映画とライフデザイン

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映画「そして僕は途方に暮れる」 藤ヶ谷太輔

2024-08-21 17:17:27 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「そして僕は途方に暮れる」は2023年公開の藤ヶ谷太輔主演のドラマ映画。監督は三浦大輔だ。フリーターの若者が同棲相手とのケンカの後飛び出して、友人や先輩などの家に居候しては飛び出す話だ。公開した時この映画の主人公が滅多にいないだらしのない奴とのコメントを読んで、観るのをやめた作品だ。


Netflixのラインナップに入って何気なく作品紹介を観てこの主人公と自分にある共通点があるのに気づく。ちょっと観てやろうかと思った作品だ。豊川悦司、前田敦子、原田美枝子と脇役はそれなりに揃っている。

フリーターの菅原裕一(藤ヶ谷太輔)は、長年同棲している恋人の里美(前田敦子)に合コンで知り合った女とのLINEのやり取りを見られてしまう。言い合いになり、家を飛び出してしまう。その夜から、同郷の友人、バイト先の先輩や後輩、姉のもとを渡り歩く。

どこへ行っても、ちょっとしたことでキレて飛び出していく繰り返しだ。仕方なく母(原田美枝子)が1人で暮らす北海道苫小牧の実家へ向かう。歓待されるが新興宗教にハマる母にあきれて飛び出す。1人になった裕一が偶然家を飛び出した父(豊川悦司)と久々に再会して誘われて父の家に居候することになる。

いかにもダメ男の物語。同情する要素はあまりない。
でも、登場人物のキャラクターの特徴をうまくつかんでいて割とあきずに観れた。
東京の片隅で暮らす若者と田舎暮らしの老人両方をそれぞれ追っていく。どちらも現実離れはしていない。大きな工場の煙突が目立つ苫小牧の寂れた感がいい。

⒈藤ヶ谷太輔(主人公 裕一)
居酒屋のバイトで暮らすフリーターで恋人名義のアパートで同棲する普通の若者。先輩の紹介の女の子とLINEのやり取りがバレて大目玉をくらって、キレてしまう。そして、一人暮らしの同郷の友人宅に居候させてもらった後も次々と住まいを変える

どこへ行っても、ちょっとしたことでキレる。まったく普通の若者なんだけど、自分のだらしなさを指摘されるとムカついてしまうのだ。荷物をまとめて飛び出してしまう。就職氷河期における非正規雇用の増加で、こんな奴が増えたのかもしれない。人手不足による労働需給の改善で仕事もある現状だけど、正規雇用の安定性とは無縁の若者は今もいる。藤ヶ谷太輔は現代の若者らしく演じる。


⒉原田美枝子(母)
夫が家を飛び出し息子と娘両方とも東京に行ってしまったので苫小牧で一人暮らしだ。クリーニング屋で働いている。冬の北海道は寒い。しかも、リウマチで足が悪い。息子のことを心配してたまに電話する。息子はでない。ところが、息子が実家に帰ってくるとわかるとうれしくて仕方ない。裕一くんは何食べたいと言ってやさしい。姉の話だと、息子はこれまで母親にカネの無尽をしてきたようだ。

そのまま居てもよかったのだろうが、母親はある新興宗教にハマっている。おそらく息子も心の痛手を持って実家に帰ってきたのかと思いあなたも楽になるよと入信を勧める。ありがちな話だ。ヤバイと思って息子は寒い北海道の夜に飛び出す。

原田美枝子は母親役で時おり映画で見かける。認知症の母親を演じた「百花」はよかった。「ぼくたちの家族」でも認知症の母親を演じている。温厚な母親だ。自分と同世代なので、どうしても若い頃のボリューム感あふれるヌードを思い出す。


⒊豊川悦司(父)
妻と別れて一人暮らし。朝から晩までパチンコ三昧で気楽に暮らす。以前カネを借りた人をパチンコ屋で見かけると逃げるように店を出る。偶然あった息子を家に引き込み説教するが、堕落した生活から抜け出す気はまったくない。でも、息子に「電話をすると何かが変わる」と、同棲していた彼女への電話をさせる。確かに変化が生まれる。このいい加減なオヤジとの出会いが何かを変える。この辺りが映画のキモかもしれない。


豊川悦司はいつもながらの長髪姿だ。毎日をパチンコ三昧で暮らす社会の底辺のお気楽男だ。「ラストレター」や「パラダイスネクスト」の役柄が近いかな。先日観たNetflixドラマ「地面師たち」でも同じ長髪だけど、セレブな香りがする。こんな感じで両刀遣いできる俳優も他にいない。昨年の「藤枝梅安」は抜群に良かったな。気がつくと、豊川悦司が出演する映画はほとんど観てしまっている。行きつけの新宿の飲み屋のママが大好きだからというわけではない。演じる役に一貫性がないのもいい。ここでは単なるグータラ男だけど存在感がある。

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