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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

有馬稲子 私の履歴書

2010-04-15 06:23:41 | 映画(日本 昭和35年~49年)
いつも読んでいる日経新聞「私の履歴書」
今月は女優の有馬稲子さんだ。このころの映画が大好きな自分は興味深く読んでいた。

でもこの3日間の展開は予想外!!
ちょっとびっくり!

彼女が萬屋(中村)錦之助と結婚していたことはあまりにも有名。その前7年間ある監督と不倫の恋に落ちていたことを今回告白していた。はっきり書いていないけど、映画ファンなら「ビルマのロケ」「川口浩と岸恵子の共演」という文面で市川崑監督とはっきりわかる。
どうも生まれなかった子供までいたらしい。
錦ちゃん知っていたのかな?

日本を代表する知的新聞にでたゴシップ話にちょっとびっくり!
まだまだあるのかな?
コメント (3)
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仁義なき戦い  深作欣二

2010-02-17 17:48:18 | 映画(日本 昭和35年~49年)


スピード感あふれる展開は何度みてもおもしろい。有名なテーマ曲にのって深作欣二監督は菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫らをアナーキーな世界で自由に右往左往させる。単に仁侠映画にとどまらない完成度の高い映画である。

昭和21年の広島呉の闇市の画像がいきなり現われる。米軍兵に追いかけられる若い女性、それを助けようと立ち向かう菅原文太が現われる。手持ちカメラでその動きを躍動感をもってとらえる。闇市の裏で勢力争いをするチンピラの中で少しづつグループが出来ていく。ちょっとした出来事で大暴れ。暴れん坊の一人を銃で撃って、菅原文太は刑務所へ入る。そこで梅宮辰夫と知り合い兄弟の杯を交わし、出所後組んでいこうと約束するが。。。。

約1時間半次から次へと暴れん坊たちがドンパチを繰り返す。その中で裏切りが繰り返され、どっちが味方だかわからなくなる。細かいことは忘れて、深作欣二ワールドに身を投げるしかない。普通にテレビを見る人だったら誰でも知っているこのテーマソングが殺しがおこなわれるたびに高らかに響き渡る。その動きを追うのは手持ちカメラのカメラマン。リアルだ。映画の中身に無駄がない。緩慢な時間がない。なんと完成度の高い映画であろうか。
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クレイジーキャッツ 無責任遊侠伝

2010-02-02 07:21:59 | 映画(日本 昭和35年~49年)
昭和39年のクレイジー映画。香港マカオでロケをしたいつもどおりのお気楽な映画である。淡路景子、浜美枝の東宝美人女優に加えてロケ地の国の女優を加えるという得意のパターン。当時の香港マカオの風景がでてくるので貴重な映像。

植木等はホテルの従業員で結婚式の給仕をしていた。バクチすきの彼が招待客としてきていたある商事会社の常務ハナ肇と花嫁の靴のサイズやヒップのサイズを賭ける。植木は勝つが、直接メジャーで花嫁のヒップを測って式がぶち壊し。ホテルから首になる。その話を聞いた商事会社のご令嬢淡路景子はかわいそうなので自分の会社で引き取れないかと誘う。お気楽稼業の植木は断るが、その会社につとめる植木の恋人浜美枝から強く勧誘されて入社する。
入社後はいつもどおりの自由奔放ぶりをみせ、上司の安田伸係長や犬塚弘課長を出し抜いて抜群の営業センスを発揮する。淡路景子がある場所でアメリカからビジネスの大物が来日する情報を得る。羽田空港に迎えに行く。ライバル会社もたくさん来ていた。そのとき植木の友人の中国人谷啓が美人の妹を迎えに来ていた。ビジネスの大物は谷啓の美人の妹と旧知の関係であった。それをきっかけに植木はその大物に取り入ろうとするが。。。。。

映画自体高尚なものではない。お気楽に楽しめれば良い。当時のマカオがこんな感じだったのかと映像に見入る。なつかしの香港啓徳空港がまず出てきて、港や天主堂、サナド付近が出てくる。でもマカオといいながら明らかに香港のレパルスベイを思わせる画像もあり、それはご愛嬌である。
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社長太平記  森繁久弥

2009-12-03 20:02:27 | 映画(日本 昭和35年~49年)
東宝のゴールデン喜劇である。森繁、加東大介、小林桂樹、三木のり平と毎度おなじみのメンバーである。古きよき時代のサラリーマン社会の中いつものようにドスケベ社長を演じる森繁が滑稽である。

最初に軍隊時代の3人の姿が出てくる。ともに軍艦に搭乗する森繁が二等兵、その上司が小林桂樹、艦長が加東大介である。ところが、現在は森繁社長、独身の専務が小林桂樹、庶務課長が加東大介と立場が逆転する。会社は下着を取り扱う会社、関西の繊維会社が下着を取り扱って、東京に進出してきて状況がよくない。そこで得意の接待攻勢をデパートの仕入れ課長である有島一郎にかけるというストーリー展開。そこに接待料亭の女将藤間紫や銀座のバーのマダムの淡路恵子が絡んできていつものようにドタバタしてくる。。。。。

晩年だけを知る人たちには意外に思われるようだが、森繁はやはり喜劇役者である。しかも、森繁は本当に楽しそうにスケベな社長を演じている。小林桂樹はいつもバカまじめ的な役が多い。逆にそれが笑いを誘う。久慈あさみの妻役も見慣れているごとによくなってくる。森繁の浮気相手藤間紫との境に立つシーンが滑稽だ。三木のり平はいかにも奇怪な動きをする古典的喜劇役者。世紀の怪優ぶりだ。
加えてなぜかジプシーローズをはじめとした当代きってのストリッパーが出てくるのは貴重な映像である。時期が時期だけにハードな場面はないけれど。。。

大笑いをするという訳ではない。女癖の悪さについつい苦笑いしてしまうという感じである。植木等の映画同様、社有族の典型的な破廉恥な姿を表わしていることで、ある意味サラリーマンを目指そうとする人が増えたのではなかろうか?昭和30年代の東宝映画は日本の経済成長の裏の姿をうまく表現している。金に潔癖なだけでは世の中楽しくはない。
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南太平洋の若大将  前田美波里

2009-09-03 17:11:12 | 映画(日本 昭和35年~49年)
67年の加山雄三「若大将」シリーズ。ハワイとタヒチにロケの豪華版で、日に焼けた前田美波里が圧倒的な存在感を示す。ストーリーはワンパターンだが、脇役の巧妙さでシリーズの中でも楽しい作品である。

水産大学に学ぶ若大将加山雄三と青大将田中邦衛は実地研修でハワイのホノルルに来ている。研修が終わり最後のホノルルで、日本料理屋に出没した。そこにはパンナムスチュワーデス星由里子がいた。酔客にからまれている星を助けようとした青大将が相手とケンカになり、若大将が助ける。そののちハワイの日本料理屋の女将から連絡が来て来日。娘を連れてきたのが前田美波里である。そこからはいつものドタバタ劇。若大将に恋するスッチーの星由里子と前田美波里の駆け引きと、星を追う青大将の関係でストーリーが流れていく。

まだ19歳の前田美波里の迫力はすさまじい。当時こんなに迫力のある女優はいなかったと思う。ハワイやタヒチの海岸が非常に似合う。ビキニ姿がまぶしく、圧倒される。加山雄三と二人で潜水するシーンは本人たちがやっているようでいい感じだ。
脇役陣の常連たちが冴えまくる。田中邦衛、飯田蝶子、左ト全の3人が特に光る。
好演と思われるのは飯田蝶子だ。「エレキの若大将」の所でも書いたが、奇想天外な動きを見せる。外国から来た客人の前で踊る宴会芸は演技とは思えず、地をいっているのではないか?すごい!自分が小さいころはおばあちゃんというと飯田蝶子か浦辺粂子だった。今見るとこんなに面白い人だったのかと笑うしかない。若大将シリーズのリバイバル作品をやったときに飯田蝶子さんがいないのが本当に寂しかったと7月の日経「私の履歴書」に加山雄三が書いていた。気持ちは実によくわかる。
左ト全のすっとぼけたところも面白い。黒澤映画で存在感を示すが、若大将シリーズもなかなか笑える。子供たちとの合唱「老人と子供のポルカ」がものすごくヒットしたのは記憶に残っている。
あこがれのパンナム飛行機は「アルプスの若大将」に続く。当時みんなの憧れの的だった。12年前ニューヨークに行ったとき、昔のパンナムビルがそのまま残っていたが、メットライフビルに名称が変わっていたのはちょっと残念だった。星由里子のスッチー姿がいつもながら素敵だ。 いずれにせよ「若大将」「クレイジー映画」「森繁の社長シリーズ」どれもこれも見ていて楽しい。いい時代の東宝である。
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憎いあンちくしょう  石原裕次郎&浅丘ルリコ

2009-08-14 21:46:09 | 映画(日本 昭和35年~49年)

「憎いあンちくしょう」は石原裕次郎日活全盛時代の浅丘ルリコとの昭和37年の共演。映画自体は粗く、脚本も不自然。ロードムービーの色彩があり、当時の日本の風景がカラーで楽しめる。

 人気タレントに扮する石原裕次郎は、毎日浅丘ルリコ扮するマネジャーの管理するスケジュールに朝から深夜まで追われている。この二人は恋人同士だが、真実の愛を見出すまでは関係を持たない約束をしている。付き合い始めて2年になる。タレント生活に飽きてきた裕次郎が、ある記事に着目する。東京に住む芦川いずみが九州にすむ小池朝雄と純愛を重ねていて、今は東京にあるジープを無償で九州に運んでほしいという記事である。裕次郎は引き受けて、東京から九州までぼろジープに乗って走り始める。スケジュールを管理しているマネジャーのルリコは懸命に阻止するが、裕次郎は振り払い、ルリコは車で後を追う。

人気タレント裕次郎の実態に近づけようとした映画である。映画全体では不自然な設定が目立つ。しかし当時としては最先端のスポーツカーを乗り回す裕次郎はかっこいい。それにも増して、この映画では浅丘ルリコの美しさが際立つ。当時22歳である。演技も頑張っている。この10年後にはかなりの厚化粧となるが、ここでは素材のよさが十分わかるメイクである。下着姿を大胆に見せる。この露出度で当時は大騒ぎだったのか?清純派芦川いずみもここでは影が薄い。

書店に行くと、昭和20年代から40年代にかけての昔の風景を映していた写真集が売られている。暇なときによく見る。非常に面白い。それ以上にリアルな映画画像の方がもっと面白い。裕次郎が東京をドライブする時の風景は、若干自分の記憶のある風景である。車もずいぶんと古くなる。新幹線も東名名神高速もなかったころに東京を出て、小田原、静岡、京都、大阪、岡山、広島と走っていく。。博多では山笠祭りを映す。カラーで映しているだけに実に貴重な映像だ。さぞかし人気絶頂の裕次郎のロケにはたくさんの野次馬が集まったことであろう。 大阪駅前のロケが特に傑作だ。

(参考作品)
憎いあンちくしょう
東京から九州まで車で駆け抜ける日本初のロードムービー、浅丘ルリコが若い
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男はつらいよ 忘れな草  浅丘ルリ子

2009-07-30 06:38:51 | 映画(日本 昭和35年~49年)
寅次郎こと渥美清の連作中一番の恋人といわれるリリーこと浅丘ルリ子が最初に登場する作品である。お互いの境遇が似ていることで二人は意気投合してしまう。渥美清の軽快なギャグには大笑いするしかない。

いつも通り葛飾柴又のとらやの叔父の家で、ケンカして飛び出した寅次郎こと渥美清。今度は北海道へと旅立つ。旅立った先網走で出あったのがリリーこと浅丘ルリ子だ。彼女は以前レコードを出したこともあるドサ周りの歌手である。同じように全国を流れていくその姿を見て自分にダブらせる寅次郎であった。二人で語り合った後、寅次郎は少しは堅気に生きてみようと、牧場の下働きをする。ところが朝4時おきのつらい生活ができず、ぶっ倒れてさくらこと倍賞千恵子が迎えに行く羽目に。葛飾に戻った寅次郎のところに、ある日美貌のリリーが訪ねてきてとらやのみんなは驚くが。。。。

昭和48年の作品でもあり、浅丘ルリ子がまだその美貌の片鱗を残している。ヒット曲「愛の化石」のときはすごい人気だった。石坂浩二と結婚してまもないころであろう。そのリリーも末期は厚化粧がきつかった。リリーには飲み屋を経営している母親がいるけれど、金の無尽をされるばかり。戻るべき家庭がない。同じ風来坊の寅さんには戻ることができるとらやの家がある。寅次郎にはあるそういう幸せがこの映画のポイントである。

昭和48年というと、昨日のことのようだが、映画に出てくる風情はやはり少し前の風情を映している。映画の中で五反田目黒川のガード横の飲食街が映されていた。今はビルになってしまって、もう無くなっているところだ。懐かしい風景だ。よくテレビドラマのロケで使われていた。そんな場所のすぐ近くの産婦人科で自分は生まれた。その産婦人科も今は人手に渡りホテルになっているが。。。。
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加山雄三  エレキの若大将

2009-07-09 06:31:33 | 映画(日本 昭和35年~49年)
いつ見てもどきどきする場面である。

勝ち抜きエレキ合戦に登場して、加山雄三ひきいるバンドが演奏する。バックには黒沢年男、青大将の田中邦衛、ウルトラマンの隊員二瓶正也、そしてエレキの巨匠寺内タケシのそうそうたるメンバー。「夜空の星」の一番を寺内タケシのソロで演奏して、2番に加山雄三のヴォーカルが「ぼくの行くところへついておいでよ」と歌い始める歴史的場面だ。

日経新聞「私の履歴書」に今月ついに登場した。先月末、明日から加山雄三さんと出ていてドキッとした。長嶋茂雄さんが次週より出るという予告を見て以来のどきどきぶりだ。内容も面白い。両親との葛藤、地元小学校の仲間に入れないもどかしさ、ボートを自身で作ってしまう器用さ。小さいころからかっこいいなあ。今日から大学卒業して東宝入社となっている。

映画ではエレキバンドとアメリカンフットボール部の両方掛け持ちである。京南大学とはよく付けたものだ。ライバルが西北大学というのもらしくていい。倒せ西北と自分も言いたくなる。こうやって見ると、マネジャーをはじめとして部員たちの表情は慶応体育会の匂いを出している。学ランも似合う。時はビートルズ全盛で、まだ学生運動が激しくなっていないころ。能天気な大学生活を上手に描いている。もっとも加山は卒業して5年たっているわけだが。。。。

演技だけを取ってみると、いつもながら田中邦衛の振られぶりがおもしろい。後は飯田蝶子の張り切りぶりだ。自分が小さいころは、おばあちゃん役というと飯田蝶子か浦辺粂子のどちらかであった。ちょっとした動きが笑いを誘う。星由里子はいつもながらのワンパターンだが美しい。のちに加山の妻となる松本めぐみも親衛隊4人の一人として出演しているのにも注目した。

この映画が上演されると同時に発売されたのが、「君といつまでも」である。とんでもない大ヒットであった。映画の中でも日光の中禅寺湖で加山は星由里子を目の前にして歌う。自分の記憶が薄くなってきたが、その昔優勝を争う「早慶戦」の野球で加山雄三を目の前で見たことがある。応援指導部の依頼で試合前応援を買って出て歌ってくれた。そのとき「君といつまでも」を歌ってくれた気がするが、「若き血」だったか?記憶は薄れている。しかし、試合は完敗。歌っているさながら試合前の練習で早稲田4番阪神前監督の岡田氏がぽんぽん外野スタンドに打ち込んできた。
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上意討ち 三船敏郎

2009-07-05 20:06:24 | 映画(日本 昭和35年~49年)
昭和42年の時代劇作品。三船敏郎、仲代達矢の黒澤映画コンビが、「切腹」の小林正樹を監督に迎えてオーソドックスな時代劇をつくる。全体に重厚感があり、安心してみていられる。脇役を含め演技のレベルはきわめて高い。武満徹の音楽にも注目だ。

時は1700年代前半享保の時代、会津松平藩の3百石藩士三船敏郎のところに、息子加藤剛の嫁に殿の側室司葉子を引き受けてくれとの話が藩の重臣たちより来る。司は子を産んだが、大奥内での殿の別の妾とのいざこざで、殿とトラブルを起こしていた。養子だった三船は自分の息子だけは気に入った結婚をと断るが、加藤は家のことを思い引き受ける。司は美しく、性格もよく三船の一家になじんでいた。そして娘が生まれた。
ところが殿のお世継ぎが亡くなり、司の子供がお世継ぎになることとなった。そのためお世継ぎの母である司は大奥へ戻るようにご家老たちは画策し、三船と加藤親子を説得した。二人は拒絶したが。。。。

会津というと藤沢周平の一連の作品を思い出す。山田洋次の「たそがれ清兵衛」などと同じで開始してしばらくは殺剣の動きはない。むしろホームドラマのように動いていく。そして藩幹部の策略で動きがでるのは「たそがれ清兵衛」と同じ。役割は逆転してちがうけれど。。。。
こういう時代劇のストーリーが似てくるのは致し方ないと思う。演歌の歌がどれもこれも似ていて盗作騒ぎがたまに起こるのと同じである。基本的パターンは有限かもしれない。

三船は「赤ひげ」を撮り終わっていちばん円熟していた時期なのであろう。初期の黒沢映画のような荒々しさはないが、初老の役がいちばんうまい時期だ。
仲代達矢の映画をいる機会がここのところ多い。昭和30年代前半の作品と比べると、格段にこの作品での演技のレベルは高い。顔つきも引き締まってちがう。転換期なのであろう。
司葉子も現代劇だとわざとらしい演技でうまいと思わないが、ここではよい。
三船の妻役の鬼のような表情をした姑さんや神山繁、山形勲、三島雅夫の藩の悪い幹部たちの演技は実にうまい。見ていて憎たらしくなる。ものすごくレベルが高い。

そういった意味で小林正樹の演技指導はすばらしいといえる。
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鍵  市川昆

2009-06-24 22:25:07 | 映画(日本 昭和35年~49年)
市川昆監督による谷崎潤一郎原作の映画化。若干変態気味の親父役は中村雁治郎得意の役。その妻が京マチ子。いつもよりも強烈なメイクで気味が悪い。ぎりぎりの裸の表現とかこの当時としてはどぎつい表現だったのではないかな。。

大学教授の夫婦に中村雁治郎、京マチ子夫婦。娘に叶順子と彼女の恋人である医者のインターンが仲代達也である。京都のアッパー層を描く同じような作品はよくあるパターン。一言でいうと、中村雁治郎が娘の恋人仲代に自分の妻をくっつけてしまうことで刺激を得ようとしている変態じみている話。それを娘も知って困惑すると同時に四角関係に身を落とす不思議な世界に飛び込んでいく。
雁治郎も京マチ子もうまい。同じころ雁治郎と京マチ子で小津安二郎「浮草」というすごい傑作がある。でもこれはおもしろくないなあ。宮川一夫のカメラワークもあまりいかされている感じがしない。
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日本のいちばん長い日  三船敏郎

2009-06-03 18:42:55 | 映画(日本 昭和35年~49年)

7月末に連合国から出されたポツダム宣言に対応しきれず、変わらぬ強硬姿勢に原爆の投下、ソ連の参戦とコテンパンにやられたあとの、終戦の前日昭和20年8月14日正午から当日8月15日の天皇陛下のいわゆる玉音放送が流れるまでを中心にしてドキュメンタリータッチで描く。長い映画だが、カットが多く、テンポも悪くない。三船敏郎、笠智集をはじめとして、演技の水準も高く傑作だと思う。

この映画が公開されたころ、まだ小学校の低学年だった。生まれ育った五反田付近に東映、日活、大映とあるのに東宝の映画館がなかった。東宝のでかい看板が今のTOCのあたりにあった。この映画の題名が小さかった自分の心にひびいた。幼な心に終戦の日だけは24時間が30時間くらいあったのかと母に尋ねた記憶がある。映画館のある渋谷へは父とよく行っていたが、当時の渋谷は黒いサングラスの怖いお兄さんたちが多くてまだ怖かった。当然一人で渋谷に行けるほどまだ大きくはなかった。長年の希望がかなってようやく見れた。

無条件降伏を勧告するポツダム宣言が連合国から出されたとき、日本はまだ条約を結んでいたソ連を仲裁にした終戦を考えていたようだ。そのため、はっきりとした態度を内閣が躊躇していた。ところが最前線にいる軍部には連合国からの勧告が伝わっていたため、はっきりとした戦争への態度が必要であり強硬な態度を示した。これが、原爆を招いたということのようだ。
しかし、原爆の連続投下、ソ連の参戦とどうしようもなく、天皇陛下も終戦を決断した。ただ、陸軍の終戦阻止への動きは強く、三船敏郎演じる阿南陸軍大臣も戦争続行を強く主張したが、絶対的な存在だった天皇の意思に従わざるを得なかった。
この映画の中心は、陸軍を率いる阿南陸相の苦悩だけでなく、終戦を阻止しようとする下士官たちの強硬な動きである。終戦直前に放送を阻止する動きがあったことは事実として知っていたが、ここまで皇居内が激しく荒らされているとは思わなかった。

演技としては、三船敏郎が彼独特の声で陸軍のトップの男らしい姿を映す。逆に反逆下士官を演じる普段クールな黒澤年男のアナーキーな動きが、「仁義なき戦い 広島死闘編」の千葉真一を思わせる強烈な個性をはなつ。皇居前の爆沈の撮影はよくできたと思う。味付けとして面白いのは、怪優天本英世だ。鈴木貫太郎首相宅に襲撃を図る横浜銃撃隊の隊長役。晩年は死神博士など悪役専門だった彼が、独特の個性を発揮している。
そういった俳優たちの好演、怪演に加えて、仲代達也のナレーション的セリフを織り交ぜながら、数え切れないくらいにあった諸事実を簡潔にまとめた脚本と演出はすごいと思う。

映画の中では皇居を宮城という。今では死語となった。おじいちゃんと小石川のおじさんのところへタクシーで向かうとき、おじいちゃんが「宮城の横を通って初音町に行ってくれ」と言っていた。明治の人には戦後20年たっても宮城なのであろう。和気清麻呂の銅像を思い出した。

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東京流れ者  渡哲也

2009-05-26 19:55:52 | 映画(日本 昭和35年~49年)
中年以上が多いカラオケスナックにいくと、テーマソングを時たま聞くことがある。渡哲也の初期の作品。B級映画で荒ぽさが目立つがたまにはいいだろう。鈴木清順監督といえども日活アクション映画はどれもこれもあまり変わらない。

渡哲也はヤクザの組から足を洗おうとしている若者。そんな彼の元親分も組の解散を企てている。ところが、ヤクザの闘争に巻き込まれてしまう話。
松原智恵子は歌手の役だが、声は吹き替え、しかもまったく似合わない声カラー映画なので、色づかい鮮やかだけれども、美術は非常に稚拙セリフもたどたどしかったりする。川路民夫は普通。二谷英明はニヒルでかっこいい。見所は佐世保のクラブでの大喧嘩くらいかな?

40年代前半の様子がずいぶんと映されている。これがなかなか趣がある。佐世保の米軍相手の飲み屋街はロケ。米軍キャンプ近くの英語看板のバーが映されている。40年代の横須賀を思い出す。そのころの横須賀も今より英語系の匂いが強かった。
近代化途中の日本。まだまだ雑な匂いがする。
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喜びも悲しみも幾歳月  木下恵介

2009-05-11 05:58:59 | 映画(日本 昭和35年~49年)
木下恵介監督の全国を巡る燈台守家族を描いた作品。佐田啓二、高峰秀子夫婦を中心として、北海道から九州の離島での赴任時の出来事を描く。
個人的には凡長な印象であった。

昭和7年の北海道からスタート、長野から燈台守の佐田啓二のお嫁にきた高峰秀子が激しく降る雪の中第一子をつくる。その後第二子の男子が誕生。次は九州の離島、佐渡、御前崎、大島、瀬戸内海と移っていく。それぞれの場所でさまざまな逸話をつくっていく。戦争時には、灯台も被爆され、数多くの燈台守が亡くなる。。。

木下恵介はロケ撮影時の天候をものすごく気にするらしい。これは彼の作品に子役として出演した人から聞いたことがある。この映画でも、それが良くわかる。日ざしが強い晴れた日を選んだのであろう。さぞかし時間がかかったと思われる。嵐の日の撮影、雪の日の撮影にしても情景の撮影には凄みがある。

しかし、映画のテンポが悪い。ロードムービーと考えても良いので、もう少しスピードアップしても良いのではないか?この題材もあの題材もとたくさん選ぶのであればなおのことである。アメリカ映画ならもっとカットされたはずである。
あとは、音楽が悪い。繰り返される主題歌はともかく、まったく情景にあっていない。

高峰秀子も今ひとつかな?彼女は木下の作品に数多く出ている。「二十四の瞳」の女教師役も、「カルメン故郷に帰る」のストリッパー役も好きだ。個人的には大ファンの一人だ。しかし、成瀬巳喜男監督ほどは高峰秀子の良さを引き出していない気がする。
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雁の寺  若尾文子

2009-04-28 05:50:57 | 映画(日本 昭和35年~49年)
水上勉の直木賞作品を若くして亡くなった川島雄三監督が演出、美貌の若尾文子をめぐる雁が飛び回る寺での魔のような世界を画像化する。若尾文子の着物に僧侶が手を入れているDVDのジャケットが実にわいせつな雰囲気

昭和8年京都の寺で中村雁治郎ふんする襖画家が、雁の絵を描いていた。彼には妾の若尾文子がいたが、ある日病に倒れる。雁治郎は寺の住職三島雅夫に自分の死後は若尾を頼むと言い残してこの世を去る。初七日がきて、妾の若尾は雁治郎の供養に三島の寺にやってくる。三島は雁治郎の遺言をたてに若尾に迫り、若尾はあっさり受け入れ一緒に住むようになる。三島は美しい若尾との愛欲におぼれる。
三島の寺には修行僧が一人いた。彼は貧しい家の出で寺に預けられ、仏教系の中学に通いながら厳しい修行に励んでいた。しかし、学校での軍教練がいやで休みがちであることを教員木村功の知らせでわかる。住職三島は強く彼を叱責する。そんな時若尾は寺を訪れた僧から修行僧の貧しい身の上を聞き、彼に強く同情するようになるが。。。。

水上勉作品では「飢餓海峡」が名作とされるし、確かにスケールも大きく良い。しかし、比較的早い時期に犯人が判明するところに面白みが少ない気がする。この作品はヤマをどうもってくるのか展開を読ませない。
昭和30年代半ばの映画なりの造りの稚拙さにもかかわらず、味のあるおぞましい部分をおりまぜているのが良い。本当はこの10年後くらいに日活ポルノあたりでつくってもらったら良かったかもしれない。その場合の主演は五月みどりかな?現代でいうと杉本彩あたりが適役か?

川島雄三監督はいい作品を残している。フランキー堺主演「幕末太陽傳」はフランキーの軽快な動きとあいまってものすごい傑作である。このブログの最初で取り上げた「洲崎パラダイス」も抜群だ。
両作品と比較すると、俳優の動きにテンポがない。突然現代に戻るシーンが出てくる。川島一流のお遊びだが、そこで軽くペースアップをしてちょっと驚く。
俳優では三島のエロさがいい。雁治郎は出番が少ない。このころの若尾文子は芸者とか妾とかその10年後の彼女が演じない自由奔放な下層の役を演じている。彼女の美しさのピークは個人的には小津安二郎「浮草」と私は思っている。同じ川島監督「女は二度生まれる」も良い。この作品同様おじさんと若い男と両方の男たちをもてあそんでいる。今よりも女性の地位が低かったころに、男性に頼らねば生きていけないふりをしながら実は男を色気で自由自在に操る役が、その美貌のために実にうまい。
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草笛光子と成瀬巳喜男

2009-03-04 11:21:58 | 映画(日本 昭和35年~49年)
新入社員で会社に入ったとき、大変お上品なマダムがアルバイトに来ていた。働いたことなんてないんじゃないかと思われる50くらいの女性である。
家にいるよりは仕事でもしてといういかにも「有閑マダム」
事実お金持ちのマダムで、会社の女の子なんかは六本木の肉の老舗「和田門」につれてもらったりしてごちそうになっていた。私自身もお世話になった。
その年の年末、母が気にして、三越?からもらったミュージカルの券をそのマダムにプレゼントすると言った。主演は草笛光子であった。
草笛の演劇ときいて、そのマダムはたいへん喜んだ。
たいへんよかったそうで翌年入ってすぐ達筆な字でお礼状を母に下さった。「旧蝋の。。。。よかったです。」なんて
旧蝋なんて言葉は頭の辞書にないので戸惑った。

草笛光子はおばさんのイメージしかなかったので、あんなに喜んでもらえるとは思わなかった。
新入のときは30以上の女性は全部おばさんに見えてしまうわけだからね。
その後ずっと気になる存在だった。そして昔の東宝映画をみるにつれ縁がまたできた。
やはり美しい女性である。成瀬巳喜男の映画にも出てくる。

「放浪記」では男を取り合う女優兼文筆家役、「女という他人」では殺される女性の友人役
「乱れる」では加山雄三の姉役で小姑役、「乱れ雲」では夫を交通事故で亡くす司葉子の姉役

女っぽさが前面にでるのが「放浪記」である。
高峰秀子が貧乏暮らしの生計を立てようとして、カフェで働く(カフェは今で言うキャバクラだ)
そこで俳優兼文筆家の仲谷昇と知り合い、同棲するようになる。
ところが、仲谷には女優の恋人草笛がいた。草笛のもとへと仲谷はいくが、結局別れる。
その後またカフェで働く高峰(林芙美子)のところへ他の文筆家と草笛がきて、二人で組んでいこう
となる腐れ縁の仲である。

ここで草笛が演じる役がかっこいい。当時30前だったはずだが、ぱりっとして気の強そうな
役を素敵に演じる。ネットで見たらこの当時芥川也寸志と結婚していたらしい。
これは驚いた。あまり結びつかない二人だが、あの情念ある演技を見るだけでも彼が草笛光子を好きになったのがわかる。

なぜか不思議とひかれる女性である。
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