ぼんくら放浪記

Blogを綴ることによって、自分のぼんくらさを自己点検しています。

妖怪

2007-06-27 05:00:00 | 読書
妖怪とは、鳥居甲斐守忠耀のこと、名前の『耀』と『甲斐』を組み合わせた綽名である。



鳥居忠耀は鳥居耀蔵として、海音寺潮五郎の『悪人列伝・近代篇』に出ていた。

忠耀の父親は林大学頭、寛政の改革で『学問吟味』という中国の『科挙』制度を真似た制度を唱え、世間の奢侈を押さえる代わりに学問で優秀な者を召抱える政策を実現させた。
しかし中国で隋の時代から行われていた制度を、日本で江戸時代の末期に採用するなど時代遅れの観は紛れない。

それでも享保の改革からこの小説の舞台である天保の改革まで『学問吟味』の制度は下級武士に希望を与え、学問に勤しむ者が急増したのは悪いことでは無かっただろう。

海音寺氏はこの鳥居耀蔵を賄賂とスパイ行為の首謀者と決め付けている。
しかしこの本の著者平岩弓枝氏は、天保の改革を進めるために水野忠邦の配下に置かれ、旗本として徳川家の御為に命を擲って奔走した忠義者として描かれている。



鳥居忠耀の行った罪状として海音寺氏は・・・忠耀が洋学を極端に嫌う儒家あがりであり、自分の出世のためには手段を選ばぬ陰険な人物として

①大塩平八郎の乱の罪状作成
②浦賀海岸の測量
③渡辺崋山・高野長英等を捕らえた『蛮社の獄』と呼ばれた疑獄事件
④前将軍斉昭の寵臣・水野美濃守の追い落とし
⑤南町奉行・矢部定謙の追い落とし
⑥長崎の町年寄・高島秋帆への冤罪
⑦幕府に都合の良い上知令を見限って水野忠邦を裏切った

を挙げている。

これに対して平岩氏は一つ一つを取り上げながら、忠耀には出世欲など無かったとして、執った行動を小説化している。

さて、どちらが本当なのか・・・

ちなみに⑤の南町奉行の後任は忠耀であり、当時の北町奉行は遠山の金さんであった。



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