ぼんくら放浪記

Blogを綴ることによって、自分のぼんくらさを自己点検しています。

北斎展

2012-11-19 00:00:00 | 展覧会

週を跨いでしまいましたが、天王寺公園から大阪市立美術館で開催中の葛飾北斎展へ入館、もちろん館内は撮影できません。この前に行った正倉院展の入館料が1000円、北斎展は1200円、入館料の差から来るものではないのでしょうが、同じ木曜日なのにも拘らずこちらは混雑していません。北斎の作品には重要文化財はあるものの国宝がありませんから、その差なのでしょうか、富嶽三十六景など大したものではないですか、将来国宝に指定されることも十分考えられます。まぁ、現在見に来ている人が生きているうちにそうなることはないでしょうけど、だからこそ余計に見ておかなければならないと私は思ったのですがね。

             

この絵は『足利行道山 くものかけはし』諸国名橋奇覧と名付けられたシリーズ絵の一つ、入館時に受付で貰ったものですが、絵としては5×7、5cmの小さなものでした。でもこうして撮ってみると、そんなに小さいものとは思えないでしょ。本物は25×36,5cmあるようです。

             

今回の企画は風景・美人・奇想という3つのジャンルに分けて、順に展示してあり、最初の風景画などは実際に小さいもので、ほの暗い美術館の部屋ではたいそう見難いものでした。展示してあるのが小さいもの順なのか、年代順なのかよく判らなかったのですが、小さいものを見るのが不得手になったこの齢の人間から言わせてもらえば、展示されたものが見難いというのは、主催者側の手落ちだと指摘されても仕方のないことでしょう。

正倉院展(読売新聞社 特別協力)にしても、北斎展(読売新聞社 主催)にしても、どちらも読売新聞社が絡んでいて、どのように美辞麗句を連ねてもあのナベツネの悪態が絡んでくるので、こういう高齢者に対しての仕打ちも、奈良で食べられた読売新聞紙の片割れに食べたシカに“こんな汚いインク(ナベツネを薄汚れた奴と思っているので)が付いているのに大丈夫か”と心配したことにしても、社主の普段の言動、振る舞いなどに“坊主憎けりゃ袈裟まで”になってしまうのです。

                       

この展覧会では、有名な絵をたくさん残している北斎は、もちろん絵は上手なのですが、本来は漫画家だなと思ったのです。『北斎漫画』という本を残しているからと言う意味では無く、今は全くマンガなど読まなくなっていますからどう変わっているのか知らないのですが、若い頃によく読んだマンガの技法(雨や風の表現など)と酷似しているのです。この考え方は本末転倒です、北斎の手法を現在の漫画家が真似ていると言った方が正解なのでしょうが、要は北斎はマンガを描くべく現れた人のように思ったのです。

風景画にしても殆どの作品には小さいながら人が描かれているのも、何とかしてストーリー的に描きたいと言う漫画家としての特徴なのだと思っているのです。

             

北斎漫画は文庫本で3分冊になって青幻舎という出版社から一冊1500円で売りに出されていますが、所謂ストーリーのあるマンガでは無く、スケッチと言ったところ、欲しいのですが三巻で4500円+税であり、白黒ということも相俟ってなかなか手が出すことが出来ません。他にカラーの大型本として1680円のものもありますが、総て収録されているのでは無さそうですし、初刷り『北斎漫画』という単行本もありますが、12600円もします。“帯に短し、襷に長し”ですね。

             

さて、美人画、奇想画と順に観て思ったのが、名古屋赴任時に長野へ観光に行った際、小布施で見た鳳凰図が無かったこと、北斎が晩年に描いたものですが、天井画なので持っては来れないのでしょうが、非常に迫力のある絵でした。鳳凰図は私が見た小布施の岩松院に描かれたものだけではありませんから、是非展覧会でも見ることが出来たらいいのにと思っています。

             

後、無かったものと言えば春画ですね。北斎は春画も多数描いているのです。展覧会に出展するには卑猥度が高いのかも知れませんが、北斎の人生、そして人生観を知る上では貴重な代物だろうと思うのです。春画など出展すると色めきたった輩が大勢詰め寄せるとでも思っているのかも知れません。

             

北斎の浮世絵は非常に斬新なデザインで心を揺すぶるものが多いのですが、昔サッカー部の先輩から頂いて家に飾ってあったパネル、広重の浮世絵『東海道五十三次のうち 日本橋』の方が構図に安定感がありますね。どちらが好きかと言われても困りますが、広重は私が学校で習ったのは安藤姓だったのに、今では歌川姓に替わってしまっていて、替えたんなら教えた奴は責任持って訂正しに来いよなどと思ってしまいます。

             

いずれ何処かで手に入れようと思っている文庫本の北斎漫画、そのカバーにしようと紙製のブックカバーを買いました。北斎の書物を北斎のブックカバーで覆うなんて、なかなか洒落たアイデアです。右の隅に写っているのは美人画を描いた栞、本を買っても栞が付いてないものが多く、特に単行本などは全く本に栞が付いてないし、今は本屋に行かず(本屋で買えばレジの辺りに栞が置いてある)、通販で買うことが多いので困ったもんだと思っていました。美人画より風景画の方が良いのですが、構図上栞には向いていないのですよね。

                       

受付で小さなカード絵を貰ったので、こんなものも買ってしまいました。富嶽三十六景のものを5枚買おうと思ったのですが、気に入ったものは4枚しかなく、北斎と言えばこの絵と言われそうな『凱風 快晴』『神奈川沖 波裏』と『東海道品川 御殿山ノ不二』『隅田川 関屋の里』を選び、もう一つ北斎と言えば、迸る波濤を描いた『千絵の海 総州銚子』を買いました。受付で小さなカードをくれたのは、こういった絵を買わそうという意図があったのかも、それならまんまと引っ掛かってしまった私でした。

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