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映画「哀れなるものたち」エマ・ストーン

2024-01-28 17:42:16 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「哀れなるものたち」を映画館で観てきました。


映画「哀れなるものたち」はエマ・ストーン主演の新作で、すでにベネツィア映画祭で金獅子賞ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞している。前評判が高い。でも予告編で観るとSF映画的な雰囲気を感じる。エマ・ストーンの顔はいつものような端正な顔ではない。どうしたんだろう?監督は「女王陛下のお気に入り」エマ・ストーンと組んだヨルゴス・ランティモスだ。エマ・ストーンはプロデューサーも兼ねている。ネット予約しようとしたら18歳以上ですか?と確認してきて驚く。

ロンドンの天才科学者ゴドウィン(ウィレムデフォー)が、川に転落して自殺を図った女性を解剖してベラ(エマ・ストーン)として蘇生させる。懐妊していたベラのお腹の中にいた胎児の脳をベラの脳に移植するのだ。ゴドウィンは弟子マックス(ラミーユセフ)とともに、大人の身体をして知恵遅れの脳を持ったベラをゴドウィンの家から外へ出さずに育てていく。

やがて言葉を徐々に覚えて性的にも目覚めたベラを弁護士のダンカン(マークラファロ)が外の世界に誘い出す。豪華客船に乗りこみリスボンからヨーロッパ縦断の旅に出る。ベラは様々な人々と出会い,世間の矛盾に関心を持つようになる。


映画としての完成度の高い作品である。
エマストーンに圧倒され続けると同時にウィレムデフォーの科学者が老練でうまい。セット中心の美術,的確な編集,ゴージャスな衣装その他すべてでレベルの高さに感嘆する。予算の少ない貧弱な日本映画を見慣れているのでなおさらだ。過去がカラーで現在がモノクロかと思いきや、旅に出てもカラーで美術の素晴らしさを引き立てる。魚眼レンズを使ったかのようなカメラアングルも特筆すべきところだ。感動するというよりも、映画表現の上限に挑戦している作品と感じる。

18禁の作品なのでそれなりのエロチックなシーンは予測されたがここまでやるとは驚き。主演のエマ・ストーンの脱ぎっぷりは想像以上だ。性的な目覚めとしてのオナニーシーンから始まって,騎乗位の激しいファックシーンと続き、パリの娼館で娼婦になってしまうエマ・ストーンが大胆だ。賞狙いに徹しているふんばりとしか思えない。「女王陛下のお気に入り」エマ・ストーンは気前よくバストトップを披露してその時も驚いた。そこで組んでいるヨルゴス・ランティモス監督を全面的に信頼しているのがよくわかる。


20世紀前半の風景と近未来の風景が混在しているようなリスボンのシーンはどうやって撮ったんだろうと映画を見ながら思っていた。セットと確認してリアル度はすごいなと思う。豪華客船の船内風景やアレクサンドリアでの背景についても美術のレベルが高い。


また,パリの娼館もゴージャスだ。今年に入って「ラメゾン 小説家と娼婦」で 小説家がパリの娼館で実体験する内容の映画を見たばかりである。妙なアナロジーだ。映画1本で映しだす娼館に来る客とのやりとりを,ここではエマ・ストーンが客とこなす数多くのシーンを短時間で簡潔にまとめる。オスカー女優がやるようなシーンではない。そう思いながらエマストーンの頑張りには呆れる位だ。

エマ・ストーンの演技と美術に圧倒された欧州への旅の後にロンドンに戻った後のストーリー展開も軽いどんでん返しがある。なかなか味があって楽しい。


この作品でエマ・ストーンアカデミー賞主演女優賞にもノミネートされている。前回受賞した「ラ・ラ・ランド」と比較すると今回の方が難易度の高い役柄だ。昨年末見た同じくノミネートされているキャリー・マリガン「マエストロ」ブラッドリー・クーパーとのやりとりが超絶技巧の演技で素晴らしかった。ただここでのエマ・ストーンのがんばりにはかなわないかもしれない。

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