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「マイナスという概念の発見」について考える

2020-12-13 06:22:00 | 語源・由来・起源

昨日のゆりさんのコメントに「学校で0を教えていただき、マイナス方向へ数えていく快感。あれ忘れられないんですよ(*^^*)」とありました。

そこで、今日はマイナスの話です。

ところが、書き始めると、マイナスの概念はなかなか言葉にするのは難しく長文になりました。

面倒な方は、斜め読みでどうぞ…。

 

■負の数の起源

長い間、問題に対する負の解は「誤り」であると考えられていました。

これは、負数を実世界で見付けることができなかったためです(例えば、負数のリンゴを持つことはできません)。

 

その抽象概念は早ければ紀元前100年 – 紀元前50年には認識されていた。中国の「九章算術」には図の面積を求める方法が含まれています。赤い算木で正の係数を、黒い算木で負の係数を示し、負の数がかかわる連立方程式を解くことができました。

中国では算木という道具を用いて売り上げや税金の計算を行っていたそうです。

その中で、下の図のように赤い算木は売上(正の数)を表し、黒の算木は購入(負の数)を表すように決めて計算を進めていました。

算木での数の表し方の例

計算後、赤が残れば利益になり、黒が残れば負債になるといった具合です。

 

紀元後7世紀ごろに書かれた古代インドの「バクシャーリー写本※1」は"+"を負符号として使い、負の数による計算を行っていました。これらが現在知られている最古の負の数の使用です。

 

※1バクシャーリー写本は、今のパキスタンのバクシャーリー(Bakhshali)付近で発見されたインド最古の数学書。西暦4世紀から5世紀頃に書かれたとされる。

 

プトレマイオス朝エジプト※2ではディオファントスが3世紀に「算術」で 4x + 20 = 0 (解は負となる)と等価な方程式に言及し、この方程式はばかげていると言っており、古代地中海世界に負数の概念がなかったことを示している。

 

※2プトレマイオス朝エジプト. ヘレニズム時代のエジプトを統治したギリシア系の王朝

 

7世紀の間に、負数はインドで負債(借金)を表すために使われていました。

インドの数学者ブラーマグプタは「ブラーフマスプタ・シッダーンタ※3」(628年)において、今日も使われている一般化された形式の解の公式を作るために、負数を使うことについて論じています。彼は二次方程式の負の解を発見し、負数と零が関わる演算に関する規則も与えています。彼は正数を「財産」、零を「0 (cipher)」、負の数を「借金」と呼びました。

 

※3ブラーマ・スプタ・シッダーンタ (Brahmasphutasiddhanta) は、7世紀のインドの数学者・天文学者であるブラーマグプタの628年の著作である。表題は宇宙の始まりという意味。

 

12世紀のインドで、バースカラ2世も二次方程式に負の根を与えていましたが、問題の文脈では不適切なものとして負の根を拒絶しています。

 

8世紀以降、イスラム世界はブラーマグプタの著書のアラビア語訳から負の数を学び、紀元1000年頃までには、アラブの数学者は負債に負の数を使うことを理解していました。

 

負の数の知識は、最終的にアラビア語とインド語の著書のラテン語訳を通してヨーロッパに到達しました。

 

しかし、ヨーロッパの数学者はそのほとんどが、17世紀まで負数の概念に抵抗を見せました。

ただしフィボナッチは、『算盤の書』(1202年)の第13章で負数を負債と解釈し、後には『精華』で損失と解釈して金融問題に負の解を認めました。

同時に、中国人は右端のゼロでない桁に斜線を引くことによって負数を表しました。

ヨーロッパ人の著書で負数が使われたのは、15世紀中のシュケによるものが最初でありました。彼は負数を指数として使ったが、「馬鹿げた数」であると呼びました。

 

イギリスの数学者フランシス・マセレスは1759年、負数は存在しないという結論に達した。

 

負数は現代まで十分に理解されていませんでした。

つい18世紀まで、スイスの数学者レオンハルト・オイラーは負数が無限大より大きいと信じており(この見解はジョン・ウォリスと共通である)、方程式が返すあらゆる負の解を意味がないものとして無視することが普通でした。

 

■マイナスの計算

しかし負の数は、足算/引算は意味を理解しやすいですけれど、掛算/割算はその意味を理解しにくいです。なぜ(マイナス)×÷(マイナス)が(プラス)になるのか?

そう言うものだ、と割り切って覚えてしまえば良いのですが、中には「なぜ?」と考えたまま壁に当たってしまうかもしれません。

 

 ・プラスとマイナスは全く反対の方向である

 ・マイナスを掛ける(割る)ことは方向をひっくり返すこと

 

と理解できれば良いと思います。

 

マイナスの数を「足す」、「引く」、「かける」、「割る」といった、四則演算の規則を考えてみましょう。

例えば、

-3と-5を足すと、-8 (-3)+(-5)=(-8)

-4から-7を引くと、+3 (-4)-(-7)=(+3)

-2に-5をかけると、+10 (-2)×(-5)=(+10)

といった計算を習うわけですが、みなさんは、どうしてこれらの計算の答えがこうなるのか、理由をご存知でしょうか?

 

というのを理解することが、中学校数学のまず初めの関門なのです。

--------------------------------------------------------------------

負の数の計算規則については、こんな解釈はいかがでしょうか。

 

+は利益、-は損失だと考えてみましょう。

-3に-5を足すとどうなるか。

もともと「-3」という借金状態にある人に、さらに「-5」という負債を加えるわけですから、その人の損失は増えてしまいますね。だから結論は「-8」になります。

ちなみに、「借金を加える」ことと、「利益を奪い去る」ことは、その人の経済力に与える影響が同じですね。つまり、「マイナスの数を足す」ことと、「プラスの数を引く」ことは同じことになります。

 

-4から-7を引くとどうなるか。

もともと「-4」という借金状態にある人から、「-7」という負債を取り除いてあげることになりますから、借金が消えるどころか、プラスに転じて、結果「+3」という状態になります。

「借金を引き去る」ことと、「利益を加える」ことは同じことなのです。つまり、「マイナスの数を引く」ことと、「プラスの数を足す」ことは同じことになります。

--------------------------------------------------------------------

 

どうです? かいつまんで説明をしたつもりですが、それでも結構ややこしいと思いませんか? ここまでの説明を記号で表してみると、

  +(-5)=-(+5)・・・-5を足すことと、+5を引くことは同じ

  -(-7)=+(+7)・・・-7を引くことと、+7を足すことは同じ

ということになります。

 

さあ、最大の難関であるかけ算です。

「マイナスとマイナスをかけると、答えがプラスになる」というのは、多くの方がご存知だと思います。でも、その理由まで答えられる方は少ないのではないでしょうか。

そもそも、かけ算とはどのような計算でしょうか。

例えば2×5というのは、「2を5回足す」ということ、つまり「2+2+2+2+2」のことです。

   2×5=2+2+2+2+2

では、(-2)×5はどうなるかというと、

   (-2)×5=(-2)+(-2)+(-2)+(-2)+(-2)

「-2」を5回足すことになりますね。借金を5回重ねるわけですから、結果は「-10」となります。

この場合は、かける数が「5」というプラスの数でした。本当は上の式をきちんと書くと、

   (-2)×(+5)

ということになります。後ろの数がプラスだったからこそ、「+5回足す」という言い方が出来たわけです。

 

ではいよいよ、後ろの数をマイナスにしてみましょう。

   (-2)×(-5)

そのままかけ算の意味に直すと、「-2を-5回足す」ということになります。

・・・-5回足す!???

何だ!それ??? と固まってしまう方もいるでしょう。

しかし、思い出してください。

「-5を足すことと、+5を引くことは同じ」

+と-は、このように意味が逆となるような使い方ができるのです。この使い方によれば、

「-5回足すことと、+5回引くことは同じ」

と考えられますので、-2を5回引くと、

 -(-2)-(-2)-(-2)-(-2)-(-2)

+2   +2   +2   +2   +2 =+10

ということになりました。

また、負の数ではありませんが、0(ゼロ)およびアラビア数字(0、1、2、・・・)もインドで造られて発展しています。中国数字(一、十、・・・)やギリシャ数字(Ⅰ、Ⅹ、・・・)では掛算/割算の計算はできませんからアラビア数字が便利なことは一目瞭然です。

 

その意味で、数学の発展に初期のインドの貢献はとても大きいのです。

したっけ。

 

 

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ぐしゃぐしゃに砕かれた大顎の破片が散乱し 

ているのは知っていたがここのものではない

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ない兵器的非感覚の海を死生の循環の内へと

流し込むなど可能かぶふぅィ暫し棘状の海塚 

にうずくまりわたしたち固有の肉体がはぜる

 記憶のふあんに堪える堪えて噛む海鳩が翔ぶ  

〈母ァさん 母ァさん〉

 あなたさえ答えようもないのです 

(後略)

 

 

 


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6 コメント

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ありがとうございます (ゆり)
2020-12-13 09:24:44
おはようございます。

大昔まで戻ってワクワク致しました。

「九章算術」0はちゃんと空欄になってる(*^^*) これが紀元前!!

あのマイナス×マイナスがプラスの数字になるのも快感でした。
しかしね~~ 
7×0がなぜ0になるのか。7×1は7なのに、おとなりの0をかけた(×)だけで0になるのか。
どんな大きな数(マイナスであろうがプラスであろうが)0になっちゃうのか、すごく不思議でしたよ。
当時、計算には0とすればよかったから楽でしたけど(;^_^A

西欧文明のほうが進んでいたなんて昔は思いましたが、
東洋の方がはるかに進んでいたことを思いますね。
いや~楽しかった。有難うございました。
返信する
Unknown (きままなマーシャ)
2020-12-13 09:25:48
古代インドは数学で世界を変えたのですね。
すごいですね。
ゼロの概念だけでなく負の数まで。
数学的に優れてたんですね。
返信する
★ゆりさん★ (都月満夫)
2020-12-13 09:45:37
そうですか。
それはよかった。
マイナスという概念は借金から生まれた。
現実的ですね。
東洋の数学は西洋を超えていたんですよ^^
したっけ。
返信する
★きままなマーシャさん★ (都月満夫)
2020-12-13 09:47:07
古代インドの数学は進歩的でした。
今でもコンピュータにかかわるインド人は多いのだそうです^^
したっけ。
返信する
Unknown (みゆきん)
2020-12-13 15:29:27
私の辞書にマイナス・・・
あった
元旦那との結婚
あれが唯一のマイナスの日々
返せーって言いたい( 一一)
返信する
★みゆきんさん★ (都月満夫)
2020-12-13 16:04:53
幸せだった日々も少しはあったでしょう。
結婚時点で0、あとはマイナスだったのか?
過ぎたことは忘れよう^^
したっけ。
返信する

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