四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

里山の蝶たち

2012-04-11 10:24:00 | 
相模原市緑区の里山でギフチョウを撮る合間に、ほかの蝶たちとも多く出会いました。


集団吸水するスギタニルリシジミ(10:52)

10頭位のスギタニルリシジミが舞い、集団吸水していました。年1回4月頃に渓流沿いに出現する蝶で、神奈川では県北部の山地より西で見られます。ルリシジミに似ていますが、翅裏はルリシジミでは白っぽく、スギタニルリシジミでは淡い褐色であるなどの違いがあります。
スギタニルリシジミは、初めて見た蝶です。


(12:36)

午後、渓流の苔むす岩で静止していました。スギタニルリシジミは明るい草地ではなく、所々で陽が射す、やや湿り気のある場所の地上近くを緩やかに飛んでいました。吸蜜姿も見られましたが、暑さのせいか、日向での開翅シーンは午前中に一度見ただけでした。


コツバメ(11:36)

コツバメがツツジの葉先に止まってテリ張りをしていました。近付くと一旦飛び立ちますが、また直ぐに近くの葉先に止まるのを繰返していました。可愛いものです。今年の初見です。
コツバメは晩春に蛹になり、翌年の3,4月頃に羽化する蝶で、多摩丘陵でも見けます。




アカタテハ(12:20)

アカタテハがアセビに止まり、吸蜜しはじめたので、5,6人が近寄り撮影大会になりました。小川の向こうから女性が一人レンズをこちらに向けて撮影されていました。わくわく日記のえむりさんだったようです。


テングチョウ(11:09)

テングチョウが梅の花で吸蜜していました。一緒にいた人が梅での吸蜜は珍しいと話していたので載せます。
そのほか、テングチョウ、キタテハ、ルリタテハ、ミヤマセセリなどを見掛けました。

<追記>今回のギフチョウ観察では、山頂まで登りませんでしたが、次回は色々なシーンの観察が期待できそうなので登りたいと思います。

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ギフチョウが舞う

2012-04-10 16:41:00 | 
春の妖精、ギフチョウを見に相模原市緑区の里山を訪問しました。



ギフチョウは、ちょうど桜の季節に重なるように羽化し、山から里へ下りてきます。斜面の梅の花を求めて2頭が舞っていました。



梅の花で吸蜜中(10:24)。蝶愛好家が大勢のせいか、なかなか良い位置には止まってくれませんでした。



今度はアセビの花に止まり、しばらく吸蜜していました(10:41)。






カタクリの花にはなかなか訪れませんでしたが、午後になってようやく止まり、にわかに5,6人が並んでの撮影になりました(12:15)。

初夏の陽気で暑いくらいでしたが、多くの人と蝶の話をしながらギフチョウが優雅に舞う情景を長時間楽しむことができました。
地元の方にはお世話になりました。この場を借りて御礼申し上げます。



今日の朝日新聞の神奈川さがみ野版に「相模原にギフチョウ飛来」の記事が掲載されました。僕が撮ったのとほぼ同じ構図なので、その時に一緒にいた人の撮影だと思います。
記事中、食草がシナノカンアオイとなっていますが、カントウカンアオイとすべきところでしょう(1)。

4月9日の天候:快晴、最高気温24℃

(1)相模の蝶を語る会企画編集, "かながわの蝶", p52, 神奈川新聞社(2000年).


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ベニシジミとスジグロシロチョウ

2012-04-06 15:05:00 | 
暖かな日が続き、多摩丘陵では次々に今年初めての蝶たちが出現しましています。

ベニシジミ
ベニシジミはスイバやギシギシの葉裏などで越冬し、3月頃に蛹になり羽化する蝶です。


ベニシジミ(町田にて、4月1日 10:09)

4月1日に、明るい丘陵の芝生で飛んでいるのを見付けました。





朝は体温を上げるのが先らしく芝生の間で休止する時間が長く、吸蜜シーンは見られませんでした。
そろそろ出現の時期なので、昨年タンポポ吸蜜していたこの場所を思い出して訪問したら、今年の初見が果たせました。その後、あちこちで見かけています(4月8日記)。

スジグロシロチョウ
スジグロシロチョウは蛹で越冬し、3月下旬~4月上旬に羽化します。ムラサキハナナ(食草)の分布拡大で市街地でも勢力を広げたといわれています。



菜の花の咲いている畑でスジグロシロチョウが飛翔するのを見付けたので、そこに陣取り、昼食にしました。



蕗の葉に止まったので、スジグロシロチョウと確認できました。これが今年初めての目撃です。


スジグロシロチョウ(町田市にて、4月2日 11:50)



そのうち、菜の花で吸蜜を始めました。最初は警戒して飛び去ることもありましたが、次第に慣れて、花から花へと移動しつつ吸蜜する姿を接近して撮影することができました。

アカタテハ
同じ場所で、アカタテハを今年初めて見ました。キタテハやルリタテハと同様に成虫で越冬しますが、不思議なことに今年になって目撃できていませんでした。


アカタテハ(4月2日 11:45)

次はどこで何蝶に会えるでしょうか。
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ミヤマセセリ

2012-04-05 16:17:00 | 
ミヤマセセリは、幼虫で越冬し、早春に蛹になり羽化する蝶で、早春を代表する蝶のひとつです。4月1日に今年初めて目撃しました。

<草地にて>
木の下に広がる草地で数頭が低いところを飛び回っていました。ムラサキハナナ、ナノハナ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ハコベなどが咲いていましたが、花に止まることはなく、この日は枯葉上に休止するのを撮影するのがやっとでした。


枯れ葉に止まるミヤマセセリ(町田市にて、4月2日 10:26)

三日後、群生していたムラサキハナナでのミヤマセセリの吸蜜シーンを撮りたくて、前回よりも朝早く町田の小野路に向い、9時半位に現地に到着しました。


ムラサキハナナ(4月5日)

飛び回るばかりでなかなか花に止まろうとせず、もう諦めて帰ろうとした10時15分頃、眼の前のムラサキハナナに止まり、しばらくの間次々に花を移動して吸蜜してくれました。待った甲斐がありました!




ムラサキハナナで吸蜜するミヤマセセリ(4月5日 10:15)

<谷戸の休耕田にて>
キタテハを撮ろうとしていると、4,5mの上空で小型で黒っぽい蝶2頭が絡みあうように飛翔し、やがて休耕田の湿地に降下するのを目撃しました。また少し移動し、枯れた葉上で静止しました。




ミヤマセセリ 左♀ 右♂(町田市にて、4月1日 12:15)

ミヤマセセリでした。すでに交尾が成立し、近寄ってもビクリともしません。左が雌、右が雄です。ミヤマセセリは今季の初見でしたが、それがなかなか見ることのできない交尾シーンだったのは幸運なことでした。




吸水中のミヤマセセリ(4月1日 13:05)

上の2枚は、ミヤマセセリ♂が枯れた茎の破断面で吸水しているところです。休耕田の水が毛細管現象で茎に上昇しているのを吸っているのでしょうか。


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越冬明けのキタテハ

2012-04-03 09:56:00 | 
キタテハは、成虫で越冬するタテハ科の蝶です。
越冬中のキタテハは、草むら斜面の東向きの窪みなどを利用し、頭を下に向け、翅を閉じた状態で過ごします。

暖かくなり、里山を歩くと、たくさんの越冬明けのキタテハに会うことができました。

<占有行動>

キタテハ(町田市にて、4月1日 12:09)

明るい谷戸では、雄が活発に飛び交い、時々日向に下りる行動を繰返していました。写真は、ツクシの生える谷戸に下りたところです。行動から見て雄でしょうか。


キタテハ(拡大)

前年の9月頃に羽化した秋型の個体ですが、翅の痛み方はあまりないようです。



キタテハ(別個体、12:39)

谷戸の南向き林縁で昼食にしようとして座ったところ、近くの板に止まっていたキタテハが一瞬緊張して翅を閉じたところです。その後飛び立ちました。

<吸蜜など>

キタテハ(町田市にて、4月2日 10:46)

午前中に畑脇を緩やかに飛んで少し移動しては止まる行動を繰返していた個体です。写真は、移動中に花に立ち寄り吸蜜しているところ。


キタテハ(同一個体)

その後、枯れ草の上で日光浴。

<睡眠場所へ>


午後3時15分頃、枯れた草地で飛ぶキタテハを見付けました。その直後に草地の縁の日陰斜面に隠れました。


キタテハ(伊東市にて、3月28日 15:15)

急いで着地点を見ると、窪みに入り込み、頭を下に向け、翅を開閉していました。



直ぐに翅を閉じ、静止。この窪みで一夜を過ごすことになった瞬間です。触覚を翅の外に出していました。
15分後に再び観察。撮影のため、このキタテハの手前の枯れた茎を取り除いたりしましたが、睡眠に入ったらしく、身動き一つしませんでした。

翌日の9:30頃にこの草地の窪みを見ると、すでにキタテハは不在でした。11:30頃、草地を歩いていると、1頭のキタテハが飛び立ったので、昨日のキタテハが枯れた草地の中央で日光浴していたのかもしれません。

秋に枯れ草の窪みに入り、そこに留まるようになった時がすなわち越冬の始まりだということです。

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