7月27・28日の2日、熊本県下の各種市民団体等で構成する「いのちネット」で、政府交渉が行われました。
日本共産党市議団も一緒に参加し、国にかかわる市民要求を国へと届けました。
市議団としての要望事項は、以下のとおりです。
font size="5">1、国民健康保険制度の改善を求める要請≪要請趣旨≫
熊本市における国民健康保険会計の累積赤字は昨年度末15億円、保険料の負担は全国でもトップクラスです。所得200万円・4人家族のモデル世帯における年間保険料は1世帯当たり387,110円で、政令市で高い方から3番目、政令市平均の334,496円を5万円以上上回っています。しかも、政令市の中で、一番保険料負担の軽い広島市は204,931円となっており、熊本市は2倍近い負担です。また、所得額が年300万円であっても5人世帯(夫・妻・子ども3人)の場合は、介護分も含めると最高限度額の年81万円もの負担となり、所得の4分の1が保険料負担となります。給与や年金収入は年々減り、保険料負担も増えているために、払えない世帯が増え続けています。このような、限界を超えた保険料負担を軽減するためにも、国庫負担の引き上げがどうしても必要です。国庫負担の割合をもとの50%に引き上げるよう要望します。
また、子ども医療費無料化・重度心身障がい者医療費助成・ひとり親家庭医療費助成の現物給付について、国民健康保険会計への国庫負担の減額が行われています。子育て世帯、障がい者世帯、ひとり親世帯、いずれも暮らしがたいへんな世帯で、償還払いでは必要な医療が受けられません。熊本市議会にも、当事者の方々は現物給付の要望が繰り返し届けられています。必要な医療を保障するための大切な制度として、国庫負担の減額ペナルティーの廃止を強く要望します。
≪要請項目≫
1.担の限界を超えた保険料を軽減し、払える保険料にするため、国民健康保険の国庫負担割合を引き上げること
2.重度心身障がい者医療費・子ども医療費・ひとり親家庭医療費の現物給付にかかるペナルティーを廃止すること
2、子どもの医療費無料化に関する要請
≪要請趣旨≫
非正規雇用の広がりの中で、子育て世代も含む雇用者所得は年々減少しています。当たり前に働くことができず、結婚できない、結婚はしても少ない収入の中で子育てにあまりにもお金がかかることから、子どもをつくるのをためらっているなど、経済的な困難が少子化にも大きく影響しています。
少子化社会対策基本法の第2条(施策の基本理念)には「少子化に対処するための施策を講ずるに当たっては、子どもの安全な生活が確保されるとともに、子どもがひとしく心身ともに健やかに育つことができるよう配慮しなければならない」とあります。
子ども医療費無料化の制度は全国の自治体で実施され、子育て世帯の経済的な負担の軽減に大きな役割を果たし、たいへんよろこばれています。しかし、自治体間の格差があり、「ひとしく~健やかに~」とは言えない状況です。
国は、少子化に対処するための施策を総合的に策定し、実施する責務があります。子ども医療費助成制度を国の制度として創設することによって、自治体間の格差を少なくし、どこに生まれ住んでも等しく大切に育てられるよう、全国的に制度の拡充をすすめていくために、国として力を尽くしていただくことを要望します。
≪要請項目≫
1.国による子ども医療費助成制度を創設すること。
3、生活保護に関する要請
≪要請趣旨≫
政府は、生活保護費を2013年度から3年間で総額670億円削減しました。
削減幅は、平均6.9%基準引き下げによって受給額が減る世帯は96%になりました。
日本の補足率15%~20%でイギリス90%.フランス91%.ドイツ65%と先進国の中で極めて低くなっています。
貧困率は16.1%、子供のいる世帯の貧困率は16.3%、子育て世帯が一般世帯より貧困であることです。一人親世帯の貧困率は54.6%、二人に一人以上が一人親の場合には貧困だということです。世界的には、日本の貧困率はワースト5に入り先進国の中ではアメリカに次ぐ貧困大国です。
政府は、国民生活がどこまでも低下しても責任が無いと言っているに等しいと思わざるを得ません。
国の通知による住宅扶助費の基準引き下げが7月に行われました。一定の猶予期間があるものの、市が当事者に対し、「家主・不動産業者へ家賃の減額を行うよう要望することや、それができなければ、転居も検討しなければならないこと」の説明が行われ、実態に合わない機械的な対応に、不安と怒りの声が上がってきています。熊本市の場合、特に大きな影響が出るのは、2人世帯です。現行月40,400円の扶助費が37000円へと引き下げられます。月額3400円の引き下げは、この間相次ぎ扶助が切り下げられた中で、保護世帯にとって大変大きな影響です。家主・不動産事業者に家賃減額を求めることや転居は、病気や障害・高齢化といった様々な条件の方々にとっても、すんなり受け入れられるものではありません。そもそも、今回の住宅扶助費の削減というのは、熊本市においては、借家の家賃の低い周辺市町村より、家賃の高い熊本市の基準が低くなってしまうという大きな矛盾を生んでいます。どこに行っても、都市部の家賃が高いというのは常識です。それに反するのが、今回の住宅扶助費の削減です。速やかに方針を撤回することを求めます。
また、複雑多様な保護世帯の状況に適切に対応するためにも、ケースワーカーの資質向上は不可欠です。しかし、熊本市は5人に1人が非正規のケースワーカーです。適切なケースワーク実施のためにも、正規職員によるケースワーカー配置を国としても指導していただきたい。
教育扶助費の中で、特に実態とかけ離れているのが入学準備金です。中学校・高校の入学時にはかなりの就学費が必要となります。現在、中学入学準備金47,400円、高校入学準備金63,200円が教育扶助費の基準額になっています。しかし、実際には、入学のための費用は、中学校で男子102750円、女子131380円、高校では男子91975円、女子104975円程度となります。負担の大きい入学準備金については、実態に待ったものとなるよう拡充を求めます。
生活保護法を憲法の理念に基づき豊かなものにする観点から以下のことを要請します。
≪要請項目≫
1.福祉事務所および保護課の所員の定数について
社会福祉法第16条(所員の定数)に定めてある所員数を満たすよう配置し、
尚、その際、社会福祉士および精神保健福祉士の資格取得者を正規職員として配属し、生活保護受給者の要望に対応できる体制を確立するよう指導していただくこと。
2.福祉事務所の窓口には、相談窓口と表示してあり相談を受けてからでなけれ
ば申請用紙を渡さない実態があります。こうした実態を改め、申請者には必ず申請用紙を渡すように、また申請者の意に反して取り下げ書を求めないよう指導していただくこと。
3.遡及して受給した年金収入にかかる自立更正費の取り扱いについて
平成24年7月23日、社援保発0723第1号が発出されて以降、各福祉事務所の取り扱いが極端に遡及年金の自立更正適用を拒む事態が発生しています。適正な運用を教授していただくこと。
4.住宅扶助基準引き下げは撤回すること。
5.実態無視の転居の「指導・指示」はせず、生活保護利用者の意思を尊重
するよう指導していただくこと。
6.特別基準の対応を積極的に行うよう指導していただくこと。
7.子どもの就学費用(高校・中学入学時等)を実態に見合ったものとすること。
4、介護報酬及び介護保険制度改定についての要請
≪要請趣旨≫
2015年度は介護保険法の改正、介護報酬の改定が実施され、制度変更に伴い利用者・家族、事業所にとって様々な矛盾、困難をもたらしています。利用者の利用料負担増、要支援者の保険はずし、特養入所者制限など高齢者にとってますますサービスを控える・利用できないなど懸念される制度になっています。また、今までにない基本報酬の大幅な引き下げにより、事業所の経営は大きく打撃を受け、特に新たな加算を取得できない小さな規模の事業所は廃業せざるを得ないという状況も作り出しています。
介護サービスの利用限度額を超えた場合の高額サービス費の支払いが償還払いになっているために、利用者の大きな負担になっていることです。熊本市は、全国的に見ても市民所得の低い自治体です。低年金・低所得の人が多いにも関わらず、この間その年金がさらに削減されてきており、高齢者の暮らしはたいへんな中にあります。そういう中で、熊本市の高額介護サービス費の支払いが年々増えてきているというのは、高齢化の進行もあって、より多くの介護サービスを利用しなければ生活できない高齢者が増えてきていると考えられます。そういう方々の負担を減らして、スムーズに介護サービスが受けられるように、高額介護サービス費については現物給付としていただくことを要望します。
また、年金の少ない生活困窮の高齢者は、生活保護になる方もおられます。当然、滞納となっている介護保険料を支払う余裕もありません。国民健康保険の場合は、生活保護へ移行した場合、過去の保険料滞納分は減免の措置が取られています。介護保険の場合も、生活保護に移行した場合の滞納分保険料は減免対象とするよう要望します。
特別養護老人ホーム等の介護施設が不足する中で、さまざまな形態の高齢者の住居施設が民間によって建設されています。しかし、小規模型の施設はじめ、それらの施設には規制がないため、入所や居住環境を適切にするための基準がありません。高齢者が住み慣れたまちで安心安全な生活をおくれる様にするためにも、介護施設以外の高齢者住居の状況を把握し、一定の基準を設け、不適切な処遇については国や自治体によって指導していただくことを要望します。
≪要請項目≫
7.高額介護サービス費の利用者負担上減額を超えた自己負担の償還払いをやめ、現物給付とすること。
8.生活保護となった人の過去の介護保険料滞納分については減免すること。
9.介護施設の不足の中、増え続ける民間高齢者施設の実態を把握し、適切な入所・居住環境が守られるよう基準を設け指導すること。
5、母子福祉資金運用の改善を求める要請
≪要請趣旨≫
母子福祉資金貸付は、経済的な面で、一般の世帯に比べ極めて困難な状況にある母子世帯にとって、大変有用な貸付制度であり、困窮しているひとり親世帯が利用しやすい制度となることが求められています。しかし、実際には、返済困難な世帯も少なくない中で、必要であっても借りることができないケースが多々発生しています。母子世帯のおかれた状況に鑑み、以下の点について運用を改善していただきたい。
母子福祉資金は、福祉の分野でも最も困難を抱えている方々の利用している制度であり、返済困難の場合の延滞金を徴収は、元金すら払えない世帯にとって大きな負担です。昨年、一定の改善が図られ延滞金利率が5%へと引き下げられましたが、まだまだ大きな負担です。多くは、子どもの奨学資金などであり、延滞金の徴集は酷であると思われる。制度の趣旨に鑑み、母子福祉資金貸付においては、「延滞金」の規定をなくしていただきたい。
また、保証人については、国が通知によって、必要ないケースを定めているので、その運用を徹底していただきたい。貧困状況は厳しくなっているにもかかわらず、新規貸付数は年々減っています。制度の趣旨に則り、適切に貸し出しが行われるよう国としても運用を指導していただきたい。
≪要請項目≫
1.延滞金徴収の規定をなくすこと
2.保証人については、平成21年6月5日厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知「母子及び寡婦福祉法施行令の一部を改正する政令等の施行について」の周知を徹底し、不適切な運用がある場合は指導すること
3.貸付の相談件数に対し、貸付が少ないため、制度の趣旨に鑑み、適切に貸し出しが行われるよう運用を指導すること。特に、実態に合わない家族の滞納等を理由にした貸付の制限をやめるよう指導すること
6、保育についての要請
≪要請趣旨≫
待機児・保留児問題は、今や子育て分野最大の課題になっています。熊本市は、これまで国の補助制度なども活用しながら、保育所整備に努めてきましたが、まだまだ待機児・保留児の解消という状況には至っていません。
保育所不足は、出産によって休職したら職場に戻れない、働きたくても求職活動ができない、職場復帰ができずに仕事を辞めざるを得なかった、遠い保育所への送迎がかなり困難、公立・認可保育所に入れず高い保育料を払い認可外に入所せざるを得なかったなど、深刻な事態をもたらしています。自治体が保育所整備を速やかに行えるように、待機児解消に係る国の支援策を拡充し、国として責任ある待機児解消策を実施していただきたい。
また、今年度より新保育制度への移行が始まりました。熊本市においても順次移行が行われていますが、今後の保育所整備の状況を見ると、小規模型に頼る整備方針となっています。しかし、小規模保育所の場合、各種基準が一般保育所に比べ、緩和されており、保育の内容・質の確保に不安が残ります。子どもの健やかな成長を保障する質の高い保育を実施するためにも、一般保育所が整備しやすいような国としての支援策の拡充を要望します。
≪要請項目≫
1.待機児解消を国の責任で進めること。また、待機児解消にかかる国の支援策を拡充すること。
2.小規模ではなく、一般の保育所整備に対する国の支援拡充を行うこと。
7、公立病院への支援策の拡充を求める要請
≪要請趣旨≫
熊本県には県立の総合病院がないため、「熊本市民病院」が県立総合病院に代わる公立総合病院としての重要な役割をはたしています。公的病院に求められている役割を踏まえ、(1)周産期母子医療、 (2)がん医療、(3)生活習慣病医療、(4)救急医療の4項目を担うべき医療の柱とし、チーム医療を特徴とした診療体制で地域の医療機関との連携を図りながら、総合病院として多種多様な疾患に取り組んでいます。
特に、グローバルな時代を迎え、危険度の高い感染症患者の受け入れ、エボラ出血熱などの1種感染症受入れでは、県下に感染症ベッドのない宮崎県・鹿児島県含め南九州一円の拠点病院となります。最近韓国でも大流行となったMERSコロナウイルスなどの2種感染症においても県下唯一の受け入れ医療機関となっています。不採算部門となる感染症病床は、全国どこの地域においても公立病院の大きな役割となっています。現在、国・県等による一定の支援措置はとられていますが、まだ十分といえるものではありません。具体的な患者受け入れ時、あるいは医療機器・防護服等の備品の買い替え時も含めて感染症病床への抜本的な支援策拡充を要望します。
また、少子化の中で、安心して子どもを出産できる医療機関の充実も重要な課題です。熊本市民病院は、「周産期母子医療」を担うべき医療の柱の第1に掲げ、ユニセフ・WHOが取り組む「赤ちゃんに優しい病院」の一つとして、NICUベットを確保し、極小未熟児などの低出生体重児の命を助けてきました。周産期医療の分野は、高度な医療技術ともに、それを支える高度な医療機器の整備も必要です。医療機器に関する整備補助金のメニューが2014年度以降なくなりました。医療機器の更新時期は必ず迎えるものです。小さな命を助ける高度医療の維持のために、2010年度から2013年度まで行われてきた「地域医療再生計画による補助」をぜひ復活し、周産期母子医療への支援をお願いしたい。
≪要請項目≫
1.第1次・第2次感染症病床維持・運営への支援拡充を行うこと
2.総合周産期医療に対する支援を拡充し、医療機器に関する整備補助金メニューを復活すること
3、加瀬川における河川整備の促進と内水対策についての要請
≪要請趣旨≫
熊本市の東部から南西部に流れる加瀬川については、現在、平成25年度1月に策定された河川整備計画に沿い、河川整備が進められています。概ね堤防の整備は完了していますが、昭和63年5月洪水や平成9年7月洪水等により甚大な洪水被害が発生するなど、現在の流下能力は約700㎥/秒と5年に1度の洪水に対応できる水準であり、治水安全度の向上に向け、早急な河川整備が求められています。
現在は、下流より河道掘削などが実施されているところですが、さらなる早急な整備を進めるとともに、川尻、中無田、杉島、野田において築堤および既設堤防の嵩上げ、拡幅等など、治水対策を速やかに実施されるよう求めるものです。また、国交省自身も留意されているとおり、江津湖の水位低下や生態系への影響等については特別に留意しながら計画を進めていただくようお願い致します。
また、野田地区などで発生している内水氾濫被害等についても、当該自治体と連携をしながら早急な対策・支援を行うともに、県管理区間においても内水被害解消に向け財政支援を強化し、対策に取り組まれるよう求めます。
≪要請項目≫
(1)江津湖等生態系に留意しつつ、河川整備計画のそった早急な河川改修を進めること。
(2)野田地区など、内水氾濫による被害対策を早急に講じることとともに、県管理区間においても、早急な対策が図られるよう財政支援等を講じること。
2、教育分野での要請
≪要請趣旨≫
格差と貧困、複雑な社会情勢を反映して、子どもを取り巻く状況や、また子どもたち自身も様々な問題を抱えています。以前にも増して、教育現場への丁寧で十分な支援が求められています。
これまで、全国で広がってきた少人数学級については、国としてもその効果を認め、拡充の方向が示されてきています。少人数学級拡充の具体的な計画を立て実施に早急に取り組んでいただきたい。
子どもたちが経済的な困難によって学ぶ機会を失うことのないよう、義務教育にあっては就学援助制度の拡充や適切な運用、高校・大学などの高等教育については、奨学金制度の拡充が喫緊の課題です。就学援助制度の拡充のために、交付税にも算定されているクラブ活動費・PTA会費・生徒会費について、各自治体が支給するよう働きかけることを求めます。奨学金については、有利子奨学金が増え、「教育ローン」化し、その返済に苦慮する家庭が増えています。昨今の子どもの貧困化に対応し、国として給付型の奨学金を速やかに実施するよう要望します。
また、教育環境の整備は、異常ともいえる温暖化による猛暑が続く中、エアコン設置は子ども達の適切な教育環境を保障するうえで、必要不可欠なものとなってきています。エアコン設置推進のため、国としての支援を拡充する立場で、設計・設置に関する補助率を過去の2分の1にまで引き上げることを要望します。
公務の職場においても、非正規雇用が増え続け、ワーキングプアが広がっています。教育の現場では、同じ職務に就き、同じ責任を負いながら「非正規」の臨時教職員が年々増えています。深刻化するいじめや不登校など、多様化する子どもたちの問題に丁寧・適切に向き合っていくためにも、教職員の処遇確保は重要な問題です。国としても、子どもたちの教育条件を確保の面から、正規教職員の雇用をすすめていくことを要請します。
≪要請項目≫
① 少人数学級に係る国の制度を拡充すること
② 就学援助については、交付税措置を交付金へと戻すこと。クラブ活動費・PTA会費・生徒会費については、交付税に算定されていることから、きちんと支給するよう指導すること
③ 教室へのエアコン設置に対する補助率を引き上げること
④ 付制の奨学金制度をつくること。また、貸与型奨学金は無利子とし、返済猶予・免除の拡充を図ること
⑤ 教職員の非正規雇用をやめ、正規職員として採用すること
同時に、「桜町再開発」と「障がい者グループホーム入所要件」の2件については、それぞれ国土交通省と厚生労働省の担当部署にレクチャーを行いました。
内容は以下の通りです。
熊本市桜町再開発とMICE施設整備に関するレクチャー依頼について
熊本市の中心市街地の真ん中に位置する桜町地区に、民間事業者が会社施行で実施する桜町再開発事業がすすめられています。総事業費約700億円の事業に、熊本市は保留床取得金・補助金等含め450億円もの公費を費やして、3000人の大会議場・MICE施設を整備しようとしています。
桜町再開発事業は、国の補助金は126億円にものぼり、熊本市では過去最大かつ異例の再開発事業であるにもかかわらず民間事業のため、事業の進捗状況・見通し、事業費の積算など、不透明です。
そもそも、再開発事業では、複数地権者が敷地の共同化を行い、高度利用するときに補助対象となります。1個人には補助を出さないというのが、補助の考え方の基本です。2002年の「都市再開発法」改正によって、「再開発会社」施行が再開発の手法に加わっていますが、再開発の趣旨を考えると、再開発会社施行であっても、組合施行同様に複数地権者が前提であるべき、法律・政令・省令の抜け道を利用した脱法的な補助金投入とならないためにも、「再開発会社」施行についても、複数地権者の規定を明記するべきです。
桜町地区再開発事業において、熊本市は、再開発の保留床を取得して、公益施設として「MICE施設」を整備しようとしています。平成26年度事業分の「暮らし・にぎわい再生事業」補助金申請調書によれば、このMICE施設に「暮らし・にぎわい再生事業」交付金(国費)が総額73億6000万円要望されています。交付対象事業費は施設購入費(保留床取得費)184億円です。しかし、熊本市が桜町再開発会社に払う保留床取得金の積算が明らかにされておらず、適切な金額なのか判断できません。市が示しているデータで試算すると、桜町再開発事業において同じく保留床取得によって整備される分譲マンションと比べ、床の価格が市のMICE施設は坪55万円も高くなっている。また、地権者が所有することになる床の単価はマンション以上に安いと思われる。再開発事業者は、地権者の従前資産を公表しておらず、熊本市が取得するMICE施設の床単価が妥当なものであるのか、検証するためにも、従前資産も含め必要な情報を公開し、公正・公平な価格設定であることの検証が必要です。
一方、再開発事業の実施によって、再開発地区内で営業していた県民百貨店やセンタープラザが閉鎖となり、多数の失業者が出ました。市も積極的に就職支援を行うとは言っていたものの、従業員は中高年者も多く、その後の雇用状況は、熊本労働局の調べで、437人の求職者のうち、未だ求職をされている有効求職者数は361人です。桜町再開発実施に伴う県民百貨店・センタープラザテナント従業員等の離職者のうち再就職を希望している人の82.6%が未就職です。いよいよ失業保険の切れる人も出てくる時期になっているので、再就職支援は待ったなしの状況となっています。
国土交通省及び厚生労働省のご担当より、以下の項目についてレクチャーをお願いします。
○レクチャー項目
〔国土交通省〕
① 桜町再開発事業に補助金が支払われる「社会資本整備交付金」とはどういうものか、また補助決定となった経緯をお聞かせください。
② 熊本市が補助金を要望している「暮らし・にぎわい再生事業交付金」について、現在、どこまで話が進んでいるのか進捗状況をお聞かせください。
③ 桜町再開発事業の推進によって、県民百貨店やセンタープラザテナントが閉店に追い込まれ多数の方が失業し再就職先も見つからない状況です。しかし、そもそも再開発事業がなければ失業することもなかったのであり、再開発事業者にその責任を問うことができないのかお聞かせください。
〔厚生労働省〕
① 県民百貨店やセンタープラザの閉鎖によって多数の失業者が生まれています。国としてより積極的に再就職あっせんをするなど支援をしていただけないか見解をお聞かせください。
(熊本市の就職支援策及び熊本労働局の取り組み状況もご説明いただき、それを踏まえた今後の対応についてご説明ください)
障がい者のグループホーム入所について見解をお聞かせください
≪趣旨≫
精神障がい者が地域の中で暮らしていくことには様々な困難があります。当事者の状況や地域の理解も含めて、限られた選択肢の中から条件に合ったところを探し、入居されています。
熊本市の事例ですが、やっとのことで入居したグループホームで、入居者同士が結婚したところ、熊本市から「夫婦での入居」は共同生活援助の対象とならないと言われました。国に見解を求めたところ「夫婦での入居は想定している」との見解を得ることができたのですが、「子どもと一緒の入居は、障がい者の共同生活援助の対象とならない」旨の国の見解も示されました。
「夫婦での入居は認める」のに、夫婦でいれば当然あり得る、子どもが一緒という状態を認めないというのは矛盾があります。子どもがいる状態で、グループホームに一緒に入居することはできないとなれば、多くの障がい者のグループホームで生活する権利が奪われるとともに、家族で一緒に生活するというあたり前のことができなくなります。
すべての障がい者が、地域で当たり前に暮らしていく条件整備は、「障がい者総合福祉法」の「日常生活・社会生活の支援が、共生社会を実現するため、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の 除去に資するよう、総合的かつ計画的に行われることを法律の基本 理念として新たに掲げる」という基本理念にも叶うものです。子どもも含めて、障がいを持つ夫婦が家族一緒にグループホームでの生活ができるように制度の改善を要望します。
≪項目≫
精神障がい者のグループホームについて、夫婦での入居を想定しているにもかかわらず、なぜ子どもを含めて入居することは「障がい者の共同生活援助」の対象として認めていただけないのか見解をお聞かせください。
引き続き、要求実現のために頑張りたいと思います。
日本共産党市議団も一緒に参加し、国にかかわる市民要求を国へと届けました。
市議団としての要望事項は、以下のとおりです。
font size="5">1、国民健康保険制度の改善を求める要請≪要請趣旨≫
熊本市における国民健康保険会計の累積赤字は昨年度末15億円、保険料の負担は全国でもトップクラスです。所得200万円・4人家族のモデル世帯における年間保険料は1世帯当たり387,110円で、政令市で高い方から3番目、政令市平均の334,496円を5万円以上上回っています。しかも、政令市の中で、一番保険料負担の軽い広島市は204,931円となっており、熊本市は2倍近い負担です。また、所得額が年300万円であっても5人世帯(夫・妻・子ども3人)の場合は、介護分も含めると最高限度額の年81万円もの負担となり、所得の4分の1が保険料負担となります。給与や年金収入は年々減り、保険料負担も増えているために、払えない世帯が増え続けています。このような、限界を超えた保険料負担を軽減するためにも、国庫負担の引き上げがどうしても必要です。国庫負担の割合をもとの50%に引き上げるよう要望します。
また、子ども医療費無料化・重度心身障がい者医療費助成・ひとり親家庭医療費助成の現物給付について、国民健康保険会計への国庫負担の減額が行われています。子育て世帯、障がい者世帯、ひとり親世帯、いずれも暮らしがたいへんな世帯で、償還払いでは必要な医療が受けられません。熊本市議会にも、当事者の方々は現物給付の要望が繰り返し届けられています。必要な医療を保障するための大切な制度として、国庫負担の減額ペナルティーの廃止を強く要望します。
≪要請項目≫
1.担の限界を超えた保険料を軽減し、払える保険料にするため、国民健康保険の国庫負担割合を引き上げること
2.重度心身障がい者医療費・子ども医療費・ひとり親家庭医療費の現物給付にかかるペナルティーを廃止すること
2、子どもの医療費無料化に関する要請
≪要請趣旨≫
非正規雇用の広がりの中で、子育て世代も含む雇用者所得は年々減少しています。当たり前に働くことができず、結婚できない、結婚はしても少ない収入の中で子育てにあまりにもお金がかかることから、子どもをつくるのをためらっているなど、経済的な困難が少子化にも大きく影響しています。
少子化社会対策基本法の第2条(施策の基本理念)には「少子化に対処するための施策を講ずるに当たっては、子どもの安全な生活が確保されるとともに、子どもがひとしく心身ともに健やかに育つことができるよう配慮しなければならない」とあります。
子ども医療費無料化の制度は全国の自治体で実施され、子育て世帯の経済的な負担の軽減に大きな役割を果たし、たいへんよろこばれています。しかし、自治体間の格差があり、「ひとしく~健やかに~」とは言えない状況です。
国は、少子化に対処するための施策を総合的に策定し、実施する責務があります。子ども医療費助成制度を国の制度として創設することによって、自治体間の格差を少なくし、どこに生まれ住んでも等しく大切に育てられるよう、全国的に制度の拡充をすすめていくために、国として力を尽くしていただくことを要望します。
≪要請項目≫
1.国による子ども医療費助成制度を創設すること。
3、生活保護に関する要請
≪要請趣旨≫
政府は、生活保護費を2013年度から3年間で総額670億円削減しました。
削減幅は、平均6.9%基準引き下げによって受給額が減る世帯は96%になりました。
日本の補足率15%~20%でイギリス90%.フランス91%.ドイツ65%と先進国の中で極めて低くなっています。
貧困率は16.1%、子供のいる世帯の貧困率は16.3%、子育て世帯が一般世帯より貧困であることです。一人親世帯の貧困率は54.6%、二人に一人以上が一人親の場合には貧困だということです。世界的には、日本の貧困率はワースト5に入り先進国の中ではアメリカに次ぐ貧困大国です。
政府は、国民生活がどこまでも低下しても責任が無いと言っているに等しいと思わざるを得ません。
国の通知による住宅扶助費の基準引き下げが7月に行われました。一定の猶予期間があるものの、市が当事者に対し、「家主・不動産業者へ家賃の減額を行うよう要望することや、それができなければ、転居も検討しなければならないこと」の説明が行われ、実態に合わない機械的な対応に、不安と怒りの声が上がってきています。熊本市の場合、特に大きな影響が出るのは、2人世帯です。現行月40,400円の扶助費が37000円へと引き下げられます。月額3400円の引き下げは、この間相次ぎ扶助が切り下げられた中で、保護世帯にとって大変大きな影響です。家主・不動産事業者に家賃減額を求めることや転居は、病気や障害・高齢化といった様々な条件の方々にとっても、すんなり受け入れられるものではありません。そもそも、今回の住宅扶助費の削減というのは、熊本市においては、借家の家賃の低い周辺市町村より、家賃の高い熊本市の基準が低くなってしまうという大きな矛盾を生んでいます。どこに行っても、都市部の家賃が高いというのは常識です。それに反するのが、今回の住宅扶助費の削減です。速やかに方針を撤回することを求めます。
また、複雑多様な保護世帯の状況に適切に対応するためにも、ケースワーカーの資質向上は不可欠です。しかし、熊本市は5人に1人が非正規のケースワーカーです。適切なケースワーク実施のためにも、正規職員によるケースワーカー配置を国としても指導していただきたい。
教育扶助費の中で、特に実態とかけ離れているのが入学準備金です。中学校・高校の入学時にはかなりの就学費が必要となります。現在、中学入学準備金47,400円、高校入学準備金63,200円が教育扶助費の基準額になっています。しかし、実際には、入学のための費用は、中学校で男子102750円、女子131380円、高校では男子91975円、女子104975円程度となります。負担の大きい入学準備金については、実態に待ったものとなるよう拡充を求めます。
生活保護法を憲法の理念に基づき豊かなものにする観点から以下のことを要請します。
≪要請項目≫
1.福祉事務所および保護課の所員の定数について
社会福祉法第16条(所員の定数)に定めてある所員数を満たすよう配置し、
尚、その際、社会福祉士および精神保健福祉士の資格取得者を正規職員として配属し、生活保護受給者の要望に対応できる体制を確立するよう指導していただくこと。
2.福祉事務所の窓口には、相談窓口と表示してあり相談を受けてからでなけれ
ば申請用紙を渡さない実態があります。こうした実態を改め、申請者には必ず申請用紙を渡すように、また申請者の意に反して取り下げ書を求めないよう指導していただくこと。
3.遡及して受給した年金収入にかかる自立更正費の取り扱いについて
平成24年7月23日、社援保発0723第1号が発出されて以降、各福祉事務所の取り扱いが極端に遡及年金の自立更正適用を拒む事態が発生しています。適正な運用を教授していただくこと。
4.住宅扶助基準引き下げは撤回すること。
5.実態無視の転居の「指導・指示」はせず、生活保護利用者の意思を尊重
するよう指導していただくこと。
6.特別基準の対応を積極的に行うよう指導していただくこと。
7.子どもの就学費用(高校・中学入学時等)を実態に見合ったものとすること。
4、介護報酬及び介護保険制度改定についての要請
≪要請趣旨≫
2015年度は介護保険法の改正、介護報酬の改定が実施され、制度変更に伴い利用者・家族、事業所にとって様々な矛盾、困難をもたらしています。利用者の利用料負担増、要支援者の保険はずし、特養入所者制限など高齢者にとってますますサービスを控える・利用できないなど懸念される制度になっています。また、今までにない基本報酬の大幅な引き下げにより、事業所の経営は大きく打撃を受け、特に新たな加算を取得できない小さな規模の事業所は廃業せざるを得ないという状況も作り出しています。
介護サービスの利用限度額を超えた場合の高額サービス費の支払いが償還払いになっているために、利用者の大きな負担になっていることです。熊本市は、全国的に見ても市民所得の低い自治体です。低年金・低所得の人が多いにも関わらず、この間その年金がさらに削減されてきており、高齢者の暮らしはたいへんな中にあります。そういう中で、熊本市の高額介護サービス費の支払いが年々増えてきているというのは、高齢化の進行もあって、より多くの介護サービスを利用しなければ生活できない高齢者が増えてきていると考えられます。そういう方々の負担を減らして、スムーズに介護サービスが受けられるように、高額介護サービス費については現物給付としていただくことを要望します。
また、年金の少ない生活困窮の高齢者は、生活保護になる方もおられます。当然、滞納となっている介護保険料を支払う余裕もありません。国民健康保険の場合は、生活保護へ移行した場合、過去の保険料滞納分は減免の措置が取られています。介護保険の場合も、生活保護に移行した場合の滞納分保険料は減免対象とするよう要望します。
特別養護老人ホーム等の介護施設が不足する中で、さまざまな形態の高齢者の住居施設が民間によって建設されています。しかし、小規模型の施設はじめ、それらの施設には規制がないため、入所や居住環境を適切にするための基準がありません。高齢者が住み慣れたまちで安心安全な生活をおくれる様にするためにも、介護施設以外の高齢者住居の状況を把握し、一定の基準を設け、不適切な処遇については国や自治体によって指導していただくことを要望します。
≪要請項目≫
7.高額介護サービス費の利用者負担上減額を超えた自己負担の償還払いをやめ、現物給付とすること。
8.生活保護となった人の過去の介護保険料滞納分については減免すること。
9.介護施設の不足の中、増え続ける民間高齢者施設の実態を把握し、適切な入所・居住環境が守られるよう基準を設け指導すること。
5、母子福祉資金運用の改善を求める要請
≪要請趣旨≫
母子福祉資金貸付は、経済的な面で、一般の世帯に比べ極めて困難な状況にある母子世帯にとって、大変有用な貸付制度であり、困窮しているひとり親世帯が利用しやすい制度となることが求められています。しかし、実際には、返済困難な世帯も少なくない中で、必要であっても借りることができないケースが多々発生しています。母子世帯のおかれた状況に鑑み、以下の点について運用を改善していただきたい。
母子福祉資金は、福祉の分野でも最も困難を抱えている方々の利用している制度であり、返済困難の場合の延滞金を徴収は、元金すら払えない世帯にとって大きな負担です。昨年、一定の改善が図られ延滞金利率が5%へと引き下げられましたが、まだまだ大きな負担です。多くは、子どもの奨学資金などであり、延滞金の徴集は酷であると思われる。制度の趣旨に鑑み、母子福祉資金貸付においては、「延滞金」の規定をなくしていただきたい。
また、保証人については、国が通知によって、必要ないケースを定めているので、その運用を徹底していただきたい。貧困状況は厳しくなっているにもかかわらず、新規貸付数は年々減っています。制度の趣旨に則り、適切に貸し出しが行われるよう国としても運用を指導していただきたい。
≪要請項目≫
1.延滞金徴収の規定をなくすこと
2.保証人については、平成21年6月5日厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知「母子及び寡婦福祉法施行令の一部を改正する政令等の施行について」の周知を徹底し、不適切な運用がある場合は指導すること
3.貸付の相談件数に対し、貸付が少ないため、制度の趣旨に鑑み、適切に貸し出しが行われるよう運用を指導すること。特に、実態に合わない家族の滞納等を理由にした貸付の制限をやめるよう指導すること
6、保育についての要請
≪要請趣旨≫
待機児・保留児問題は、今や子育て分野最大の課題になっています。熊本市は、これまで国の補助制度なども活用しながら、保育所整備に努めてきましたが、まだまだ待機児・保留児の解消という状況には至っていません。
保育所不足は、出産によって休職したら職場に戻れない、働きたくても求職活動ができない、職場復帰ができずに仕事を辞めざるを得なかった、遠い保育所への送迎がかなり困難、公立・認可保育所に入れず高い保育料を払い認可外に入所せざるを得なかったなど、深刻な事態をもたらしています。自治体が保育所整備を速やかに行えるように、待機児解消に係る国の支援策を拡充し、国として責任ある待機児解消策を実施していただきたい。
また、今年度より新保育制度への移行が始まりました。熊本市においても順次移行が行われていますが、今後の保育所整備の状況を見ると、小規模型に頼る整備方針となっています。しかし、小規模保育所の場合、各種基準が一般保育所に比べ、緩和されており、保育の内容・質の確保に不安が残ります。子どもの健やかな成長を保障する質の高い保育を実施するためにも、一般保育所が整備しやすいような国としての支援策の拡充を要望します。
≪要請項目≫
1.待機児解消を国の責任で進めること。また、待機児解消にかかる国の支援策を拡充すること。
2.小規模ではなく、一般の保育所整備に対する国の支援拡充を行うこと。
7、公立病院への支援策の拡充を求める要請
≪要請趣旨≫
熊本県には県立の総合病院がないため、「熊本市民病院」が県立総合病院に代わる公立総合病院としての重要な役割をはたしています。公的病院に求められている役割を踏まえ、(1)周産期母子医療、 (2)がん医療、(3)生活習慣病医療、(4)救急医療の4項目を担うべき医療の柱とし、チーム医療を特徴とした診療体制で地域の医療機関との連携を図りながら、総合病院として多種多様な疾患に取り組んでいます。
特に、グローバルな時代を迎え、危険度の高い感染症患者の受け入れ、エボラ出血熱などの1種感染症受入れでは、県下に感染症ベッドのない宮崎県・鹿児島県含め南九州一円の拠点病院となります。最近韓国でも大流行となったMERSコロナウイルスなどの2種感染症においても県下唯一の受け入れ医療機関となっています。不採算部門となる感染症病床は、全国どこの地域においても公立病院の大きな役割となっています。現在、国・県等による一定の支援措置はとられていますが、まだ十分といえるものではありません。具体的な患者受け入れ時、あるいは医療機器・防護服等の備品の買い替え時も含めて感染症病床への抜本的な支援策拡充を要望します。
また、少子化の中で、安心して子どもを出産できる医療機関の充実も重要な課題です。熊本市民病院は、「周産期母子医療」を担うべき医療の柱の第1に掲げ、ユニセフ・WHOが取り組む「赤ちゃんに優しい病院」の一つとして、NICUベットを確保し、極小未熟児などの低出生体重児の命を助けてきました。周産期医療の分野は、高度な医療技術ともに、それを支える高度な医療機器の整備も必要です。医療機器に関する整備補助金のメニューが2014年度以降なくなりました。医療機器の更新時期は必ず迎えるものです。小さな命を助ける高度医療の維持のために、2010年度から2013年度まで行われてきた「地域医療再生計画による補助」をぜひ復活し、周産期母子医療への支援をお願いしたい。
≪要請項目≫
1.第1次・第2次感染症病床維持・運営への支援拡充を行うこと
2.総合周産期医療に対する支援を拡充し、医療機器に関する整備補助金メニューを復活すること
3、加瀬川における河川整備の促進と内水対策についての要請
≪要請趣旨≫
熊本市の東部から南西部に流れる加瀬川については、現在、平成25年度1月に策定された河川整備計画に沿い、河川整備が進められています。概ね堤防の整備は完了していますが、昭和63年5月洪水や平成9年7月洪水等により甚大な洪水被害が発生するなど、現在の流下能力は約700㎥/秒と5年に1度の洪水に対応できる水準であり、治水安全度の向上に向け、早急な河川整備が求められています。
現在は、下流より河道掘削などが実施されているところですが、さらなる早急な整備を進めるとともに、川尻、中無田、杉島、野田において築堤および既設堤防の嵩上げ、拡幅等など、治水対策を速やかに実施されるよう求めるものです。また、国交省自身も留意されているとおり、江津湖の水位低下や生態系への影響等については特別に留意しながら計画を進めていただくようお願い致します。
また、野田地区などで発生している内水氾濫被害等についても、当該自治体と連携をしながら早急な対策・支援を行うともに、県管理区間においても内水被害解消に向け財政支援を強化し、対策に取り組まれるよう求めます。
≪要請項目≫
(1)江津湖等生態系に留意しつつ、河川整備計画のそった早急な河川改修を進めること。
(2)野田地区など、内水氾濫による被害対策を早急に講じることとともに、県管理区間においても、早急な対策が図られるよう財政支援等を講じること。
2、教育分野での要請
≪要請趣旨≫
格差と貧困、複雑な社会情勢を反映して、子どもを取り巻く状況や、また子どもたち自身も様々な問題を抱えています。以前にも増して、教育現場への丁寧で十分な支援が求められています。
これまで、全国で広がってきた少人数学級については、国としてもその効果を認め、拡充の方向が示されてきています。少人数学級拡充の具体的な計画を立て実施に早急に取り組んでいただきたい。
子どもたちが経済的な困難によって学ぶ機会を失うことのないよう、義務教育にあっては就学援助制度の拡充や適切な運用、高校・大学などの高等教育については、奨学金制度の拡充が喫緊の課題です。就学援助制度の拡充のために、交付税にも算定されているクラブ活動費・PTA会費・生徒会費について、各自治体が支給するよう働きかけることを求めます。奨学金については、有利子奨学金が増え、「教育ローン」化し、その返済に苦慮する家庭が増えています。昨今の子どもの貧困化に対応し、国として給付型の奨学金を速やかに実施するよう要望します。
また、教育環境の整備は、異常ともいえる温暖化による猛暑が続く中、エアコン設置は子ども達の適切な教育環境を保障するうえで、必要不可欠なものとなってきています。エアコン設置推進のため、国としての支援を拡充する立場で、設計・設置に関する補助率を過去の2分の1にまで引き上げることを要望します。
公務の職場においても、非正規雇用が増え続け、ワーキングプアが広がっています。教育の現場では、同じ職務に就き、同じ責任を負いながら「非正規」の臨時教職員が年々増えています。深刻化するいじめや不登校など、多様化する子どもたちの問題に丁寧・適切に向き合っていくためにも、教職員の処遇確保は重要な問題です。国としても、子どもたちの教育条件を確保の面から、正規教職員の雇用をすすめていくことを要請します。
≪要請項目≫
① 少人数学級に係る国の制度を拡充すること
② 就学援助については、交付税措置を交付金へと戻すこと。クラブ活動費・PTA会費・生徒会費については、交付税に算定されていることから、きちんと支給するよう指導すること
③ 教室へのエアコン設置に対する補助率を引き上げること
④ 付制の奨学金制度をつくること。また、貸与型奨学金は無利子とし、返済猶予・免除の拡充を図ること
⑤ 教職員の非正規雇用をやめ、正規職員として採用すること
同時に、「桜町再開発」と「障がい者グループホーム入所要件」の2件については、それぞれ国土交通省と厚生労働省の担当部署にレクチャーを行いました。
内容は以下の通りです。
熊本市桜町再開発とMICE施設整備に関するレクチャー依頼について
熊本市の中心市街地の真ん中に位置する桜町地区に、民間事業者が会社施行で実施する桜町再開発事業がすすめられています。総事業費約700億円の事業に、熊本市は保留床取得金・補助金等含め450億円もの公費を費やして、3000人の大会議場・MICE施設を整備しようとしています。
桜町再開発事業は、国の補助金は126億円にものぼり、熊本市では過去最大かつ異例の再開発事業であるにもかかわらず民間事業のため、事業の進捗状況・見通し、事業費の積算など、不透明です。
そもそも、再開発事業では、複数地権者が敷地の共同化を行い、高度利用するときに補助対象となります。1個人には補助を出さないというのが、補助の考え方の基本です。2002年の「都市再開発法」改正によって、「再開発会社」施行が再開発の手法に加わっていますが、再開発の趣旨を考えると、再開発会社施行であっても、組合施行同様に複数地権者が前提であるべき、法律・政令・省令の抜け道を利用した脱法的な補助金投入とならないためにも、「再開発会社」施行についても、複数地権者の規定を明記するべきです。
桜町地区再開発事業において、熊本市は、再開発の保留床を取得して、公益施設として「MICE施設」を整備しようとしています。平成26年度事業分の「暮らし・にぎわい再生事業」補助金申請調書によれば、このMICE施設に「暮らし・にぎわい再生事業」交付金(国費)が総額73億6000万円要望されています。交付対象事業費は施設購入費(保留床取得費)184億円です。しかし、熊本市が桜町再開発会社に払う保留床取得金の積算が明らかにされておらず、適切な金額なのか判断できません。市が示しているデータで試算すると、桜町再開発事業において同じく保留床取得によって整備される分譲マンションと比べ、床の価格が市のMICE施設は坪55万円も高くなっている。また、地権者が所有することになる床の単価はマンション以上に安いと思われる。再開発事業者は、地権者の従前資産を公表しておらず、熊本市が取得するMICE施設の床単価が妥当なものであるのか、検証するためにも、従前資産も含め必要な情報を公開し、公正・公平な価格設定であることの検証が必要です。
一方、再開発事業の実施によって、再開発地区内で営業していた県民百貨店やセンタープラザが閉鎖となり、多数の失業者が出ました。市も積極的に就職支援を行うとは言っていたものの、従業員は中高年者も多く、その後の雇用状況は、熊本労働局の調べで、437人の求職者のうち、未だ求職をされている有効求職者数は361人です。桜町再開発実施に伴う県民百貨店・センタープラザテナント従業員等の離職者のうち再就職を希望している人の82.6%が未就職です。いよいよ失業保険の切れる人も出てくる時期になっているので、再就職支援は待ったなしの状況となっています。
国土交通省及び厚生労働省のご担当より、以下の項目についてレクチャーをお願いします。
○レクチャー項目
〔国土交通省〕
① 桜町再開発事業に補助金が支払われる「社会資本整備交付金」とはどういうものか、また補助決定となった経緯をお聞かせください。
② 熊本市が補助金を要望している「暮らし・にぎわい再生事業交付金」について、現在、どこまで話が進んでいるのか進捗状況をお聞かせください。
③ 桜町再開発事業の推進によって、県民百貨店やセンタープラザテナントが閉店に追い込まれ多数の方が失業し再就職先も見つからない状況です。しかし、そもそも再開発事業がなければ失業することもなかったのであり、再開発事業者にその責任を問うことができないのかお聞かせください。
〔厚生労働省〕
① 県民百貨店やセンタープラザの閉鎖によって多数の失業者が生まれています。国としてより積極的に再就職あっせんをするなど支援をしていただけないか見解をお聞かせください。
(熊本市の就職支援策及び熊本労働局の取り組み状況もご説明いただき、それを踏まえた今後の対応についてご説明ください)
障がい者のグループホーム入所について見解をお聞かせください
≪趣旨≫
精神障がい者が地域の中で暮らしていくことには様々な困難があります。当事者の状況や地域の理解も含めて、限られた選択肢の中から条件に合ったところを探し、入居されています。
熊本市の事例ですが、やっとのことで入居したグループホームで、入居者同士が結婚したところ、熊本市から「夫婦での入居」は共同生活援助の対象とならないと言われました。国に見解を求めたところ「夫婦での入居は想定している」との見解を得ることができたのですが、「子どもと一緒の入居は、障がい者の共同生活援助の対象とならない」旨の国の見解も示されました。
「夫婦での入居は認める」のに、夫婦でいれば当然あり得る、子どもが一緒という状態を認めないというのは矛盾があります。子どもがいる状態で、グループホームに一緒に入居することはできないとなれば、多くの障がい者のグループホームで生活する権利が奪われるとともに、家族で一緒に生活するというあたり前のことができなくなります。
すべての障がい者が、地域で当たり前に暮らしていく条件整備は、「障がい者総合福祉法」の「日常生活・社会生活の支援が、共生社会を実現するため、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の 除去に資するよう、総合的かつ計画的に行われることを法律の基本 理念として新たに掲げる」という基本理念にも叶うものです。子どもも含めて、障がいを持つ夫婦が家族一緒にグループホームでの生活ができるように制度の改善を要望します。
≪項目≫
精神障がい者のグループホームについて、夫婦での入居を想定しているにもかかわらず、なぜ子どもを含めて入居することは「障がい者の共同生活援助」の対象として認めていただけないのか見解をお聞かせください。
引き続き、要求実現のために頑張りたいと思います。