聞きなれない言葉だと思いますが、特殊狭軌とはレール幅が762mmまたは610mmの鉄道のことです。

桑名市の西桑名駅からいなべ市の阿下喜を結ぶ三岐鉄道北勢線がその一つ。ご覧の通り線路の幅が762mmなので狭く、電車のサイズも小さいです。始発駅の西桑名駅には近鉄名古屋線、JR関西線の桑名駅もあり、1435mmの標準軌・1067mmの狭軌・762mmの特殊狭軌の鉄道が集まり、その3軌間を跨ぐ踏切も存在しています。

電車のサイズが小さいからかパンタグラフが異様に大きく見えます。またその小ささからクーラーを設置できる場所もなく、一部の電車には車内に冷房装置を設置して冷房改造をしていますが非冷房車が存在するのが現状。


車両を新製または更新した四日市あすなろう鉄道の260系電車は、更新車ではありますが鉄道友の会のローレル賞を受賞しています。

新幹線や京急、京成、近鉄、阪急、京阪、西鉄などの私鉄で採用されているのが1435mmの標準軌。JRや東武、西武、東急、名鉄、南海などで採用されているのは1067mmの狭軌と呼ばれる線路。特殊狭軌はそれより狭いものです。ちなみに東京都電や京王線は1372mm幅で、馬車鉄道起源の線路幅から馬車軌とも呼ばれています。

この線路幅の狭い特殊狭軌はかつては日本全国の軽便鉄道に採用され、あちこちにありましたが、ほとんどが廃止され残っているのはごくわずか。

この線路幅の狭い特殊狭軌はかつては日本全国の軽便鉄道に採用され、あちこちにありましたが、ほとんどが廃止され残っているのはごくわずか。
しかし、三重県にはその特殊狭軌鉄道が2社も存在しています。

桑名市の西桑名駅からいなべ市の阿下喜を結ぶ三岐鉄道北勢線がその一つ。ご覧の通り線路の幅が762mmなので狭く、電車のサイズも小さいです。始発駅の西桑名駅には近鉄名古屋線、JR関西線の桑名駅もあり、1435mmの標準軌・1067mmの狭軌・762mmの特殊狭軌の鉄道が集まり、その3軌間を跨ぐ踏切も存在しています。

電車のサイズが小さいからかパンタグラフが異様に大きく見えます。またその小ささからクーラーを設置できる場所もなく、一部の電車には車内に冷房装置を設置して冷房改造をしていますが非冷房車が存在するのが現状。

そのため編成内で冷房、非冷房車が連結されていることもあり、非冷房車にはステッカーが貼られています。弱冷房車はよく見かけますが、非冷房車の表示はおそらくここだけでしょう。
非冷房車もさることながら、この北勢線の電車は今や絶滅危惧種の吊り掛け駆動方式のモーターになっています。今では路面電車の古い車両や江ノ電1000形など残っているのはわずかです。吊り掛け駆動方式はモーターの回転軸と車軸が並行になっていて、モーターの回転力が歯車により直接車軸に伝わる構造で、モーターが車軸と台車枠に吊りかかっています。そのために力行時に唸るような音を立て走行時な騒音が激しいものとなっています。そのため現在では騒音や乗り心地のよいカルダン駆動方式がほとんどになっていますが、特殊狭軌という車軸幅に制約のある中で吊り掛け駆動方式が現役で活躍しています。


三岐鉄道北勢線のほか四日市市の近鉄四日市駅から内部、西日野駅を結ぶ四日市あすなろう鉄道も特殊狭軌鉄道。こちらは四日市市内を走っており比較的都市型鉄道となっており、15〜30分間隔で運転されています。
三岐鉄道北勢線と四日市あすなろう鉄道と2社になっていますが、元々は近鉄線だったものが赤字により廃線の危機にさらされたなか、地元自治体の支援により運行が継続されてきています。北勢線は車両の高速化やICOCAの導入による出改札業務の合理化を、四日市あすなろう鉄道では車両の更新や新製を行い、高頻度運行を行うことで公共交通機関としての役割を果たしています。

車両を新製または更新した四日市あすなろう鉄道の260系電車は、更新車ではありますが鉄道友の会のローレル賞を受賞しています。
三重県には2社が特殊狭軌鉄道を走らせていますが、もう1社は富山県の黒部峡谷鉄道です。こちらは電車ではなく機関車牽引の客車列車となっていますが、ほとんどの乗客が観光客の観光鉄道の位置付けです。
そのほか、東京ディズニーランドのウエスタンリバー鉄道と東京ディズニーシーのディズニーシー・エレクトリックレイルウェイも762mm軌間ですが,こちらは遊園地の乗り物という位置付けになっています。