元町公園の方へ向けて歩いてゆきます。この辺りの函館元町地区は北海道では唯一の重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に指定されています。
まずは函館聖ヨハネ教会。赤茶色の屋根が独特で、上から見ると十字架の形をしている建物です。函館山の上から見るとその形状がはっきりとわかる建物です。

大三坂を少し下ったところにあるのがカトリック元町教会。尖塔が特徴的な聖堂は1924年建築の煉瓦造りとなっています。

聖ヨハネ教会やハリストス正教会のある場所はやや高くなっており、通りに面した崖には石垣が作られ、石畳の道と相まって情緒のある景色を醸し出しています。函館に来るとどうしても足を伸ばして歩きたくなってしまう道です。こちらにもツツジが見事な花をつけていました。

ちょっと見えづらいですが、函館ハリストス正教会。1916年に再建された聖堂が門からわずかに見えます。

ほとんどの観光客がスルーしてしまいますが、遺愛幼稚園の園舎。1913年建築の園舎は今でも現役で使用されており、関係者以外は立ち入り禁止ですが、門のところから外観だけは見学することができます。

そしてこちらが有名な八幡坂の風景。一時期は観光客で賑わっており、写真を撮るのも大変でしたが、この時は観光客もまばらで写真を撮っている人も少なかったです。坂の向こうに広がる函館港と青函連絡船メモリアルシップ摩周丸の姿が印象的で函館を代表する景観のひとつです。


元町通りは私が好きな通りの一つ。古い建物を見ながら石畳の道をブラブラと歩くのがなんとも言えない心地よさを感じます。この通りに面して立っているほとんどの古い建築物が個人宅。個人で古い建物を維持するのは大変で、御多分に洩れずこの地域でも古い建物の維持管理が難しくなっているのが現状だそうです。

元町通りを歩くと突き当たるのが元町公園。その元町公園に隣接して建っているのが旧函館区公会堂。1910年建築の擬洋風建築の洋館で札幌・豊平館と並んで北海道の明治期の洋館建築の代表となっています。2021年にリニューアルされているので美しい姿を見せています。

旧函館区公会堂から少し下へ下がったところには旧北海道庁函館支庁庁舎と旧開拓使函館支庁書籍庫の赤レンガ倉庫。こちらの前にもツツジが綺麗に咲いていました。

元町公園のすぐ近くにある大邸宅は旧相馬邸。米穀商から名を上げ、北海道随一の豪商となった相馬哲平氏の邸宅で1908年の建築です。2008年ごろには老朽化のために解体の危機にあったそうですが、一個人が買取り一般公開を含めて維持管理をしてきたそうですが、つい先ごろ売却され現在は閉館状態にあります。ブラタモリでもタモリさんが訪れており、函館の古い建築物として維持していただきたいとは思いますが、こちらもなかなか難しいようです。

相馬邸脇の日和坂を下って電車通りに出ると見えてくる茶色の建物は函館市文学館。旧第一銀行函館支店の建物を利用した博物館で石川啄木をはじめとした函館ゆかりの作家に関する資料を収蔵・展示しています。ちなみにこの建物は一時期JACCSカードのジャックスの本社として使われていました。

電車通りを挟んで建っているのが旧金森洋物店の市立函館博物館郷土資料館。活用されている建物ありますが、

2020年代に入り函館で目立っているのが古い建物を利用した商店や資料館などの閉館。港に面したこの建物もかつては営業していたと思いますが、柵が閉められて営業している雰囲気がありません。後ろの茶色の建物もホテルと北島三郎記念館が入っていましたが、すでに閉館してしまっています。元町地区でも維持管理の難しさを考えさせられましたが、函館全体でも古い建物の老朽化で解体が進んでいるようなので、こうして閉館している建物を見ると改めて維持管理の難しさを考えさせられます。