9月30日、「立野ダムに予算をつけないことを求める要望書」を財務大臣へ提出しました。
熊本駅前に移転した九州財務局を訪れ、「立野ダムによらない白川の治水を考える熊本市議の会」はじめ3団体で要望書を提出しました。
財務局は、「私たちには決定権がないので、要望書は上にあげます。」と消極的な対応でした。
共産党市議団からは、山部議員と上野の2人で参加しました。
以下、要請文です。
平成28年9月30日 財務大臣 麻生太郎 様
立野ダムによらない自然と生活を守る会 代表 中島康
ダムによらない治水・利水を考える県議の会 代表 西 聖一
立野ダムによらない白川の治水を考える熊本市議の会 代表 田上辰也
代表連絡先 熊本市西区島崎 4 丁目 5-13 中島康
電話 090-2505-3880 FAX 096-354-2966
国営立野ダムに予算をつけないことを求める要請書
下記6点の理由で、国営立野ダム建設事業は明らかな国費の無駄遣いであり、来年度以降、予算をつ けないことを強く要請します。
1.河川改修で白川の流下能力は大幅に向上し、立野ダムを建設する必要がない 私たちは昨年11月10日、貴省に対し、国土交通省が情報開示した白川の「現況河道流下能力算定 表」によると、河川改修で白川の流下能力は大幅に向上し、立野ダムを建設する必要がないことから同 ダムに予算をつけないことを求める要請書を提出しました。
2.熊本地震で立野ダム予定地周辺は大規模な土砂崩壊や断層の露出があり、立地条件が最悪である 今年4月の熊本地震で、阿蘇では大動脈である国道57号と阿蘇大橋が大規模な土砂崩れで崩落しま した。そのすぐ下流の立野ダム建設予定地周辺も両岸が大きく崩壊し、工事用道路や現場事務所、工事 車両等が崩落した土砂に埋まりました。周辺には多くの断層も露出しています。立野ダム完成後にこの 地震が起こったとしたらダム上流は多量の土砂や流木で埋めつくされ、洪水調節できなくなっていたこ とは明らかです。断層が集中する火山地帯のカルデラの切れ目はダム建設の立地条件として最悪です。
3.「立野ダム建設に係る技術委員会」による検証も極めて不十分である 国土交通省は熊本地震による大規模な土砂崩壊や断層の露出を受けて7月27日、「立野ダム建設に 係る技術委員会」を設置しました。同委員会は初会合からわずか3週間で3回の会合を行い、8月17 日に「立野ダム建設に技術的な課題はない」との結論を出しました。国土交通省が選んだ7名の委員も、 同省の見解に疑問を呈することはありませんでした。 立野ダムは洪水調節だけを「目的」としたダムですが、洪水時にはダム下部の穴(高さ5m×幅5m) が流木などでふさがり、ダムへの流入量を貯め込むばかりとなり、洪水調節機能を果たせないばかりか、 非常に危険な状態となることは明らかです。 ところが、同委員会の見解は「立野ダム建設予定地に考慮すべき断層はなく、岩盤の健全性に問題は ない」。流木や巨石で立野ダム下部の穴(高さ5m×幅5m)がふさがる懸念については「ダム本体の 200m上流に建設するスリットダムと、穴の上流側を覆うスクリーン(柵)によってカットでき、穴 がふさがることはない」と結論付けました。 しかし、熊本地震による土砂崩壊とその後の増水で、熊本市内など下流の橋脚には多くの流木が引っ かかり、有明海にも大量の流木が漂着・漂流し、7月末までに1万6000立方メートル以上が回収さ れたと報じられています(熊本日日新聞 2016 年 8 月 15 日付)。それらの大半は阿蘇カルデラ内で発生 し、立野ダム地点を通ったわけであり、スクリーンやスリットダムで防げる量ではとてもありません。 現に、直径約10mの立野ダム仮排水路トンネルの入り口は、土砂と流木でふさがっています。 国土交通省が立野ダム下部の穴が流木などでふさがらない理由として、穴の上流側を覆うスクリーン をふさぐ流木が、ダムの水位が上がると浮いてくるとしています。その元となった模型実験では、ダム の穴をふさぐツマヨウジなどの円柱材が、ダムの水位が上がると浮いてくるとしています。しかし、実 際の流木は根や枝がついており、水を吸って比重も大きくなっています。流木を穴が吸い込む力は、流 木の浮力よりもはるかに大きいのは明らかです。実際の洪水では、流木も岩石も土砂も一緒に流れてき
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ますが、国土交通省の検証では流木、岩石、土砂、それぞれ単独で模型実験やシミュレーションを行っ ただけです。立野ダムの穴がふさがらないとする同省の主張はありえないことです。 以上の国土交通省の主張に関し、7名の委員は何の疑問も表明せず、そのまま承認しました。同委員 会の検証は極めて不十分と言わざるを得ません。
4.ダムが機能すると仮定しても費用対効果が極めて低い事業である 白川の河川整備計画によると、毎秒2300立米の洪水のうち立野ダムは毎秒200立米を調節する 能力しかなく、ダムが機能すると仮定しても費用対効果が低い事業です。ダム建設後も堆積する土砂の 撤去等に膨大な維持管理費が発生します。また、大津町や菊陽町など白川中流域には河川整備計画が策 定されておらず、中流域でも今後当然なされる河川拡幅や遊水地の設置で、立野ダムによる洪水調節効 果は十分賄えるものであり、費用対効果が極めて低い事業です。
5.今後立野ダム建設を継続した場合、事業費が大幅に増えることは明らかである 立野ダムの総事業費は平成24年度現在で917億円ですが、すでに540億円が使われています。 国土交通省は「今後も総事業費は増えない」との見解ですが、資材や人件費等の高騰や、熊本地震でダ ム事業地の大掛かりな復旧が必要なこと等を考えると、今後立野ダム建設を継続した場合、事業費が大 幅に増えることは明らかです。
6.事業者が説明責任を果たしていない 私たちはこれまで4年間以上、事業者である国土交通省に対し、立野ダム建設に関して住民の疑問に 直接答える説明会を開くことを求めてきましたが、一度も開かれていません。一般の住民に直接説明も できない事業に、公益性はありません。 以上
熊本駅前に移転した九州財務局を訪れ、「立野ダムによらない白川の治水を考える熊本市議の会」はじめ3団体で要望書を提出しました。
財務局は、「私たちには決定権がないので、要望書は上にあげます。」と消極的な対応でした。
共産党市議団からは、山部議員と上野の2人で参加しました。
以下、要請文です。
平成28年9月30日 財務大臣 麻生太郎 様
立野ダムによらない自然と生活を守る会 代表 中島康
ダムによらない治水・利水を考える県議の会 代表 西 聖一
立野ダムによらない白川の治水を考える熊本市議の会 代表 田上辰也
代表連絡先 熊本市西区島崎 4 丁目 5-13 中島康
電話 090-2505-3880 FAX 096-354-2966
国営立野ダムに予算をつけないことを求める要請書
下記6点の理由で、国営立野ダム建設事業は明らかな国費の無駄遣いであり、来年度以降、予算をつ けないことを強く要請します。
1.河川改修で白川の流下能力は大幅に向上し、立野ダムを建設する必要がない 私たちは昨年11月10日、貴省に対し、国土交通省が情報開示した白川の「現況河道流下能力算定 表」によると、河川改修で白川の流下能力は大幅に向上し、立野ダムを建設する必要がないことから同 ダムに予算をつけないことを求める要請書を提出しました。
2.熊本地震で立野ダム予定地周辺は大規模な土砂崩壊や断層の露出があり、立地条件が最悪である 今年4月の熊本地震で、阿蘇では大動脈である国道57号と阿蘇大橋が大規模な土砂崩れで崩落しま した。そのすぐ下流の立野ダム建設予定地周辺も両岸が大きく崩壊し、工事用道路や現場事務所、工事 車両等が崩落した土砂に埋まりました。周辺には多くの断層も露出しています。立野ダム完成後にこの 地震が起こったとしたらダム上流は多量の土砂や流木で埋めつくされ、洪水調節できなくなっていたこ とは明らかです。断層が集中する火山地帯のカルデラの切れ目はダム建設の立地条件として最悪です。
3.「立野ダム建設に係る技術委員会」による検証も極めて不十分である 国土交通省は熊本地震による大規模な土砂崩壊や断層の露出を受けて7月27日、「立野ダム建設に 係る技術委員会」を設置しました。同委員会は初会合からわずか3週間で3回の会合を行い、8月17 日に「立野ダム建設に技術的な課題はない」との結論を出しました。国土交通省が選んだ7名の委員も、 同省の見解に疑問を呈することはありませんでした。 立野ダムは洪水調節だけを「目的」としたダムですが、洪水時にはダム下部の穴(高さ5m×幅5m) が流木などでふさがり、ダムへの流入量を貯め込むばかりとなり、洪水調節機能を果たせないばかりか、 非常に危険な状態となることは明らかです。 ところが、同委員会の見解は「立野ダム建設予定地に考慮すべき断層はなく、岩盤の健全性に問題は ない」。流木や巨石で立野ダム下部の穴(高さ5m×幅5m)がふさがる懸念については「ダム本体の 200m上流に建設するスリットダムと、穴の上流側を覆うスクリーン(柵)によってカットでき、穴 がふさがることはない」と結論付けました。 しかし、熊本地震による土砂崩壊とその後の増水で、熊本市内など下流の橋脚には多くの流木が引っ かかり、有明海にも大量の流木が漂着・漂流し、7月末までに1万6000立方メートル以上が回収さ れたと報じられています(熊本日日新聞 2016 年 8 月 15 日付)。それらの大半は阿蘇カルデラ内で発生 し、立野ダム地点を通ったわけであり、スクリーンやスリットダムで防げる量ではとてもありません。 現に、直径約10mの立野ダム仮排水路トンネルの入り口は、土砂と流木でふさがっています。 国土交通省が立野ダム下部の穴が流木などでふさがらない理由として、穴の上流側を覆うスクリーン をふさぐ流木が、ダムの水位が上がると浮いてくるとしています。その元となった模型実験では、ダム の穴をふさぐツマヨウジなどの円柱材が、ダムの水位が上がると浮いてくるとしています。しかし、実 際の流木は根や枝がついており、水を吸って比重も大きくなっています。流木を穴が吸い込む力は、流 木の浮力よりもはるかに大きいのは明らかです。実際の洪水では、流木も岩石も土砂も一緒に流れてき
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ますが、国土交通省の検証では流木、岩石、土砂、それぞれ単独で模型実験やシミュレーションを行っ ただけです。立野ダムの穴がふさがらないとする同省の主張はありえないことです。 以上の国土交通省の主張に関し、7名の委員は何の疑問も表明せず、そのまま承認しました。同委員 会の検証は極めて不十分と言わざるを得ません。
4.ダムが機能すると仮定しても費用対効果が極めて低い事業である 白川の河川整備計画によると、毎秒2300立米の洪水のうち立野ダムは毎秒200立米を調節する 能力しかなく、ダムが機能すると仮定しても費用対効果が低い事業です。ダム建設後も堆積する土砂の 撤去等に膨大な維持管理費が発生します。また、大津町や菊陽町など白川中流域には河川整備計画が策 定されておらず、中流域でも今後当然なされる河川拡幅や遊水地の設置で、立野ダムによる洪水調節効 果は十分賄えるものであり、費用対効果が極めて低い事業です。
5.今後立野ダム建設を継続した場合、事業費が大幅に増えることは明らかである 立野ダムの総事業費は平成24年度現在で917億円ですが、すでに540億円が使われています。 国土交通省は「今後も総事業費は増えない」との見解ですが、資材や人件費等の高騰や、熊本地震でダ ム事業地の大掛かりな復旧が必要なこと等を考えると、今後立野ダム建設を継続した場合、事業費が大 幅に増えることは明らかです。
6.事業者が説明責任を果たしていない 私たちはこれまで4年間以上、事業者である国土交通省に対し、立野ダム建設に関して住民の疑問に 直接答える説明会を開くことを求めてきましたが、一度も開かれていません。一般の住民に直接説明も できない事業に、公益性はありません。 以上