地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

土星の衛星表面と当社イオンプレーティング内での相似性について

2011年09月13日 07時07分47秒 | 大気圏外ネタ


1997年10月に打ち上げられ、金星→金星→地球→木星とスイングバイしながら
2004年6月に土星に到達し、以来土星とその衛星群を観測し続ける土星探査機
カッシーニです。

濃密な大気を持つ衛星タイタンにホイヘンスプローブを着陸させた事実はつとに有
名ですが、2005年春、エンケラドゥス表面から噴出する噴火ならぬ噴水、昨年秋に
は二番目に大きな衛星レアの希薄大気に続き、衛星ディオネにも極く希薄ながら
酸素主体の大気を発見しました。

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土星の衛星ディオネに大気を発見

ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 9月12日(月)13時26分配信

氷を主成分とする土星の衛星ディオネに、薄いながらも大気があることが判明した。

NASAの土星探査機カッシーニが、先ごろのフライバイ(接近通過)でディオネに接
近し、この衛星に大気があることを明らかにした。カッシーニのデータから、ディオネ
が土星の巨大な磁気圏を通り抜ける際に「痕跡」を残していることがわかった。

今回の研究成果をまとめた論文の共著者でドイツ・ケルン大学の地球物理気象学
研究所に在籍するスベン・シモン氏は、「衛星がまったく大気を持たず、単なる氷の
塊の場合は、磁力線が衛星の軌道の手前で乱れることはない。というのも、物質
に伝導性がない限り、磁場は乱されないからだ」と説明する。

シモン氏はさらにこう述べる。「それ(磁場の乱れ)が起きるのは、例えば衛星の大
気層など、荷電粒子がある場合のみだ。ディオネの大気には(土星の)磁場を乱す
のに十分な濃度がある」。

◆土星の放射線帯が生み出すディオネの大気

ディオネは直径約1123キロで、太陽系の衛星では15番目に大きい。平均密度は液
体の水の約1.5倍あることから、内部組成は氷が大半を占め、中心部分は岩ででき
ていると推定されている。

しかし、ディオネの質量はそれほど大きくないため、地球とは違い、相当量の大気
を持つには至っていない。

地球をはじめとする質量の大きな天体は、それに比例して重力も大きく、この重力
が大気を構成する分子が宇宙空間に逃げていくのを防いでいる。

ディオネの場合は、そこまでの重力はないが、継続的にエネルギーを与えられてい
るため、薄いながらも大気の層が存在する。

シモン氏によれば、土星は地球のバン・アレン帯に似た、高エネルギー粒子で構
成される放射線帯に囲まれているという。「ディオネはこの帯の中に位置しており、
非常に高速の熱を持った粒子が常に衛星の表面に飛来するため、大気を持つもの
と思われる」。

こうした粒子がディオネの表面に落下すると、衛星表面の氷が化学的に分解され、
分子を放出してこれが大気になるという。

◆接近探査のラストチャンス?

土星の衛星ではほかにも、質量が大きいレアが、重力により引き留めた薄い大気
の層を持っている。この大気が酸素を主成分とすることが先ごろ判明した。

ディオネの場合、電磁場のデータから薄い大気の存在が確認されたため、その組
成はまだわかっていない。しかし、氷がもとになっていることを考えると、レアと同
様、酸素が大部分を占めるのではないかと、研究チームでは推測している。

シモン氏は、カッシーニの他の観測計器が既に収集したデータに、ディオネの大気
の化学組成を知る手がかりが含まれているのではないかと期待をかける。さらにこ
れらのデータが、今後予定されている再探査の計画を立てる際にも役立つのでは
ないかとみている。

「カッシーニは再びディオネを探査する。次のフライバイは12月12日の予定だ」とシ
モン氏は語る。「大気の存在が確認できたので、粒子検出器と電子分光計を調整
して詳しい調査を行いたい」。

さらに、探査のチャンスが非常に限られている点も、シモン氏は指摘する。カッシー
ニの現在のミッションは2017年9月に終わる予定で、それまでに「12月のフライバイ
が終わると、カッシーニがディオネに接近する機会はあと2回、レアについてはあと
1回しかない」という。「氷からなる衛星群を接近探査するには、これがラストチャン
スだ」とシモン氏は話している。

ディオネに大気の存在を確認した研究成果は「Geophysical Research Letters」誌8
月12日号に掲載されている。


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なるほど.. 土星のでかい磁気圏内に公転軌道が位置しているので、高エネルギー
プラズマがディオネの氷で出来た表面を叩き、氷から酸素ガスが遊離して大気とな
るという解説ですか。

当社のイオンプレーティング真空容器内で、グロー放電を利用したアルゴンボン
バードにより被処理物表面をクリーニングする工程と同じ理屈が土星磁気圏内の
衛星群表面で発生しているわけか。

昨年のレアの大気発見の報も確認してみると、

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土星の衛星レアに酸素の大気

Andrew Fazekas for National Geographic News November 26, 2010

土星の2番目に大きい衛星レアで酸素の大気が発見された。しかし人類の移住先
となる見込みは薄いという。

まず、この直径1500キロの衛星は地球から15億キロ以上も離れている。加えて、平
均表面温度が摂氏マイナス180度という氷の世界でもあるのだ。厚さ100キロ未満と
いう新発見の酸素層は濃度が極めて薄いという問題もある。地球の気温や気圧の
下では、レアのすべての大気を集めても中規模のビル1棟を満たす程度に過ぎない。

果たして移住は無理そうだが、今後も酸素のある天体の発見に期待が持てるよう
になった。レアの平均公転半径は52万7000キロで、その軌道は土星の磁気圏の中
にある。周囲を取り巻く酸素の大気は、磁気圏からの放射線が表面の水氷を化学
分解して維持されているようだ。

木星の氷の衛星エウロパとガニメデにも希薄な酸素が存在するが、やはり同様の
プロセスが働いている。この事実は、1995年にハッブル宇宙望遠鏡とNASAの宇
宙探査機ガリレオの観測結果で確認された。

「氷で覆われている衛星には酸素の大気が割と普通に存在するのかもしれない。
放射線分解と大気保持のための十分な質量が条件だが」と、アメリカ、テキサス州
のサウスウェスト研究所に在籍する研究責任者ベン・テオリス(Ben Teolis)氏は話
す。

宇宙のどこでどのように酸素が存在しているのか確認できれば、今後のロボット・
有人ミッションを計画する上で参考になる。2004年から土星系を周回観測している
NASAの探査機カッシーニは、2010年3月にレアへのフライバイ(接近通過)を実施
し、周囲を取り巻く酸素の大気を発見した。

観測データの分析により、表面を覆う氷の中で水分子(H2O)が高エネルギーイオ
ンによって分解されている事実が確認されたのである。放射線分解と呼ぶこのプロ
セスにより、酸素分子(O2)が形成されるという。酸素は表面の氷から噴き出し、衛
星の重力で周囲に引き留められて、大気を形成している。

前出のテオリス氏は、「例えるなら炭酸飲料に溶け込んだ二酸化炭素だろう。あの
炭酸ガスは冷却や加圧によって液体に溶け込ませている。レアの酸素の場合、は
るかに低温の凍てつく氷の中に閉じ込められている」と解説する。

研究チームによると、レアの表面では1秒あたり約130グラムの酸素が発生している
という。しかし130グラムの酸素は、地球の気圧や通常の室内温度の下では、0.1立
方メートルを満たす程度に過ぎない。つまり地球環境では、レアの大気を全部集め
ても、1辺22メートル程度の立方体に収まってしまうことになる。

カッシーニの観測データを見る限り、レアの大気には二酸化炭素も含まれているよ
うだ。事実なら表面に炭素が存在することになる。酸素と同時に炭素も存在すると
なれば、氷の衛星で「生命の発見」を期待できるかもしれない。木星の衛星エウロ
パなどは、固い氷層の下に液体の海も広がっていると考えられている。

カリフォルニア州パサデナにあるNASAジェット推進研究所(JPL)の研究員ロバート
・カールソン氏は、第三者の立場で次のような見解を示している。「氷の衛星には
微量とはいえ測定できる程度のガスが存在する。エネルギーによる反応プロセス
はどんなところでも起こるんだね。酸素があるなら酸化反応が起きていると考えら
れ、もし相手が炭素ならアルコールや有機酸の合成も不可能ではない」。

そして同氏はこうも付け加えた。「酸素のような酸化剤が氷層下の海に沈み込むと
どうなる? そこに生命体がいれば、立派なエネルギー源になるんだ」。

この研究成果は、「Science」誌オンライン版に11月25日付けで掲載されている。


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やはり、レアの大気もディオネのものと同じ理屈で発生したものと考えられそうです。

土星探査機カッシーニですが、原子炉3台使用しつつ土星周回軌道を延々と廻り続
けています。

既に2010年9月に延長ミッションに突入していますが、さらに2017年まで運用期間
が延長されたとのこと。勝手に予想しますと、延長期間終了後、さらにミッション延
長運用となる可能性が高いことかと。

NASAが打ち上げる惑星探査機の寿命の長いことと言ったら筆舌に尽くしがたい印
象を持ちます。パイオニアと言い、ボイジャーと言い、ガリレオと言い、このカッシー
ニと言い..

大したもンです。



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● ㈱東洋硬化へのお問い合せは当社ホームページの「お問い合せ」欄、
   または、TEL:0942-34-1387  FAX:0942-36-0520
   所在地:福岡県久留米市津福本町1978-1 へお願い致します。

● シリンダーロッド・シャフト・ピストン・フロントフォークインナーチューブ
    ・ロール等円筒形状機械部品のクロムめっき再生(クロムメッキと
   全部カタカナ書きするのではなく「クロムめっき」または「クロム鍍金」
   と書くのが日本語的には正解)が得意です。

● 窒化クロム・窒化チタンアルミ・酸化クロム・窒化チタンクロム・
    窒化チタン他、各種高硬質被膜をアークイオンプレーティング
    生成します。
● 高温耐酸化性に優れ、高硬度を保持する窒化クロムアルミ膜成膜可能
   です。

● 高硬度・平滑性・滑り性に優れたDLC( Diamond Like Carbon :
    ダイヤモンドライクカーボン)膜
の成膜可能。さらには、本邦初、DLC
   膜の再生加工も開始。

● 無電解ニッケル-リンめっきの軽金属上への析出、他被膜との積層処理
    可能です。被膜の付加価値向上にお役立て下さい。

● マグネシウム合金上へのアークイオンプレーティング成膜が可能です。
    今まで難しかったマグネシウム合金製部品への耐磨耗性付与
    ご利用下さい。

● ローター・ファン・クランクシャフト等のバランシング(回転体釣合せ)
● ラジアルクラウン研削を始めとした円筒研削加工や、内面研削・
    平面研削も行います。
 超厚付電気ニッケルめっきやフレーム溶射による、短納期での寸法・
   形状・機能の復元加工。

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