映画とライフデザイン

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映画「高野豆腐店の春」藤竜也&麻生久美子

2023-08-20 18:06:39 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「高野豆腐店の春」を映画館で観てきました。


映画「高野豆腐店の春」は尾道を舞台にした豆腐店のがんこ親父と娘の物語である。三原光尋監督脚本で藤竜也が主演を演じる。気がつくと、藤竜也も80を超える。ついつい年上の愛妻芦川いずみが気になってしまう。大林宣彦監督作品などで映画の聖地のようになった尾道が舞台になっているので親しみがある。4年ほど前に尾道の街の中を家族で歩いてまわった。「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」エグい映像を見た後に、やさしそうな日本映画で心を静めたいという気持ちで選択する。

尾道高野(たかの)豆腐店を営む高野辰雄(藤竜也)は、娘の春(麻生久美子)とともに早朝から豆腐づくりに励む。辰雄は身体に異変を感じて病院に行くと、血管に異常がありカテーテル手術を勧められる。すると、独身の娘の行く末が気になり、商店仲間たちにお見合いの段取りを依頼して、まずは見合い相手と辰雄が面談する。そんな辰雄もひょんなことで病院で知り合った中野ふみえ(中村久美)と親しくなるが、ふみえは重病をかかえていた。


流れるムードはやさしい。
納入先のスーパーから東京進出を勧められても、強硬に断る藤竜也のがんこ親父ぶりが映画の基調である。そこに娘の縁談と父親の老いらくの恋を重ねてストーリーを展開する。加えて、山田洋次監督の作品のように、主人公の仲間である近所の商店主たちを登場させて下町の人情劇のような肌合いを持たせる。対岸の島を見渡す美しい尾道の海が至るところに映し出されるのはいい。レトロな商店街の肌合いもよく、それをバックに藤竜也と麻生久美子と中村久美を映す映像はいい感じだ。

豆腐づくりの映像が随所にあらわれるのもいい。早朝から豆腐づくりに励む藤竜也と麻生久美子が豆乳を一緒に飲むシーンに父娘のふれあいを感じる。とは言うものの、地方都市の下町でものすごく大きな事件は起きない。ありふれた人情劇の域を飛び出すことはない。むりやり長めにしているなと思わせるエピソードも多い。時間的にはもう少し短くできた感じもある。それでも、穏やかな作品を見れた実感はあった。


自分は1981年にパリのシャンゼリゼ通りの映画館で「愛のコリーダ」の無修正版を観ている。当然、藤竜也のアソコも観ている。すごく衝撃的だった。今から8年前北野武監督の「龍三と七人の子分たち」で主役張ったときはむちゃくちゃおもしろかった。今回は、妙にがんこすぎる職人肌の役柄だけど、生き方に不器用な部分がキャラにあっている。旧日活の残党は吉永小百合などの女性軍が健在だけど、頑張ってほしい。芦川いずみはどうしているんだろう?


麻生久美子がいい。父親を支える振る舞いで感じさせる全体的ムードがやさしい。個人的には「俳優亀岡拓次」で演じた場末の小料理屋の女将役が良かった。藤竜也の前妻の連れ子で出戻りという設定だ。その血がつながっていない父を豆腐づくりでバックアップする。結局お見合いした父親やその仲間が薦めるイタリアンの経営者とは付き合わず、父親が嫌がる町のスーパーの店長とつきあう。この組み合わせの意外性と父親の反発がこの映画のミソだ。


藤竜也が病院の診察を受けている時に、落とし物を拾ったのがきっかけで知り合ったのが中村久美だ。やさしいムードをもった老人女性を演じる。お互いに独身だし、不倫というわけでない。いかにも尾道らしい島が見える風景の中で藤竜也と並んで歩きながら撮るドリーショットはいい感じだ。それにしても、最近はずいぶんと年寄役ばかりになった。考えてみるとまだ60になったばかりで藤竜也とは20も違う。若き日は形のいい美乳を我々に見せてくれたが、そのギャップに驚く。

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