みやぎ野菜ソムリエの会

会員同士の相互交流と情報発信を目指し、各種勉強会、産地の視察研修等を自主的に行っていく野菜ソムリエ会員のコミュニティです

【素材のおはなし】(9)ブロッコリー

2012-12-03 16:00:02 | 食素材研のブログ

ブロッコリーで思い出すのはいつも十数年前の大失敗です。

あまりにもひどいので、頭にこびりついて離れないのです。ブロッコリーの牡蠣炒めをしようと、牡蠣を塩水で洗い、拭きもせず、片栗粉をつけ、ブロッコリーと一緒に炒めました。結果は言わずとも分かると思いますが、見た目も味も……、ご想像にお任せします。作った本人もビックリ仰天。

料理ってほんの僅かな手間や工夫をするだけで大分味も見た目も違ってくると今は思います。

余談はさておき、本題に入りましょう。


【栄養素】

ブロッコリー(緑花野菜:みどりはなやさい)のつぼみはガクや花弁が分化して出来た花蕾の集合体。紫緑色で、枝分かれし、半球形状に固まっています。低カロリーで、栄養価の高い緑黄色野菜です。1株200g当たりに含まれる大概の栄養素を以下に示します。

エネルギー:66kcal、カロテン:1.6mg、植物繊維:8.8g、リン:178mg

カリウム:720mg、カルシウム:76mg、マグネシウム:52mg、鉄:2mg

ビタミンE:4.8mg、葉酸:420μg、ビタミンC:240mg、

ビタミンK:320μg、ビタミンB1:0.28mg、ビタミンB2:0.4mg、

ビタミンB6:0.54mg、パントテン酸:2.24mg、ビオチン:18.6μg、

ナイアシン:1.6mg 

●ビタミン

ブロッコリーは栄養的に優れ、特にビタミンCはレモンの2倍、カリフラワーの3倍、キャベツの4倍、グリンアスパラの13倍、レタスの27倍も含まれています。

上記でわかるように、ビタミンCは飛び抜けて多く、シミやしわの防止など効果を発揮し、同時にブロッコリーに含まれているビタミンA、ビタミンEと一緒に‘ビタミンエース(ACE)’と呼ばれ、これらの相乗効果で抗酸化力が高まります。ビタミンB群やカリウム、カルシウム、鉄分などのミネラルも豊富で、植物繊維も多く含み、栄養価が高い緑黄色野菜です。

●スルフォラファン 

ブロッコリーに含まれるイオウ化合物は、体内でスルフォラファンと呼ばれる物質に変化します。

スルフォラファンにはがん抑制酵素を活性化する働きがあると言われており、注目されています。また、種子に水と光を与え2~3日育てた芽(スプラウト)には、スルフォラファンが同量のブロッコリーより20~50倍多く含まれていると発表され、普及し出しています。

●薬膳としての効能

生命エネルギーの一種である「気」を補給して、筋肉や関節、腱を丈夫にし、スムーズに動くように助ける働きがあります。疲れやすい、胃腸が弱いなど虚弱体質の人や、ストレスによる肩こり、目の疲れ、腰痛などの症状がある人、腱鞘炎や関節痛に悩む中高年に向く野菜です。


【科名】 

アブラナ科アブラナ属


【原産地】 

北海・英仏海峡、大西洋等ヨーロッパ海岸、地中海沿岸諸国


【伝来】 

ブロッコリーはキャベツ同様、野生種のケールが起源。ケールを紀元前600年頃にケルト人がヨーロッパ各地に広め、改良が繰り返され、ブロッコリーやカリフラワー、コールラビ、芽キャベツ、キャベツに分化しました。ブロッコリーはキャベツの中で最も進化が遅れたグループになります。

カリフラワー。

北海道のカリフラワー畑。ブロッコリー畑にそっくりです。

ブロッコリーはラテン語のbroccoに由来し、キャベツ類の花梗(かこう)を意味します。16世紀頃からイタリアを中心にヨーロッパ各地へ広まっていました。日本には明治初期にカリフラワーとともに導入されましたが、普及せず、第二次大戦後食の欧米化で注目され、1980年代、緑黄色野菜として栄養価の評価が高まり、本格的に広まりました。


【分類】

・頂花蕾型:株の頂上に花蕾を着ける。(品種例:緑嶺 ピクセル)

・頂・側花蕾兼用型:わき芽の花蕾も利用する。(品種例:ドシコー スティックセニョール ハイツ)


【栽培】

3パターン

・ 冬~春蒔きの春夏収穫(早生)

・ 夏蒔き夏~冬収穫

・ 秋蒔き冬~春収穫

ブロッコリーの定植(苗植え)作業。春蒔きです。

定植から一ヶ月位たった頃。


【産地・流通】

11月~3月には愛知、千葉、静岡等の物が、夏には長野や北海道の物が出回ります。他にアメリカ、台湾などからの輸入品を含めて周年出回ります。

北海道のブロッコリー収穫作業風景。

 

【良いブロッコリーの選び方】

・ 重くてずっしりしている

・ つぼみが詰まっている

・ 中央部が盛り上がっている

・ 根元の切り口がみずみずしい

・ 濃い緑色

 ブロッコリーは寒さにあたるとアントシアニンが生成され、濃い紫色になる場合があります。茹でるとアントシアニンは水に溶けて、花蕾は緑色に変わります。品質に影響がなく、紫になっている物が良いとも言われています。

ブロッコリーの花蕾は呼吸作用が盛んで、高温、乾燥下では急速に黄化します。つまりつぼみも根元も黄色みがかかってきて、鮮度が落ちます。火を通してもスカスカ感と苦みが残ってしまうので、注意しましょう。ブロッコリーは冷蔵庫の普及に合わせて消費が伸びたとも言えます。鮮度保持には0℃に近い低温と適度な湿度の供給が必要となります。


【保存方法】 

あまり日持ちがせず、黄色く変化し易いので、ポリ袋に入れるかラップで包むかして、それから冷蔵庫に入れて保存しましょう。できればすぐに食べましょう。硬めに茹でて小分けして冷凍保存も可能です。

 

ブロッコリーはカリフラワーに比べて茎が美味しく食べられます。特に中国で改良された芥藍(かいらん)は茎が美味しい。ブロッコリーに芥藍を交配して作ったスティックセニョールは長い茎を持つフローレット(小花蕾球)タイプのブロッコリーです。最近、このわき芽を収穫するスティックセニョールも出回っています。アスパラのように茎の部分が長くて柔らかいので、そのまま茹でて食べられます。一般のブロッコリーより暑さに強いので、真夏でも収穫出来ます。


【幅広い調理用途】 

ブロッコリーは花蕾及び茎を利用します。「あく」や「くせ」がなく、調理時間も短く、多くの料理に使用出来ます。

・ 茹でる:サラダ、和え物

・ 炒める:塩炒め、醬油炒め、味噌炒め、オイスターソース炒め

・ 煮る:カレー、シチュー、スープ

・ 焼く:チーズ焼き、グラタン

・ 揚げる:フライ、天ぷら

茎の外皮をむいて火を通せば、とても甘くて美味しい、ホタテと相性が良いと某有名シェフの本に書いてありました。私は豆腐が好きなので、豆腐炒めにもブロッコリーを使います。下の写真はブロッコリーと厚揚げのオイスターソース炒めです。とてもヘルシーなので、ペロリと食べられてしまいます。

周年出回っているブロッコリーの旬が、11月~3月で、12月は特に美味しいと言われています。その上、扱い易い食材で、栄養面においても、味の面においても本当に魅力いっぱいの野菜です。どんどん使って、より健康により美しくより素敵になりましょう。

 

参考文献

・ 花図鑑野菜+果物 草土出版

・ 新ビジュアル食品成分表 新訂版 大修館書店

・ 奥田政行の食材スーパーハンドブック 小学館

・ おいしい野菜教室 (株)出版社

・ おいしい野菜や果物の選び方 千葉県農林水産部生産販売振興課発行

・ 野菜ソムリエコース テキスト 日本野菜ソムリエ協会

・ 野菜薬膳 株式会社マイナビ

 

(文 食素材研究部会 岩佐麗子   写真 食素材研究部会 岩佐麗子・遠藤敬)

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