子ども・被災者支援法の基本方針案がまとまったというNHKの先行報道がありました。多分に観測気球的な意味合いがあるのではないかと思われますので、分析には慎重さが必要ですが、現段階での<とすねっと>の見解を述べます。
(1)報道によれば、支援対象地域は33市町村とのことです。原子力損害賠償紛争審査会の中間指針追補における自主的避難対象地域23市町村とこれとは別に東電が低額の賠償に応じている10市町村(宮城県丸森町を含む)を合わせると33市町村になりますが、これと一致しているかは不明です。しかし、那須地域などの東北から関東まで広がっている福島県外の被害地域は外れているようであり、大きな問題です。事実とすれば、強く批判をしなければなりません。
(2)また、NHKの報道をみるかぎり、基本方針の内容は、わたしたちが危惧していたとおり、貧弱な印象を受けます。なにより、原発事故被害者が最も関心のある避難住宅の無償提供の継続や、面会・一時帰宅・保養等における交通費等の補助は、支援内容として挙がっていません。とすねっとが昨年9月6日に政府に提出した要望書の要望事項は、一部の高速道路の無料化などを除き、全く実現のメドが立っていないものと思われます。報道で支援内容として挙げられた福島県内での医療インフラ等の整備は、県内で健康調査を行っている以上、当然行うべきことですし、新味は感じません。就学援助は内容が良く分かりません。万一、この報道の程度の貧弱な内容にとどまるとすれば、これを歓迎することはできず、批判の声を上げなければなりません。
(3)このような貧弱な内容で原発事故被害者支援策を決着させないため、支援対象地域の拡充、住宅の無償提供や国費による医療費の無料化など、避難者・被害住民に財政的支援が直接届くよう、具体的な要望を掲げて、全国の被害者の皆さんとともに、各地で行動を強める必要があります。そして、被害者支援策を充実させるため、基本方針の策定にとどまらず、支援法の改正や他の支援関連法令の改正・運用の改善など、現行の支援体制の抜本的な改善を求めていくことを忘れてはならないと考えます。
みなさん、ともにがんばりましょう。
2013年8月29日
東京災害支援ネット(とすねっと)
代表 森川 清
<NHK記事リンク先>
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130829/k10014120291000.html
署名運動のお願い(福島原発被害首都圏弁護団)
http://genpatsu-shutoken.com/blog/archives/328
このたび全国各地の原発賠償問題でADRや訴訟を行っている弁護団の有志で原発賠償における消滅時効問題について署名を始めることにしました。
原発事故による被害は,現在も被害が継続しています。ところが,東京電力は,勝手に自分たちで時効の起算点等を設定しています(参考:東京電力「原子力損害賠償債権の消滅時効に関する弊社の考え方について」2013年2月4日)。
私たちとしては,現在も被害が進行している以上,「損害を知った」とは言えず,来年以降に消滅時効を迎えるという解釈は誤りであると考えます。しかし,現状として,原発事故被害者の間では時効に対する不安が広がっていますし,訴訟等で時効問題を争点とすること自体が,被害救済を遅延させることになりかねません。また,弁護団に依頼していない多くの原発事故被害者にとっては,尚更であり,本来受けるべき救済を諦めさせられかねない懸念があります。
そこで,以下の内容の署名を行うこととしました。是非,一人でも多くの方に署名にご協力頂ければ幸いです。
署名は,次のファイルを活用下さい。
→[署名のファイル PDF]
http://genpatsu-shutoken.com/blog/wp-content/uploads/2013/08/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E8%B3%A0%E5%84%9F%E3%83%BB%E6%B6%88%E6%BB%85%E6%99%82%E5%8A%B9%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E7%BD%B2%E5%90%8D.pdf
署名は,添付の署名にも送付先として記されている当弁護団の事務局(〒160-0022 東京都新宿区新宿1-11-12 岩下ビル4階 オアシス法律事務所)にお送り下さい。また,この署名活動を行う地元弁護団のあるところは,そちらに送付して頂いても構いません。
宜しくお願いします。
一人でも多くの方の傍聴をお願いします
【福島原発被害東京訴訟】第2回期日・報告会
日時:9月11日 午前10時~
場所:東京地方裁判所 103号法廷
福島原発被害東京訴訟(1次)の第2回口頭弁論期日の日程が決まりました。
9月11日10時から,東京地方裁判所の103号法廷です。
今回は,原告側から「国策民営」と言われている我が国の原子力政策と今回の事故との関係などについて論じた書面を提出する予定です。
当日は,原告及び弁護団からの意見陳述を予定しています。
その後,11時から,弁護士会館10階1006号AB会議室にて、裁判の報告集会を行います。
報告集会では,当日の裁判の説明,これまでの経過報告とともに,今後の手続の流れや方針などについて,弁護団からご報告する予定です。
皆さん,当日は、是非法廷の傍聴及び報告集会に参加して下さい!