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上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

6月議会最終日・報告その1・・・補正予算の問題点を指摘し、討論

2021-06-25 12:35:33 | 熊本市議会
6月7に開会し、19日間開かれてきた6月の定例議会も、6月25日に閉会しました。
最終日となった今日は、補正予算への討論と、辛島公園・花畑公園に指定管理者制度を導入する都市公園条例の一部改正への討論を行いました。
今回は、補正予算への討論を紹介します。

(討論全文)
議第166号「令和3年度熊本市一般会計補正予算」について、賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
 今回の補正予算で、新型コロナウイルスワクチン接種の体制確保、自宅療養者へのフォローアップ体制強化、熊本駅・サクラマチバスターミナルにおけるモニタリング検査の継続・拡充経費、消防団の災害対応に係る感染防止対策など、新型コロナ感染症への対応に関わって、積極的な取り組みが提案されている点については、一定の評価をするものです。またその後、さらにワクチンの各種集団接種への対応や、抗原検査キットの配布、生活困窮世帯への追加支援、時短営業に伴う協力金への負担金などが追加されましたが、私ども日本共産党市議団として要望してきた内容でもあり、速やかな対応を評価致します。
 しかしながら、以下に述べる点については、種々問題があり、改善や対応を求めるものです。
第1に、新型コロナウイルス感染症の問題です。
コロナ封じ込めには、専門家の指摘もあるように、ワクチンの安全・迅速な接種、大規模検査、十分な補償と生活支援の3つの対策強化が必要です。
検査については、戦略的モニタリング検査経費として、熊本駅・サクラマチバスターミナルでのPCR検査無料キット配布を9月まで延長する分として1億3500万円が予算化されています。検査を希望する方に幅広く検査キットを提供するもので、積極的な活用が望まれますが、今後懸念される感染力が高いとされるデルタ株への置き換わり等を考慮するならば、安全・迅速なワクチン接種とともに、繰り返し求めてきた、希望する市民が、いつでも・どこでも・何度でも検査できるようなPCR検査を実施すべき時です。実施を強く要望いたします。
また、事業者への支援については、森都心プラザに入居する首都圏のベンチャー企業への進出支援が3社分として300万円予算化されています。さらに本日の追加補正で、時短要請に伴う事業者への協力金の負担分が3億6200万円が提案されました。しかし、これまでも指摘してきましたように、コロナの影響による減収に苦しむ事業者への幅広い支援がないことは、事業者支援が極めて不十分であると指摘しなければなりません。あらためて、長期に及ぶ地元事業者の実情をよく把握し、危機的な状況にある事業者の事業継続に対する市の支援策を検討していただくよう、強く要望しておきます。
一方で、補正予算ではありませんが、市民生活がひっ迫している折、議案として提案されている森都心ホール使用料の値上げや市民病院の初診料や再診料を大幅に値上げするような提案は容認できません。コロナ禍の市民の苦難に寄り添い、苦難解決に努めることこそ、住民に一番身近な自治体としての市の果たすべき役割です。今の市の対応は、全く逆行していることを厳しく指摘し、負担増や値上げの中止を強く求めます。
第2に、今回の補正予算には、各種施設の指定管理料にかかる債務負担行為が提案されています。継続分として25施設、新規に指定管理となる8施設です。うち5種の施設が企業体によって管理されています。企業体が管理する施設は、そのほとんどが、管理事業者が固定化し、同じ企業体が独占的に指定管理を行っています。本市の指定管理者制度に関する指針では、「複数の申請者から事業計画書を提出させ、民間事業者のノウハウ等活用により、市民サービスの向上や施設の効果的かつ効率的な管理運営が期待できる」と述べられ、事業者が積極的な提案を競うことによるサービスの向上が謳われていますが、実態はそうなっていません。しかし、逆に指定管理企業がコロコロ変わるならば、そこに働くプロパー職員の雇用存続にかかわるので、いずれにしても指定管理者制度そのものが抱える重大な問題があることを指摘しなければなりません。加えて、企業体が指定管理者となった場合、受け取る指定管理料で利益を上げようとすれば、その分市民サービスの低下を招くことになります。また、市はして管理料の積算にあたって施設管理に必要な基準の人件費単価を示していますが、それがきちんと支払われているのか、チェックされておらず、適切な人件費が支払われているのか不透明です。そもそも、企業による指定管理者制度の問題点は、住民福祉の増進のために設置された公の施設が企業の金儲けの道具となっている点です。また、企業にとっては設備投資をせずに収益を上げることができるものとしてビジネスチャンスに活用され、利用料金制によって利益は管理者である企業に入っています。しかし、税金で整備した公共施設なので、本来なら、そこでの収益は出資者である納税者が受け取るべきです。以上のような理由から、今回提案されている33施設・61億2240万円の指定管理料の債務負担行為については、賛成できません。
 第3に、健康福祉局関連で、児童手当システム改修経費8500万円が提案されています。これは2022年10月からの児童手当の特例給付を見直しに係るシステムの改修経費です。この改正は、年収1200万円以上の世帯の特例給付、子ども一人につき月5000円の給付を廃止するもので、全国的には61万人の子どもが対象となり、子育て世代へ370億円もの給付減を押し付けるものです。熊本市での影響は、約4000人が対象、約2000万円の給付減が見込まれます。そもそも、2010年に創設された子ども手当は、すべての子どもを対象としていましたが、2011年の制度改悪で所得制限が復活し、児童手当に戻されました。その時、影響緩和策として設けられたのが特例給付です。少子化対策などの子育て支援の財源を、児童手当の削減のような子育て世代への給付減で行うことは絶対に認められません。子育て支援の財源は、大企業や富裕層などへの優遇税制こそ改めるべきであり、今回のシステム改修経費には反対です。
第4に、教育委員会関連で「金峰山少年自然の家」の再建に伴うアドバイザリー業務委託等に係る経費1100万円が提案されています。そのうち、アドバイザリー業務委託経費が約1000万円、次年度分が債務負担行為で500万円計上されているので、委託費は全体で約1500万円です。「金峰山少年自然の家」の再建は、「整備基本計画」(素案)もコンサル丸投げの民間委託で策定されました。官民連携で整備から管理運営まで民間が行うことを優先検討することになっています。今回のアドバイザリー業務委託によって、ますます民間丸投げの手法によって整備がすすめられ、民間管理を前提にすすめられていきます。教育施設でありながら整備・運営の効率化を優先的に検討しすすめる整備でいいのか、大いに疑問です。教育は経営ではありません。子どもの声、教育現場の声、保護者の声をこそしっかりと聞き、公が設置する教育施設としての役割・機能が十分果たせるような検討と準備こそが必要です。そういう意味で、民間丸投げをさらに推進するアドバイザリー業務委託経費については賛成できません。今予算で設置される「金峰山少年自然の家整備運営審議会」が、広く市民や現場の声を聞く場として機能するよう、委員の選定、運営についても今一度しっかりした検討をお願いしておきます。
第5に、高校改革関連経費として市立高等学校・専門学校改革基本計画に基づく開校準備経費が390万円提案されています。高校・専門学校3校のうちの1つ、必由館高校の関係者から、市教育委員会のすすめる改革に対し、陳情が出され、委員会への趣旨説明も行われました。生徒数が大幅に減ることや中高一貫教育が導入されることに対し、まだ理解が得られておらず、拙速にすすめてほしくない旨の内容でした。これまで、さまざまな経過を経て改革が議論されてきましたが、まだまだ理解・納得が得られていないというのが現状です。必由館高校についての改革案策定は、教育委員会としても先送りすることとなりましたが、教育市民委員会でも意見を述べましたように、関係者のみなさまの声を丁寧に聞き、疑問に答え、理解・納得のもとにすすめられていくよう、お願いしいておきます。
 第6に、マイナンバー制度を活用するものとして、マイナポータルを通して健診結果を個人に提供するシステム改修や健康ポイント事業におけるマイナポイント付与のためのシステム改修経費が提案されています。
「社会保障と税の共通番号」としてつくられたマイナンバー制度は、当初からプライバシーや基本的人権の侵害をおこすことが懸念されてきましたが、今回の補正内容にかかわる「マイナポータル」は、プライバシー保護が不確実なことに加え、マイナポータルがマイナンバーを使って、複数の行政機関が保有する国民の個人情報を別の行政機関が集めて閲覧するなどの行為も可能であるなど、個人の情報が行政機関や企業等に常に監視される状態も考えられます。また、マイナポイント事業については、事務局である法人が、実務の多くを電通に再委託していますが、キャッシュレス決裁事業者等が、ポイント還元の原資によって儲かる仕組みがつくられており、官民共同利用型キャッシュレス決裁は、企業の利益と一体となる一方で、社会保障費の抑制へと働いていくものです。このように、マイナポータルやマイナポイント事業は、国民のためではなく、行政の国民監視や大企業の儲けの仕組みのためのマイナンバー制度に関わるものであり、その利活用をすすめる予算には賛成できません。
 以上、賛成できない点を述べましたが、新型コロナウイルス感染症は、オリンピックを前に、デルタ株の感染拡大が懸念されるなど、予断を許さない状況があります。コロナ収束に向け、全庁あげ、市民の苦難解決の立場で総力で取組んでいただくようお願いして、討論と致します。
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