国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

ジャズが流れていた時代の空気

2010年02月11日 | 喫茶店に置いてある本
確かマルコムXを初めて知ったのは
日テレの「知ってるつもり」だったと思う。
中学か高校生だったから当然のことながらそんな名前聞いたこともなかった。
それこそ「X」と末につく輩は怪しいヤツらだ。
「スパルタンX」に「ミスターX」…
いいところで何にでも変わりの利く数学の「X」だろう。
番組内容は全く覚えていない。
ただ1つイメージとして刷り込まれたのは「暴力的」人ということだろう。

後年高校3年生の英語でマーティン・ルーサー・キング牧師を教科書で読んだとき、
そのキング牧師の非暴力性が取り上げられていて、
しかも「I have a dream」という有名な演説で歴史的に好評を得ていた。
一方でマルコムXという人は、それと対する人物として補足程度に教えられた。
やっぱり取り上げられたのは「暴力性」である。

僕らはついついジャズはジャズとしてとらえがちで、
その時代の空気というものを充分に感じ得ることはできない。
ジャズには暗さは感じられず、ただ音楽としてそこに存在している。
(一部に例外はあるが…)
マイルスの自叙伝やジャズ本で「黒人は虐げられて」という記述を読んでも
それが如何ばかりのものなのか認知しきることは今ではできないだろう。
何せ黒人の大統領が誕生してしまう時代なのだ。

荒このみ著作の『マルコムX』(岩波新書)は、
評伝であるが、そんな時代を生きたマルコムXを丹念な取材と的確な視点でえがいている。
「暴力的」というイメージが先行するマルコムXが
何を考え、何を求めていたのかを適切にとらえることができるだろう。
奇しくもマルコムXとキング牧師は暗殺という時代錯誤な形で一生を終える。
そんな時代にジャズは流れていたのだ。
読んでみると
「ああ、ジャズは大変な時代の中で育ってきたんだ」と思わずにはいられない。

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