goo blog サービス終了のお知らせ 

映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「悪い夏」 北村匠海&河合優実&城定秀夫

2025-03-21 08:04:38 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)

映画「悪い夏」を映画館で観てきました。

映画「悪い夏」染井為人の原作を脚本向井康介、監督城定秀夫で映画化した新作だ。染井為人原作の「正体」が、昨年公開されたばかりだ。主人公の市役所職員を北村匠海、生活保護のシングルマザーを目下絶好調の河合優実が演じて窪田正孝、伊藤万理華、毎熊克哉と主演級の当代人気俳優が脇を固める。城定秀夫監督作品はリズミカルでテンポもよく毎回観るが、前作「嗤う蟲」は村八分の話と聞いて不義理してしまった。この映画もクズとワルだらけの登場人物なんて宣伝文句が気になるけど、早速観に行ってしまう。

市役所の生活福祉課に務める佐々木守(北村匠海)は、生活保護受給者の山田(竹原ピストル)が住む市民住宅を定期面談で訪ねるシーンでスタートする。現状の生活はどうか?求職をしているか?と質問するがヘルニアで仕事は無理だと返答される。でも、とっさに山田はすっと立ち上がれるのだ。

佐々木は同僚の宮田(伊藤万理華)から、職場の先輩である高野(毎熊克哉)に生活保護受給者でシングルマザーの愛美(河合優実)に肉体関係を迫っている疑惑があると聞く。真相を確かめようと愛美の家を訪ねる。愛美は真実を言わずその場は否定する。

しかし、風俗系バーを経営する裏社会の男金本(窪田正孝)の愛人の莉華(箭内夢菜)は愛美の友人で、役所のケースワーカー高野が愛美に迫っていることで脅そうと試みる。しかし、愛美の家に市役所の同僚がきたことがわかり、高野はいずれクビになると察していったん断念する。その後、情がうつった佐々木が愛美の家に再訪するのを知った金本の手下の山田が、愛美を使い誘惑させて佐々木を罠にはめようとする。金本は自分が送り込んだ貧困者の生活保護を承認させて貧困ビジネスで儲けようとしていたのだ。

きわどい話だが飽きずにおもしろく観れる。

シングルマザー、貧困ビジネス、生活保護、裏社会の脅しという題材は聞くだけで暗くなる一方だが、そうならないのがピンク出身でサービス精神旺盛の城定秀夫作品の持ち味だ。直近に観た「35年目のラブレター」は間延びしてテンポが悪かったので、リズミカルにまとめる城定秀夫監督の映画づくりがなおのことよく見える。さすがの職人芸を堪能する。

予告編で役所の職員である北村匠海がぐちゃぐちゃしゃべっている。何かにむかついているようだ。そのシーンは最後に向けて出てくる。真面目な公務員である。生活保護者のことを思い,定期的に訪問する。毎熊克哉演じる同僚が弱みにつけ込んで肉体関係を迫る話を聞いて呆れてしまう。ところが,河合優実演じる生活保護受給者とその娘に情が移ってしまうのだ。主人公は恋愛感情を持ってしまい、気がつくと悪だくみの罠にはまっている。いい加減嫌になってしまうのだ。

⒈河合優実

朝のテレビを見ていたら、NHKの朝の連続テレビ小説「あんぱん」北村匠海と河合優実は共演することがわかる。河合優実は目下絶好調で、日本アカデミー賞の主演女優賞まで受賞してしまった。まさに旬の女優に昇り上がる24歳である。正直本人に欲があるとは思えない。ともかく、先日公開の「敵」のように出演場面は少ない映画も含めて数多く出演している。

往年の山口百恵を思わせる風貌と喋り方が彼女の魅力である。「あんのこと」「ナミビアの砂漠」で演じた役と若干違うけどテイストは同じである。こんな役が似合っている。若くして子を産んだシングルマザー役が適役である。前作では乳首を披露する大奮発であったが,今回は人気も出てきたこともあり適度に収まった。

罠にはめろと言われても、最初は抑える。そんな人の情も持っているところも示すが、結局脅されてワルになる。そんな心のさまよいが読み取れる演技はうまい。

⒉窪田正孝と竹原ピストル

真っ赤な高級スポーツカーに乗って、おっぱいパブのような風俗系バーを経営する裏社会につながった男が窪田正孝の役だ。相手の弱みにつけ込む、いかにもヤクザの動きだ。これが思いのほかうまい。裏社会につながっているから、喧嘩は強い。自分の罠にはまりそうな奴をボコボコにする。直近の裏社会にいそうなタイプだ。

竹原ピストルの役は生活保護受給者である。当然働いてはいないふりをしなければならない。ヘルニアで動けないと言っている割には、窪田正孝が経営する風俗店で遊びまくっている。窪田正孝に裏仕事も頼まれている。こんなチンピラの手下みたいな役柄をコミカルに演じる竹原ピストルがうまい。

⒊万引きをする女

息子と2人きりのシングルマザー佳澄(木南晴夏)を並行してクローズアップする。困窮した生活から万引きに手を染めるのだ。食品加工の会社に作業員として勤めていたが,万引きがばれてしまい、会社をクビになる。公園の立水栓の水をペットボトルに汲んでいる。生活に困っている人がいるんだね。

あまりに困ったので、役所に行って生活保護を申し込む。受付に出てきたのは主人公佐々木だ。裏社会のいいようにされて意識朦朧としている時だったので,シングルマザーに爆発してしまう。ようやく決意をして役所に行ったのに気の毒だ。こういう1人の家族をクローズアップさせることで生活保護受給をうけようとする人の悲哀にも焦点を当てる。

この映画は、登場人物の使い方がうまい。未読だが原作がよく練ってできているのであろう。他にも毎熊克哉と伊藤万理華の使い方など主人公に絡んだ人物をほぼ全員巻き込む思ったよりも重層構造であった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする