初めて知る高齢という現実

最近、弱ってきたオット82歳。
何とか二人で明るく過ごしたいとあがく毎日を記録します。
だんだんグチに移行?

『忘れられた日本人』

2008年12月11日 12時26分50秒 | 明け暮れ
朝のNHKのBS2で「私の1冊日本の100冊」
という番組があります。10分間ですが。
たまたま見た時、音楽家の三枝成章さんの話でした。

そうしたら音楽とは全然関係ない
宮本常一著「忘れられた日本人」という本を推薦されて、
心酔して本の通りに旅をしたりしたことを話されました。
私も興味を持ち、すぐ買い込みました。

『昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を克明に調査した著者(1907~1981)が、文化を築き支えてきた伝承者=老人達がどのような環境に生きてきたかを、古老達自身の語るライフストーリーをまじえて、生き生きと描く。辺境の血で黙々と生きる日本人の存在を歴史の舞台にうかびあがらせた宮本民族学の代表作』

とある通りに、自分の目で見て、
自分の耳で聞いたことを書いてあります。

宮本さんのことは民俗学という言葉とともに、
私の記憶の底にありましたので、
飛びついたのかも知れません。

私の記憶の底にある、祖父母と重なります。
それから、集落のくらしも…
終戦前までの夏は、おんなも腰巻1枚のはだかでした。
人が来ると、襦袢のような物を引っ掛けていました。

あの頃の年寄りは何の楽しみがあったろうか…と
今の生活から推し量ってしまいがちですが
老人といえど、立派な労働力の一人として
家の内外で、何らかの仕事を見つけては、
こつこつと老人でなければ出来ないことをやり
活き活きと日を送り、安らかに眠る日々でした。

テレビも無い、ラジオはあったけれど、
それを聴いていた姿は思い浮かびません。
寒くても火鉢一つの暖房(?)に手をかざし
餅と言えば焼いてくれ、藁ぞうりを作り
その為の藁打ちをし、縄を綯い、
仕事を探して日を送りました。

宮本さんは、そういう生活の人々を探し、
何時間でも数日でも通って
話を聞き、まとめた本でした。

直接ではなくても、我々の先祖のことであると
思わずに居れません。

何度でも読みたいと思います。