24節気では秋分の末候。水始めて涸れる頃とある。田から水がぬかれ、稲の刈り取り、収穫のまっただなか。かられた後の田んぼの虫をさがしてダイサギ、チュウサギ、カラスなどが歩き回っている。下関ではとらふぐの初セリがおこなわれ、天満宮では銀杏を落として五穀豊穣に感謝する。
我が家の庭の金木犀も花芽がつき、もうすぐかぐわしいにおいを発散しはじめる。
いよいよ秋深しである。名前はわからぬが秋蝶がゆらりゆらりと舞っている。秋の蝶は俳句の秋の季語になっているが飛ぶ姿も弱弱しくはかなさを感じさせる。
自然界は朱夏から白秋へむかいつつあるが娑婆はそんな悠長なことは言っておれない。5日に北里大学の大村教授80歳がノーベル医学生理学賞、6日に東大宇宙線研究所の梶田所長56歳に物理学賞が授与されることが決まって日本中大騒ぎ。TVは例によって小さいころはどうだったこうだったとネタ探しに狂奔している。
梶田先生のニュートリノに質量発見の偉業は一般人には理解しにくいがノーベル物理学賞を2002年に受賞した小柴教授以降の人脈の継承と地下1000Mにつくられたスーパーカミオカンデという観測設備などインフラ力に負うところが大きい。もうひとりの大村先生は微生物に着目した地道な研究の継続でアフリカの3億人の命を救う薬の開発につなげた功績はきわめてすごいことでノーベル平和賞のダブル受賞でもいいくらいのすごい仕事をされた。無償の薬剤提供や地元に美術館や温泉施設を私財をとうじて作られるなどまさにワールドレベルのすごい人格者だね。
こんな人材をまったくいままでTVに登場させてこなかったマスコミ界はいったい何をしていたんだろうね。毎日つまらん週刊誌ネタばかり報道して少しは反省してもらいたいものだ。しかし戦後70年、湯川秀樹博士の物理学賞からはじまって24人目の受賞ということだが日本人はたいしたものだ。すっとぼけた馬鹿者も多いが、ひとからどういわれようが揺るがぬ信念でじっくり研究をしつづけるこんな人がいるのは日本の底力ですね。いやはやおめでとうございました。