国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

「ケーキ」じゃありません。「ケイク」です。

2010年02月09日 | マスターの独り言(曲のこと)
チーズケーキといったら、あなたはどんな味を思い浮かべるだろう。
もちろんクリームなんて乗っていない。
手に持ったときはもちろん、歯触りまでも柔らかい。
口の中にほんのりと広がるのはわずかなチーズの薫りと適度に抑えられた甘味。
思わずコーヒーも一口含みたくなってくる。

何故この曲の名前が「チーズ・ケイク」と名付けられたのかは分からないが、
作曲者のデクスター・ゴードンがたまたま「チーズ・ケイク」を食べた後だったのか、
それとも甘さ控えめの大人の味を表現したかったのか、
まぁ、どちらにしろ名曲である。

今日の1枚はデクスター・ゴードンの『ゴー』である。
アルバムタイトルをこうして表してみると何とも言えない単純であるが、
ゴードンの「ゴー」にも引っかけてあってなかなか奥深い。
その1曲目が「チーズ・ケイク」である。
冒頭にぶっといベース音で入り、そこにチッチッチとシンバルが加わる。
ゴードンがテーマを奏でた瞬間に、これは「チーズ・ケイク」どころの話ではない。
甘さは全然なくむしろガーナチョコレートのブラックのような苦みが全体に溢れている。
合いの手を入れるようにソニー・クラークのピアノがこれまた渋い。
「ビター・チョコレート」と間違えたのではないかと思えるような渋さである。

訥々とした語り口で緩やかにスイングするゴードンのテナーは、
僕らに何かを語りかけてくるように丁寧なブレスだ。
その演奏は柔らかく落ち着きのあるゴードンの人柄までも透けて見せてくれる。
リズムセッションが少々急かしても、
ゴードンは自分の語りたいことを1音1音連ねていく。
やがてテーマに戻ったとき、それはゴードンの「ジャズ」へとなっているのだ。
「チーズ・ケイク」なんていう甘いタイトルではあるが、
そこにはゴードンの言葉がしっかりと綴られているのだ。

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