いわき市ホームページからです。
いわき市から東京電力株式会社への申し入れ内容は、次のとおりです。
東京電力への申し入れ内容(6月30日)
1 福島第一原子力発電所災害の早期収束等
2 福島第一原子力発電所災害に関する適正な補償の実施
以下は、※申し入れの詳細です。
東京電力株式会社
取締役社長 西 澤 俊 夫 様
【福島第一原子力発電所における原子力災害に関する申入れ】
平成 23 年 3 月 11 日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所における原子力災害は、本市に甚大なる被害をもたらしているところである。
地震・津波により被災された多くの市民に、食事や衣服等の提供を行うとともに、水道などのインフラ復旧に向け全力を尽くさなければならなかったまさにその時、本市の一部地域が屋内退避区域に指定され、物流や医療の提供が滞る極限的な状況に陥り、以後、多くの市民が不安を抱えながらの生活を余儀なくされているほか、一部では、幼児等の健康への影響を懸念して、自主的に避難し、家族が離ればなれに生活せざるを得ない家庭が生じている。
また、放射性物質の大気中への拡散により、野菜の出荷停止が行われたほか、高濃度汚染水の海洋流出により、津波被害を乗り越え再建に取り組んでいる水産業においても、市内での水揚げを断念せざるを得ない状況に追い込まれている。
加えて、今回の災害により生じた風評被害は、農林水産業はもとより、製造業や商業、観光産業等のあらゆる分野に及び、本市の産業は極めて深刻な影響を受けている。
さらには、放射性物質に汚染された汚泥やがれきの処理ができず、今後の復旧・復興に大きな弊害を及ぼしている。
これら原子力災害による損害額は、現時点では見当もつかないほど莫大である上、事態が収束しない限り、今後、更に拡大することは確実である。
こうした状況を踏まえ、以下を強く申し入れる。
1 福島第一原子力発電所災害の早期収束等
福島第一原子力発電所災害について、国及び東京電力の責任において、一刻も早く事態を収束させるとともに、甚大な被害をもたらし、原子力発電の安全性に係る信頼を著しく失墜したことを踏まえ、5・6号機についても、廃炉の方針を決定すること。
なお、策定した工程表の進捗状況を公表し、市民に対して十分に説明の上、期限を遵守した取組みを進めるとともに、適時適切に情報を公開すること。
また、事態収束に向けた作業を進めるに当たって、大半の事業者が本市を主な拠点としていることを踏まえ、放射能スクリーニング・除染について、責任を持って実施するとともに、スクリーニングの方法や数値について公表するなど、市民の放射能汚染に関する不安の解消に努めること。
2 福島第一原子力発電所災害に関する適正な補償の実施
原子力災害の発生以来、多くの市民は、放射性物質への恐怖に耐えながら、また、一部の農畜産物や海水から基準値を超える放射性物質が検出され、さらには風評被害によって、日常生活や事業への大きな打撃を被りながら生活している。
このことから、市民が生活再建への希望をつなぐことができるよう、迅速かつ適正な補償について、責任を持って対応すること。
また、地震・津波・原子力災害の3つの災害にさらされながらも、多くの市民がこの地に留まり、原子力災害の影響により、物流や医療の提供が滞る中で、自らも不安を抱えながら、生活の再建や事業の再開、さらには地域の復興に命をかけて取り組んでおり、その心理的負担の重さを十分に斟酌し、速やかな補償を実施すること。
平成 23 年 6 月 30 日
福島県いわき市長 渡辺 敬夫