映画とライフデザイン

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映画「後妻業の女」 大竹しのぶ&豊川悦司

2016-09-07 19:55:32 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「後妻業の女」を映画館で見てきました。金持ち老人の後妻に入り、全財産を狙う大竹しのぶ演じる「後妻業の女」と彼女に翻弄される人々の姿を描いている。


矢沢永吉ファン仲間の女性の友人から男性からみて映画「後妻業の女」どう感じるか?と聞かれた。予告編の段階で見てみようかと思っていたけど、自分の信頼するブロガーさんたちの評判も今一つ、それでも彼女が気にする映画はしっくりする場合も多いので、思わず映画館に行ってしまう。でも、彼女自体この映画は好きでないみたい。

見に行くと、老人の男女の比率が高い。しかも、おばあさんたちが仲間同士できていて観客席は埋まっている。平日の名画座もリタイア―した方々が目立つが、おばあさんたちはあまりいない。これって老人の中で評判になっているのであろうか?独身をとおしたシルバーたちや、伴侶に先立たれた老人たちが婚活パーティに参加するなんて話は自分が知らない世界だ。でも老人の財産が狙われるなんて話は皆さん関心があるのであろう。


これもいわゆる悪女映画である。究極の悪女映画といえば、レベッカデモーネイ「ゆりかごを揺らす女」、レナオリン「蜘蛛女」、グレンクローズ「危険な情事」など数々あるが、保険金殺人を描いた元祖悪女映画名匠ビリーワイルダー監督バーバラ・スタンウィック主演の「深夜の告白」に軽く通じる部分がある。比較的近いのは伊丹十三の一連の作品や園子音「冷たい熱帯魚」あたりか。

大竹しのぶは怪演で悪女役がうまい。若き日のNHKテレビ小説や映画「青春の門」で見せた清純な姿はまったくみえない。彼女自身がひねくれて人生をすごしているのか?こういう役は実にうまい。「尼崎事件」の首班角田美代子を題材にして映画化されたとしても、彼女ならこなせるだろう。
娯楽としてはそれなりに楽しめた。

結婚相談所主催のパーティーで可愛らしく自己紹介する武内小夜子(大竹しのぶ)の魅力に、男たちはイチコロになっている。その一人、耕造(津川雅彦)と小夜子は惹かれ合い、結婚する。


二人は幸せな結婚生活を送るはずだったが、2年後、耕造が亡くなる。葬式の場で、小夜子は耕造の娘・朋美(尾野真千子)と尚子(長谷川京子)に遺言公正証書を突き付け、小夜子が全財産を相続する事実を言い渡す。納得のいかない朋美が調査すると、小夜子は後妻に入り財産を奪う“後妻業の女”であったことが発覚する。その背後には、結婚相談所の所長・柏木(豊川悦司)がいた。朋美は裏社会の探偵・本多(永瀬正敏)とともに、次々と“後妻業”を繰り返してきた小夜子と柏木を追及する。

一方小夜子は、次のターゲットである不動産王・舟山(笑福亭鶴瓶)を本気で愛してしまう……。(作品情報引用)

1.後妻
いろんな悪女映画はあるが、ここまで後妻をクローズアップするの初めてではないか。いきなり全財産が後妻(愛人)にいってしまうと遺族が大騒ぎするのは古くは山崎豊子原作「女系家族」が一番有名だろう。でもこの愛人はワルではない。むしろ、歴代の首相たちに影響を与えた思想家安岡正篤細△数子女史と婚姻してしまうなんて話がこの後妻業の話に一番通じる気がする。


カモの金持ち夫が死のうとしている時に大竹しのぶ演じる小夜子が現れ、全財産を小夜子に渡すという公正証書をだして遺族が大騒ぎになるという構図が続くのだ。公正証書は当人が公証人の前で伝えるのが基本だが、考えてみたら、当事者それぞれが代理人をだして公証役場で成立することもある。確かにこういうことはありうるんだ。とはいうものの法定相続でなければ、遺産分割協議書を書かなくてはならないはずなのに、こうなるのかな?そんなこと思っていたら、遺留分の請求を娘たちが請求するなんて話も当然出てくる。いずれにせよ、それなりの財産が後妻にいってしまうのだ。


色々あるが、大竹しのぶと豊川悦司のコンビは生き延びるという設定だ。その昔だったら、ワルの生き残りは映倫でひっかかってしまうだろう。あえて生き延びているのは、この世の中には、表ざたになっていないけど、同じような事例がいくつもあって、大金をせしめているワルがいっぱいいるということを語りたかったのであろう。

2.探偵業
後妻大竹しのぶに財産が行ってしまうのはどうもおかしいと尾野真千子演じる娘が同級生だった弁護士に相談して警察官上がりの永瀬正敏演じる探偵本多を紹介される。本多はきっちり調べて、大竹しのぶと豊川悦司を揺さぶる。やがて2人は追いつめられるのかと思ったら、永瀬が金目当てで2人を脅迫するような設定に移行する。実は探偵もワルというわけだ。


最近見た阿部寛主演「海よりまだ深く」という作品で、阿部寛演じる探偵が浮気調査で判明した写真を持って、調査対象者のところへ行ってお金をゆするなんて場面があった。探偵ってそんなもんなのかなあ。こんな映画ばかり見ていると探偵って信用できなく見えてくる。これも警鐘かな。

主演2人の演技は抜群だけど、大竹しのぶと尾木の取っ組み合いも面白い。老人役の津川雅彦をはじめとして脇役の演技が冴えている。世間の評判よりはましかなと感じた映画であった。


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