、違和感を感じなかった。ピンク映画の助監督になりたいというこの役柄の女の子吉積めぐみは、高校中退で母親は二回結婚、父親の顔は見たことないという女の子。新宿のフーテン仲間から知り、若松プロダクションに入り込む。金銭の余裕のない実質無給状態。先輩助監督たちに撮影の段取りを教わり若松孝二監督のアシスタントになる。この時代はセクハラ、パワハラ何でもありで、映画撮影の場面では容赦なくこき使われる。ベロベロ酔ったり、柔らかな絡みもある。門脇麦はそんな役柄も上手くこなす。ようやく連れ込み旅館用の30分で完結のピンク映画の監督を任されたりしたのであるが。。。複雑

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