
今日の「 お気に入り 」 は 、 インターネットのフリー百科事典
「 ウィキペディア 」掲載の記事 「 セレンディピティ 」 。
引用はじめ 。
「 セレンディピティ( 英語: serendipity )とは 、
素敵な偶然に出会ったり 、予想外のものを発見する
こと 。また 、何かを探しているときに 、探してい
るものとは別の価値があるものを偶然見つけること 。
語の起源と意味
『 serendipity 』という言葉は 、イギリスの政治家
にして小説家である ホレス・ウォルポール が 1754年
に生み出した造語であり 、彼が子供のときに読んだ
『 セレンディップの3人の王子 ( The Three Princes
of Serendip ) 』という童話にちなんだものである 。
セレンディップとはセイロン島 、現在のスリランカの
ことであるから 、すなわち 、題名は『 スリランカの
3人の王子 』という意味である 。ウォルポールがこ
の言葉を初めて用いたのは 、友人に宛てた書簡におい
て 、自分がしたちょっとした発見について説明してい
るくだりにおいてであり 、その書簡の原文も知られて
いる 。
” この私の発見は、私に言わせればまさに『 セレン
ディピティ 』です 。このセレンディピティという
言葉は 、とても表現力に満ちた言葉です 。この言
葉を理解していただくには 、へたに語の定義などす
るよりも 、その物語を引用したほうがずっとよいで
しょう 。かつて私は『 セレンディップの3人の王
子 』という童話を読んだことがあるのですが 、そ
のお話において 、王子たちは旅の途中 、いつも意
外な出来事と遭遇し 、彼らの聡明さによって 、彼
らがもともと探していなかった何かを発見するので
す 。たとえば 、王子の一人は 、自分が進んでいる
道を少し前に片目のロバが歩いていたことを発見し
ます 。なぜ分かったかというと 、道の左側の草だ
けが食べられていたためなのです 。さあ 、これで
『 セレンディピティ 』がどのようなものか理解し
ていただけたでしょう? ”
英英辞書では以下のように説明されている。
Definition of serendipity in English : noun
[MASS NOUN]( 複数形にならない名詞、質量名詞、数えられない名詞、不可算名詞 )
The occurrence and development of events by
chance in a happy or beneficial way
'a fortunate stroke of serendipity'
[COUNT NOUN] ( 数えられる名詞 、可算名詞 )
'a series of small serendipities'
— Oxford Dictionaries Language matters
日本語訳
日本語では 、通常は音写の『 セレンディピ
ティ 』『 セレンディーピティー 』等が用い
られる 。『 偶察力 』と訳される場合もある ( 無理に訳さず 、音写(おんしゃ)でいい )
が 、確固とした訳語は定まっていない 。精
神科医の中井久夫は『 徴候・記憶・外傷 』
(みすず書房2004年)で『 徴候的知 』と呼ん
でいる 。
自然科学におけるセレンディピティ
アメリカの社会学者 ロバート・キング・マート
ンが 1958年に『 The Travels and Adventures of
Serendipity( セレンディピティの旅と冒険 )』
を発表したことをきっかけに 、学術誌や科学雑誌
で頻出する言葉となった 。
セレンディピティは 、失敗してもそこから見落と
しせずに学び取ることができれば成功に結びつくと
いう、 一種のサクセスストーリーとして 、また科
学的な大発見をより身近なものとして説明するため
のエピソードの一つとして語られることが多い 。
酒井邦嘉は ペニシリン発見 や 田中耕一 の例をあ
げ 、フランスのルイ・パスツールの言葉( 1854年
のリール大学学長就任演説より )を紹介して 、
『 構えのある心 』( the prepared mind ) がセレ
ンディピティのポイントだという 。セレンディピ
ティは社会的独創性は高いが 、発想的独創性は低い
と言われている 。
『 観察の領域において 、偶然は構えのある心にしか
恵まれない 』( Dans les champs de l'observation
le hasard ne favorise que les esprits préparés. )
セレンディピティが見出せる代表例
・アルキメデスによる 、アルキメデスの原理の発見
(紀元前3世紀)
・ヘニッヒ・ブラントによる 、リンの分離と発見
(1669年)
錬金術で銀を金に変換するため 、人間の尿を蒸発
させていたところ発見 。
・ハンス・クリスティアン・エルステッドによる 、電
流と磁気の関係の発見(1820年)
・チャールズ・グッドイヤーによる 、ゴムへの加硫の
発見(1839年)
・ウィリアム・パーキンによる 、モーブの発見(1856
年)
マラリアの特効薬としてのキニーネを研究中 、環
境の整っていない自宅に帰省した際 、粗末な実験
室で合成実験をしたところ 、意図せず 、紫色の
アルコール溶液が生成され 、これが史上初の人工
染料( 当然ながら 、紫色で史上初の人工染料で
もある )になると即座に看破した 。
・アルフレッド・ノーベルによる 、ダイナマイトの発
明(1866年)
・クリップの発明(1890年代)
・ヴィルヘルム・レントゲンによる 、X線の発見
(1895年)
・ピエール・キュリー 、マリ・キュリー夫妻によ
る 、ラジウムの発見(1898年)
ポロニウムを抽出した閃ウラン鉱の残渣の方が電
離作用が強いため 、更に調べたところ見つかっ
た 。
・ハンス・フォン・ペヒマンによる 、ポリエチレンの
発見(1898年)
・エドゥアール・ベネディクトゥスによる 、合わせガ
ラスの発明(1903年)
・アレクサンダー・フレミングによる 、リゾチームと
ペニシリンの発見(1922年と1928年)
フレミングが培養実験の際に誤って 、雑菌である
アオカビを混入(コンタミネーション)させたこ
とが 、のちに世界中の人々を感染症から救うこと
になる抗生物質発見のきっかけになった 。
・アルバート・ホフマンによる 、LSDの幻覚作用の発
見(1938年)
・ロイ・プランケットによる 、テフロンの発見
(1938年)
・パーシー・スペンサーによる 、電子レンジの発明
(1940年代)
・ルイス・フィーザーによる 、ナパーム弾の発明
(1942年)
・ウィリアム・ショックレーらによる 、トランジスタ
の発明(1947年)
・ジョルジュ・デ・メストラルによる 、マジックテー
プの発明(1950年頃)
・江崎玲於奈らによる 、トンネルダイオード 、トン
ネル効果の発見(1950年代)
・アーノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンによ
る 、宇宙背景放射の発見(1964 - 1965年)
・白川英樹らによる 、導電性高分子の発見(1967年
〈昭和42年〉秋)
・アントニー・ヒューイッシュとジョスリン・ベル・
バーネルによる 、パルサーの発見(1967年)
・核実験監視衛星ヴェラによる 、ガンマ線バーストの
発見(1967年)
・敷山哲洋( NIPPURA創業者 )による 、アクリル樹
脂パネル製大型水槽の開発につながるアクリル樹脂
パネルの重合接着技術の発明( 会社を設立した1969
年より数年前 )
カーペット床に落ちたうどんがくっついて簡単に
取れなかったことで閃いたという 。
・スペンサー・シルバー、アーサー・フライによる 、
付箋( ポストイット・メモ )の発明(1969年)
・液晶ディスプレイの交流駆動方式の発明(1971年)
・ルイス・アルヴァレズ、ウォルター・アルヴァレ
ズ 、フランク・アサロ、ヘレン・マイケルによ
る 、恐竜滅亡の小惑星衝突原因仮説(1980年)
・ハロルド・クロトー 、リチャード・スモーリー 、
ロバート・カールによる 、フラーレン (C60) の発
見(1985年)
・田中耕一による 、高分子質量分析法( MALDI法 )
の発見(1980年代)
・ファイザーによる 、シルデナフィル(バイアグラ)
の開発(1990年代)
開発当初は狭心症の治療薬として治験を行ってい
たが 、治験していた男性の勃起が止まらなかった
ため 、勃起不全による不妊治療薬として発売され
た 。
・飯島澄男による 、カーボンナノチューブの発見
(1991年)
・小林久隆による 、光免疫療法の発見(2009年) 」
引用おわり 。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます