大津波が襲ってきた時に、大きなポロフンベ(親クジラ)と小さいポンフンベ(子クジラ)が津波の盾になって抜海岬付近は難を逃れることができました。
親クジラが子クジラを背負おうような形で岩になったそうです。
その岩を、コロポックルはフンベカムイ(クジラ神)と崇めました。
アイヌはこの地名を「ぱっかいぺ」=ポ・カィ・ペ(子供を・背負う・もの)と呼んでいたのが現在の抜海の地名の由来だそうです。
北海道登別 :フンベ山(鯨山伝説)
巨大なお化けクジラをカワウソのカムイが2つに切って、登別と鷲別に置いた。それが登別のフンベ山などになった。
フンベという地名は広尾町にもあります。フンベの滝。
北海道登別市鷲別 :鯨明神
鷲別神社は飢饉のときに寄り鯨によって救われたこと祈念して建立されたことから「鯨明神」と呼ばれている。
北海道サロマ :サロマ地名伝説
「シャルマ(サロマ)ノ高山ノ上、鯨ノ首アリハロ(芭露)ノ水底ニ尾ノ方アリ山上ノ首ハ苔蒸シテ青シト云」による。
クジラはサロマ湖で苔むした身体を洗いたくなって沢を下り、コタン、部族間の争い、若者の悲恋をも一瞬に蹴散らしてしまった。
湖につかり心地よくて潮を吹くと、潮吹き穴の草木の種が空高く吹き上げられて、荒れ果てたコタンに降り注ぎ、芽吹く…と言う。
知人岬で弁慶と弓勢争いをしたとき、弁慶の矢は大楽毛を越えた辺りで落ちたが義経の射た矢は白糠の海岸まで届いた。
義経が得意になっていると、沖の方でクジラが「そんなに威張るな」と笑っていた。
義経は怒ってそのクジラを射殺して食べようとクジラの尻から串を刺して地に立て火にあぶり義経も寒いので火にあたっているうちに居眠りをした。
クジラの油が串を伝わって火に落ちて串が燃えていたが、そのうち焼け落ちてクジラがどすんと火に落ちた。
義経は、ビックリして尻餅をついた。そのために凹んだので、この地がオショロコツ(尻餅)と呼ばれるようになった。
北海道北見市 :義経伝説
オショロマウのところに「昔,義経が,ここに流れついた鯨(くじら)を拾って,ヨモキ゛の串にさして焼いている時,突然ヨモキ゛の串が折れたのにおどろいて尻もちをついて,そこにくぼみが出来た」,イコイヘ゛ウシは「弁慶(べんけい:義経のけらい)がいつも魚を焼いた」,オヘケフ゜では「義経が,船を洗う道具を落とした」,マクオイでは「義経が,幕を張った」などの伝説があります。
北海道勇払郡むかわ町穂別 :鯨山
このチャシの北側には鯨山と呼ばれる双瘤の丘があり、昔この付近が海だったとき鯱に追われた鯨が逃げ場を失って陸に上がってしまい、そのまま鯨と鯱が双瘤の丘になってしまったという伝承があるそうです。
また、鯨山は古戦場であるという伝承もあるようです. 穂別川をはさんでこのチャシの対岸には隆農(たかのう)チャシがありますが、農道の改修工事のために削られてしまったそうです。
寄り鯨を売った一部を寄進し建てられた室蘭八幡宮。鯨絵馬もあり、「鯨神の舞」が伝承され祭りに披露されている。
北海道にもこれだけの(まだあるかもしれませんが・・・)言い伝え・伝説があるのですから、全国ではどれだけあるのか計り知れません。
尚、「フンベ」とは、アイヌ語で鯨のことです。
鯨のつく苗字は余りありません
鯨井・鯨岡・鯨・鯨津・鯨伏・鯨崎などがありました。
今回の主役は鯨ですが、義経の名が再三登場することにお気づきでしょうか。
義経は衣川で奥州藤原氏の襲撃を受けて自害したことが史実になっていますが、実は生きのびて東北・北海道から中国大陸に渡ってジンギスカンになったという伝説があるのです。
しかし、この「義経=ジンギスカン伝説」が比較的近年にうまれたものであることを知る人は意外に少ないのではないでしょうか。
最初に唱えたのは江戸後期に来日したあのシ-ボルトで、大正の終わり頃に一般的なものとなったといわれています。
義経が北海道に渡ったとする伝説が生まれた背景には北東アジアを南下するロシア帝国の脅威がありました。北海道に住むアイヌの人たちの神(オキクルミ)と義経が同一であることを彼らに強制させることで、北海道が日本の「領土」であることを主張する理由づけをしたのです。
義経が斬首されたのは、夏だったことから、首がすぐに腐って確認が出来なかったとされたそうです。
さらに、義経=ジンギスカン伝説が受け入れられた背景には実は中国大陸の利権を狙う当時の日本の社会的な風潮があったとされています。つまり、大陸に渡って開拓を進める日本人を鼓舞するために、かつてユ-ラシアを支配した偉大な先祖(ジンギスカン=義経)がいたことにしようとしたのです。
源義経 1159年 -1189年
チンギス・カン 1162年頃? - 1227年
鯨と源義経。源義経とチンギス・カン。誰かの作った嘘っぱちが伝説になる。嘘だと知っていて伝説にする。
伝説を信じちゃいけません、誰かが伝えた説ですから・・・。
明日は「寄り鯨」について考えてみましょう。
したっけ。