地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

耐熱性に優れた窒化クロムアルミ(CrAlN)膜

2009年04月08日 23時33分53秒 | イオンプレーティングネタ


耐熱特性に優れた窒化クロムアルミ膜(CrAlN)の切削工具への成膜
処理、昨秋見学した東京ビッグサイトでのJIMTOFにて、いくつかの
表面処理業者のブースで展示されていました。

CrAlN膜の知名度がやっと上昇してきている様に思いました。

当社のAIP装置にて、このCrAlN膜生成は可能でして、既に一部の
お得意先に被膜供給開始しています。

それも、ありていの切削工具への処理ではなく、重要なプラントの一
部をなす付加価値の高い機械部品への、低摩擦性・耐磨耗性・対薬
品性などが求められる場面で使用されています。

当社のPVD系薄膜ラインナップの中で、今までずっと主力だったのは、
窒化チタン(TiN)・窒化クロム(CrN)・窒化チタンアルミ(TiAlN)などでし
たが、いずれも、市場に出回ってから10年を超えた、実績こそ申し分
ないが新奇性に著しく劣ったオールドスタンダードなPVD膜でした。

そうした中、一昨年来、当社では各種文献にて性能を確認できた窒化
クロムケイ素(CrSiN)と窒化クロムアルミ(CrAlN)の性能確認試験を繰
り返し行なっておりました。

窒化クロムケイ素(CrSiN)膜は、複数の文献データでは被膜のビッカー
ス硬度がHv=3900にもなる恐ろしく硬い被膜です。ただし、ダイヤモンド
コーンでのスクラッチ試験では、窒化チタン(TiN)と同等程度の50N程
度の荷重にて被膜が破壊され始め、「硬いが脆い被膜」である印象を
強く持ちました。

較べて、窒化クロムアルミ(CrAlN)膜は、Hv=2400程度の、当社にて
生成可能な薄膜群の中でも取り立てて高硬度でもない被膜ではあり
ますが、上記同様のスクラッチテストにて80N以上の数字を刻むこと
が出来る「相対的には柔らかいが基材との密着力に大変優れた被膜」
であると言えると思います。そして、この薄膜の最も「売り」な部分とし
て、耐熱性に非常に優れていることを挙げることができます。高温
耐酸化性の限界温度が1200℃近くにもなり、他の薄膜の追随を許
しません。加え、高温環境下での硬度低下が見られにくく、後追い説
明的には、膜温度上昇時に被膜に内在するAl成分がまず酸化し、局
部的に、硬度と耐磨耗性に優れたアルミナ(Al2O3)に変化するからで
はないか、と考えられています。

脆くて割れやすく高温に弱いDLC膜とは違い、この被膜は衝撃荷重
がひどくかかるパンチ・ダイに用いることも可能で、高いパフォーマンス
を期待することが可能です。

この非常に優れた次世代薄膜を、当社では、切削工具以外の機械部
品にも自在に生成することができる上、基材と外層膜であるCrAlNの
間にクロムめっきやニッケルめっきを形成して肉盛性能・整寸性能・密
着性能も兼ね備えた積層処理とイメージすることが出来ます。

手前味噌ながら、硬質クロムめっきや無電解ニッケルめっきの上に窒化
クロムアルミ被膜を形成し、営業ベースに乗せているのは、全国を探し
てみても当社だけのはずです。




-------------------------------------------------------
● ㈱東洋硬化へのお問い合せは、当社ホームページの「お問い合せ」欄、
   または、TEL:0942-34-1387  FAX:0942-36-0520
   所在地:福岡県久留米市津福本町1978-1 へお願い致します。

● シリンダーロッド・シャフト・ピストン・フロントフォークインナーチューブ
    ・ロール等円筒形状機械部品のクロムめっき再生(クロムメッキと
   全部カタカナ書きするのではなく「クロムめっき」または「クロム鍍金」
   と書くのが日本語的には正解)が得意です。

● 窒化クロム・窒化チタンアルミ・酸化クロム・窒化チタンクロム・
    窒化チタン他、各種高硬質被膜をアークイオンプレーティング
    生成します。
● 無電解ニッケル-リンめっきの軽金属上への析出、他被膜との積層処理
    可能です。被膜の付加価値向上にお役立て下さい。

● ローター・ファン・クランクシャフト等のバランシング(回転体釣合せ)
● ラジアルクラウン研削を始めとした円筒研削加工や、内面研削・
    平面研削も行います。
 フレーム溶射による、短納期での寸法・形状・機能の復元加工開始
    しました。

--------------------------------------------------------


人気blogランキングです。押してくださると嬉しいです。