席に戻る前にカフェカウンターでコーヒーとスイーツを買って戻ると浦佐駅に到着する頃でした。
さて座席へ戻ったところで11号車のご紹介です。11号車は普通車指定席ですが、元こまち号のグリーン車を改造したものでグリーン席が並んでいます。車内のコンセプトは”五穀豊穣””祝祭”そして”光”です。そのコンセプトをイメージさせるために越後湯沢入線時からこの車両の全てのシェードが降りていました。
駅構内やトンネル内ではシェードの模様も見えていますが、新幹線はトンネルを出ると
黄色い色のシェードを通して外の光が入って来て、車内が淡い黄色に包まれます。
新幹線という特別な空間、光と早さから生まれるアートです。トンネルの多い上越新幹線ならではの作品だと思います。ただしトンネルの多い区間は越後湯沢ー長岡間で、長岡から越後平野を走るのでこの作品を楽しむのなら越後湯沢ー長岡間ですね。
座席に戻り、スイーツとコーヒーを楽しみます。魚沼産米粉のパウンドケーキと佐渡クリームチーズのレモンケーキです。コーヒーは燕市のツバメコーヒーのブレンド。程よい甘さがコーヒーと相まって美味しゅうございました。
現美新幹線は最高速度210km/hで新潟へ向かいます。長岡駅に着くと東京ゆきのMaxときの車窓から一斉にこちらに目が向けられています。この列車の指定席に修学旅行か学生団体が乗車していましたが、その学生たちも一斉にこちらに目を向けていました。それだけインパクトがあるのでしょう。
美味しいコーヒーとスイーツ、そして現代美術を楽しんでいると新潟に0914に到着。楽しい時間はあっという間です。
新潟駅でも現美新幹線を撮影。新幹線の窓から見る作品もまた違った魅力があります。ひとしきり撮影をしてから改札口へと向かいました。
つづいて現美新幹線、車内のご案内です。
11号車は元グリーン車の座席の並ぶ普通車指定席。松本尚氏の作品で、車内全体が作品となっています。こちらの作品のご紹介は後ほどご案内いたします。乗車時から全てのシェードが降りているのにもちゃんと訳があるようですから。
12号車は小牟田悠介氏の作品。鏡面ステンレスで表現された壁面に車窓を通して映り込む新潟の緑の山々、窓一面の青空、風にそよぐ黄金の稲穂、白銀の世界。そんな旅の時間と空間を映し出す作品です。
13号車東京より半室はパラモデルの作品。このスペースには子供達のためにプラレールが置かれており、プラレールのレールをモチーフにして地図を描くように壁や床にパターンが展開され、山を模したオブジェも置かれています。「遊び」の行為そのものを造形した空間でプラレールで遊ぶことができます。
13号車新潟よりにはカフェカウンターがあり、ツバメコーヒーのコーヒーや、新潟の特産品を使ったスイーツなどが販売されています。この壁面には古武家賢太郎氏の作品が飾られています。派手さや主張はないけど暖かでおおらかな大自然のある新潟の風景を取り入れた作品が並んでいます。
14号車は石川直樹氏の写真。新潟県十日町市、津南町、新潟市西区、新潟市西蒲区などで撮影された新潟の風景や人々の暮らしをとらえた作品が並んでいます。窓に映る風景とともに楽しめばまた違って見えるかもしれません。
15号車は荒神明香氏の作品。作者が川を散歩していた時に見た風景がきっかけとなった作品。川に反射した風景と現実の世界が水面を境にピタッとくっついて一体になり、巨大な生物が宇宙に浮いているような感じを作品に反映させており、それぞれが細い糸で吊られており、新幹線の動きによってゆらゆらと動く様がなんとも面白い作品です。
16号車はブライアン・アルフレッド氏の映像作品。長岡の花火、矢川灯籠流し、おぢや風船一揆や静かに降り積もる雪の光景など、人が新潟を思う際に想起するであろう四季の風景をポエティックに表現しています。
そんな車内を探訪しているうちに列車は越後湯沢駅を発車。新潟に向けて走り始めます。通常の上越新幹線と同じく堺正幸アナによる停車駅などの放送が終わると車掌さんの放送が入ります。
「本日はご来場くださいましてありがとうございます。 現美新幹線とき451号、新潟行きです。」
一瞬耳を疑いました。”ご乗車”ではなく”ご来場”と表現するあたり、普通の新幹線ではなく美術館に来たような雰囲気にさせてくれます。妙な納得感を感じて席へ戻ります。
*参考:現美新幹線CAR GUIDE
暖房の効いている越後湯沢駅の待合室でしばらく待機してから乗るのはこちらのとき号。発車案内には普通に新潟ゆきとき号として表示されていますが、
乗るのはこの”世界最速芸術鑑賞”現美新幹線です。指定券には「現美新幹線とき451号」と表記されていました。0808発東京ゆきとき306号が発車後、程なくして新潟新幹線車両センターから回送されてきました。
こちらが現美新幹線。E3系こまち用を改造した編成で、700番台に区分されており、前日に乗ったとれいゆつばさ用E3系の続き番号にになっています。全体的に黒っぽい車体は雪に反射している光の中ではなかなか撮りづらいです。
外観は長岡の花火を撮った写真。写真とデザインは写真家蜷川実花氏です。車内の展示スペースの関係で窓が埋められている部分もあり、その部分では花火の光の線が美しく表現されています。とはいえホームに停車している状態では見づらいのが正直なところ。線路を挟んだ反対側からじっくりと見てみたいのですが、残念ながら越後湯沢も終点新潟もホーム側から見るしかない線路に入線しました。