「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

ラプラスの悪魔 Long Good-bye 2022・10・19

2022-10-19 05:29:00 | Weblog



  今日の「 お気に入り 」は 、インターネットのフリー百科事典「 ウィキペディア 」
  掲載の記事「 バタフライ効果 」。
  
   適宜取捨して引用します 。

  引用はじめ 。

  「 バタフライ効果( バタフライこうか 、英 : butterfly effect )は 、力学
   系の状態にわずかな変化を与えると 、そのわずかな変化が無かった場
   合とは 、その後の系の状態が大きく異なってしまうという現象 。
    カオス理論で扱うカオス運動の予測困難性 、初期値鋭敏性を意味する
   標語的 、寓意的な表現である 。

   気象学者の エドワード・ローレンツ による 、『 蝶がはばたく程度の
   非常に小さな撹乱でも 遠くの場所の気象に影響を与えるか ? 』という
   問い掛けと 、もしそれが正しければ 、観測誤差を無くすことができな
   い限り 、正確な長期予測は根本的に困難になる 、という数値予報の研
   究から出てきた提言に由来する


   意 味
   自然現象は 、時間の経過に従ってその状態を変える 。ニュートン力学
   では 、そのような自然現象の変化の法則 、すなわち物体の運動の法則
   を発見し 、将来の状態を予測する方法を確立させていった 。このニュ
   ートン力学に代表されるように 、ある状態の次の状態が確定した法則に
   従って一意に決まるという考え方は 、決定論 という呼び方で知られて
   いる 。量子力学の登場により ミクロのスケールでは 運動の状態は確率
   的に決定されることが明らかとなったが 、日常的に目にするようなマク
   ロのスケールでは 、多くの現象がニュートン力学に従っている 。この
   ような決定論的・ニュートン力学的法則に基づく物理法則から将来の状
   態を予測するには 、その系の初期状態( 初期値 )が先ず必要となる 。
   思考実験の1つである ラプラスの悪魔 は 、完全無欠な初期状態を得て 、
   そこから過去と未来の全ての正確な状態を予測するが 、現実には完全に
   正確な初期状態を知ることはできない 。そのような場合においても 、
   自然科学の研究では 、真の初期状態との違いがわずかであれば 最終状
   態においても わずかな違いしか生まれないだろうと 、しばし仮定され
   てきた 。しかし カオスという現象の発見により 、決定論的・ニュー
   トン力学的法則に従うような系でも 確率論的に ランダムかのような振
   る舞いを起こし 、なおかつ 、初期値のわずかな差が将来の状態に無視
   できない大きな差を発生させる現象があることが明らかになった 。

   ニュートン力学のように 、時間経過とともにその状態が変化し 、その
   変化の法則が決定論のような一定法則で与えられ 、初期状態が決まれば
   その後の状態も一意に決定されるようなシステム 、あるいは 、そのよ
   うなシステムを扱う数学分野を力学系と呼ぶ 。この分野では 、ある系
   において 、初期状態に存在する差が 時間経過に従って 指数関数的増
   加を起こし 、無視できないほど大きな差を生むとき 、その系は 初期
   値鋭敏性
を有するという 。バタフライ効果とは 、この 初期値鋭敏性
   の寓意的な言い換え
である 。初期値鋭敏性 は 、カオス理論で カオス
   と呼ばれる現象の特徴 、あるいは定義の一部である
大気運動などは
   非線形な力学系方程式に従い 、なおかつ 初期値鋭敏性 を有すると考
   えられている 。初期値鋭敏性 すなわち バタフライ効果 を有するかは 、
   リアプノフ指数 が正の値を取るかなどで定量評価される


   実在する自然現象に対して 力学系の計算モデルを構築して 将来の状態
   を予測するには 初期値 をモデルに与える必要がある 。しかし 、実際
   の予測では 予測対象物の観測によって 初期値 を得るが 、この際の感
   測誤差を無くすことはできない 。一方 、予測のための計算モデルが
   初期値鋭敏性 を有する場 合、初期値のどんなに小さな差も指数関数的に
   増大し得る 。したがって 、計算モデルから将来の状態を予測しようと
   しても 、短期間の内ならば ある程度の精度で 予測可能でも 長期間後
   の状態の予測は 近似的にも不可能となる 。このような性質は 長期予測
   不能性
予測不可能性 などとも呼ばれる 。このような 初期値鋭敏性
   の帰結である 長期予測不能性 の存在も 、バタフライ効果 が意味する
   ものである 。

   表現の由来
   バタフライ効果( 英語 : butterfly effect )という表現は 、気象学
   者の エドワード・ローレンツ が 1972年に アメリカ科学振興協会で行
   った 講演のタイトル Predictability : Does the Flap of a Butterfly's
   Wings in Brazil Set Off a Tornado in Texas ?
( 予測可能性:ブラジ
   ルの1匹の蝶の羽ばたきは テキサスで竜巻を引き起こすか ? )に由来
   すると考えられている
。ローレンツによると 、ローレンツ自身は 初期
   値鋭敏性の象徴 として 元々は カモメ を使っていたが 、この学会の主
   催者で気象学者の フィリップ・メリリース が 蝶に変更したことで 、
   この講演タイトルとなった 。蝶の方が儚げで 弱そうなもの に見えるの
   で 、大きなものを生み出し得る小さなもの の象徴に 最適と判断したの
   だろうと 、ローレンツはこの変更理由を推測している 。

   バタフライ効果 という言葉が 一般的に引用されるとき 、ローレンツの
   講演タイトルのような形で説明を付けることが多いが 、説明に出てくる
   地名と発生する現象には 様々な違いが見られる 。ベストセラーとなった
   1987年の ジェイムズ・グリック の著書 " Chaos : Making a New Science "
   ( 邦題:カオス―新しい科学をつくる )では 、『 今日の北京で1匹の
   蝶が空気をかき混ぜれば 、翌月のニューヨークの嵐が一変する 』という
   形で説明されており 、元の講演タイトルと比較すると『 ブラジル 』が
   『 北京 』に 、『 テキサス 』が『 ニューヨーク 』に変わっている 。
   ポピュラーカルチャーでの例としては 、1990年の映画『 ハバナ』で ロ
   バート・レッドフォード演じる主人公が『 1匹の蝶が 中国ではばたけば 、
   カリブでハリケーンを起こす
』というセリフを レナ・オリン 演じるヒ
   ロインに話すシーンがあり 、『 ブラジル 』が『 中国 』に 、『 テキ
   サス 』が『 カリブ 』に 、『 嵐 』が『 ハリケーン 』に変わっている 。

    ( 後 略 )                          」

  引用おわり 。

  ( ついでながらの
    筆者註 : ・「 ピエール=シモン・ラプラス( Pierre-Simon Laplace ,
          1749年3月23日 - 1827年3月5 日)は、フランスの数学者・
          物理学者・天文学者 。「 天体力学概論 」( traité intitulé Mécanique
          Céleste )と「 確率論の解析理論 」という名著を残した 。 1789年に
          ロンドン王立協会フェローに選出された 。
           ラプラス は自著において以下のような主張をした 。
            もしも ある瞬間における全ての物質の力学的状態と
           力を知ることができ 、かつ もしも それらのデータ
           を解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば 、
           この知性にとっては 、不確実なことは何もなくなり 、
           その目には未来も( 過去同様に )全て見えている
           であろう。
                  — 『 確率の解析的理論 』1812年 」

        ・「 リアプノフ指数( リアプノフしすう 、英 : Lyapunov
          exponent )とは 、力学系において ごく接近した軌道が
          離れていく度合いを表す量である 。リャプノフ指数とも
          表記される 。ロシア人科学者 Алекса́ндр Ляпуно́в
          ( アレクサンドル・リプノーフ 、Aleksandr Lyapunov )
          にその名をちなむ 。 」)



        
コメント
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