四季おりおり

自然散策そして音楽のことなど・・・ 
2010年秋より里山・谷戸歩きで見た風景や蝶・花の紹介が増えてきました。

アゲハのこと(その2)

2005-12-04 19:45:00 | 
アゲハは身近なミカン科の木で育ち、きれいなので好きな方が多い。合唱仲間のHさんもその一人で、愛情をもってアゲハに接しておられ、折にふれてアゲハの様子を知らせてくれます。
「我が家のあげは、今年は無事に3匹羽化しました。このところ、頻繁にグレープフルーツの木のまわりを飛んでいます。いかにも、何かを懐かしんでいる?みたいに・・・」(7月上旬)
「我が家のあげは、先日今年最後のさなぎが空になっていて、本格的な冬の前に越冬場所を見つけてくれたこと思います」(11月上旬)

蝶は種類によって、卵、幼虫、サナギ、成虫(蝶の形)のどの状態で越冬するのか決まっています。そこで、アゲハはサナギで越冬します。すると、今の時期にサナギが空になったのは、鳥か何者かに捕食された可能性もあるのではないでしょうか。
そのようにお伝えすると、Hさんは捕食者としてはカマキリが怪しいと思われたようでしたが、「今年はカマキリは来なかったようです」とのことでした。
千葉県南部での観察では、アゲハは9月中旬~10月上旬に4回目の羽化が見られ、年によっては10月中旬~11月上旬に5回目の羽化が見られるそうです。蝶は新天地を求めるため、羽化のたびに北へ移動する習性のものもあり、冷涼な地方まできてしまった秋のチョウはそのまま全滅することもあります。

11月の上旬のことですから、もしかしたら、Hさん宅のサナギも羽化してしまったのかもしれません。しかし、秋遅くに羽化という試みをしてしまった蝶、次の世代のサナギにまで到達できないと死に絶えてしまいます。
どこかで今、無事にサナギのまま過ごしている個体は、じっと冬を耐え、来年の春に羽化します。そしてまたグレープフルーツの木を懐かしそうに訪問し美しい姿を見せるでしょう。

※アゲハは、年に3,4世代を繰り返します(蝶の一生)。

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