地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

「ドップラー遷移法」と「トランジット法」

2006年12月29日 19時27分28秒 | 大気圏外ネタ
フランス国立宇宙研究センター(CNES)は27日、カザフスタンにある
ロシアのバイコヌール宇宙基地から、「第2の地球」ともいえる太陽系外の
惑星を探す探査機「コロー」を打ち上げました。

【ワシントン27日共同】

太陽以外の恒星を回る惑星は、1995年にスイスのチームが発見して以来、
約200個が見つかっていますが、そのほとんどは木星の様な重いガス惑星
で、固体惑星である地球にいるような生物は生存できません。コローは地球
の大きさの数倍までの固体惑星の発見をできる能力の観測装置を持ち、生物
存在の可能性が高い岩石の地表を持つ地球状小型惑星の発見を目指します。

協力している欧州宇宙機関によると、コローは地球の周囲を回りながら、口
径30センチの光学望遠鏡を使って約2年半の間に12万個以上の恒星を探
索。惑星が恒星の前を通過する際に、恒星からの光がわずかに暗くなる現象
を検知して惑星発見に努めることになります。


(欧州宇宙機関提供の「コロー」活動想像図。「コロー」が未知の惑星を発見
・観測している図なのでしょうが、どうも変です。何十・何百光年も離れた恒
星とその惑星がこんなに近くに見えているわけ無いやん。画描いた人、ホント
に意味分かってるのかな~)


これまでに発見された太陽以外の恒星を回る惑星(系外惑星)のほとんどは、
「ドップラー偏移」を利用して間接的に発見されたものです。惑星がその周囲
をまわっていると、恒星は微妙にふらつきます。それは惑星と恒星は、その重
心を中心にお互いにまわっているからです。恒星の方が圧倒的に重いので、恒
星はほんのわずかしかふらつきませんが、惑星の公転と同じ周期で運動します。
同様なことが、ハンマー投げの選手とおもりの旋回の際にも発生していますの
で、室伏選手の投擲の際の回転シーンをイメージすればよいと思います。


(惑星は恒星の周りを廻るのではなく、共通重心の周りを廻るのです。恒星にも
同じことが言えます)

太陽は、木星の影響で、半径 0.005天文単位の円を約12年 (木星の公転周期)
でまわっています。速さは 秒速13メートル程度。このような恒星のふらつきに
よって、恒星からの光は「ドップラー偏移」をひきおこします。動いているもの
から発せられる音、例えば救急車のサイレンは、近づくときには高くなり(波長
が短くなる)、遠ざかるときには低くなります(波長が長くなる)。
恒星から出る光にもサイレンの音と同様の習性があるのです。

つまり、惑星がまわっていると、恒星からの光の波長は周期的に長くなったり
短くなったりするということが言えるわけで、この周期変動を観測することに
よって惑星を間接的に発見することができる様になりました。周期の長さから
惑星の軌道半径(中心の恒星からの距離) がわかり、その軌道半径と変動の
振幅から惑星の質量の最小値がわかるのです。真の値は視線方向と惑星軌道面
がなす角が決まらないとわかりませんが。


(観測している恒星が近づいてくる時はその波長は短くなり、遠ざかる時は長く
なります)

重い惑星、軌道半径の短い惑星ほど、恒星のふれ速度は大きくなります。つまり、
恒星のすぐ近くを高速で回転する木星型の大質量惑星、いわゆる「ホット・
ジュピター」は発見しやすいのです。反面、軌道半径の大きな惑星 (例えば
太陽系の土星や天王星、海王星などの長い公転周期を持つもの)や、軽い惑星
(例えば地球型惑星)は、存在していたとしても現時点の観測装置の精度では
検出できません。


ドップラー偏移法とは別の系外惑星の発見方法の中で有力なものに、トランジッ
ト法と呼ばれるものがあります。

惑星の軌道面が、われわれから見て ちょうど真横になっている場合には、惑
星が ときどき恒星の前を横切って我々の視線にとっては影を作ることになり
ます。そのとき、観測している恒星は、みかけ上、一時的に減光することにな
ります。この恒星面通過(トランジット)による減光で惑星を検出する方法を
「トランジット法」と呼んでいるのです。


(「ドップラー遷移法」と「トランジット法」の関連説明図)

系外惑星新発見の方法としてのトランジット法の利点は、ドップラー偏移法に
比べて、遥か遠方の恒星の惑星も発見できることです。恒星の光の精密なドッ
プラー偏移観測を行なうためには、明るい恒星、つまり近い恒星でなければ
なりません。つまり、ドップラー偏移法で発見できる惑星は比較的近いものに
限られるわけです。一方、トランジット法は単に周期的な減光がわかればいい
ので、遠く暗い恒星が持つ惑星も発見できます。

ただ問題は、惑星軌道面が視線方向にほぼ一致している必要があるため、惑星
があっても恒星面通過が起こる確率が小さいということです。恒星の直径をD、
惑星軌道半径をRとすると、軌道として恒星面通過が起こる確率はD/πRで、恒
星面通過が実際に起こっている瞬間に当たる確率はさらにD/2πR程度。太陽の
ような恒星でR=0.05天文単位のホット・ジュピターが あった場合では、D/πR
は1/15程度なので、観測したときに恒星面通過にうまく当たる確率は 数百分
の1になります。軌道半径Rが大きな惑星では確率はもっと下がります。
(例えば、R=5天文単位の 木星だと 数百万分の1)。このため、惑星新発見の
ためには、銀河中心や 星団などの方向を狙って、十万から百万個 というよう
な 非常に多くの恒星を 継続的に 観測し続ける ということがなされています。
これまでに恒星面通過かも知れないという減光は 数十以上の恒星で観測され、
そのうちのOGLE-TR-56の減光はまず間違いなく、惑星によるものだとされてい
ます。

今回打ち上げられたフランスの「コロー」や、近々に打ち上げが予定されてい
る米国の人工衛星「ケプラー」は、それら惑星トランジット観測専用宇宙望遠
鏡を搭載しているわけです。

一方、トランジット法は系外惑星新発見の方法としてだけでなく、すでにドップ
ラー偏移法で見つかっている系外惑星のデーター補強にも極めて重要です。
HD209458という7.6等級の恒星には、ドップラー偏移法によって、軌道半径0.045
天文単位のホット・ジュピターが発見されたのですが、トランジット法によって
も 惑星の存在が確認されました。ドップラー偏移法とトランジット法という、
全く異なる方法で確認されたことにより、惑星の存在は 100%揺るぎないものに
なったという意義も大きいですが、ことはそれだけではありません。

恒星面通過が 観測されたことによって、惑星軌道面の向きが精密に計測され、
惑星質量を高い精度で求めることができ、さらにそのことから惑星の密度も計算
できます。減光率は恒星と惑星の断面積の比に他なりません。恒星の半径はその
恒星スペクトルから推定できるので、結果として惑星の断面積も求めることが
できます。芋づる式に、その質量と断面積から惑星密度がわかります。これは
惑星の組成に対して、非常に重要な情報となります。さらに、惑星が恒星面通
過中、恒星の光の一部は 惑星の大気を通過してくるので、恒星面通過中とそれ
以外のときのスペクトルを比べることにより、惑星大気の情報を引き出せすこと
もできる様になります。

これら観測データから、惑星大気のナトリウムの量が推定されたり、惑星から
吹き出しているガスが 検出できたとする報告もあります。

このように既知の系外惑星についても、トランジット法が成功すると、ドップラー
偏移法だけの場合に比べて、惑星に関する桁違いに多くの情報を得られます。と
ころが、トランジット法による追試が成功したのは、まだ HD209458 のたった一
例に過ぎません。


ここまで、データ説明部分は、【 星ナビ.com 『系外惑星を探れ』】より


という局面で、さらに多くのトランジット法での系外惑星観測を行なうべく、
今回「コロー」が打ち上げられました。


今後、「コロー」により多くの系外惑星データが積みあがっていくことを期待
したい処です。


でも何故「コロー」と名付けられたのか、謎。バルビゾン派の画家の名なのに。



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