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応急仮設住宅の供与の長期化を求める意見書

2014年04月26日 09時18分49秒 | とすねっとの要望書

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内閣総理大臣     安倍 晋三 殿

内閣府特命担当大臣  古屋 圭司 殿

復興大臣     根本  匠 殿

その他関係機関 殿

 

応急仮設住宅の供与の長期化を求める意見書

 

                     2014(平成26)年4月25日

とすねっと要望書第49号

 

             東京災害支援ネット(とすねっと)

                代 表 (弁護士)  森  川    清

              (事務局)〒170-0003東京都豊島区駒込1-43-14

                     SK90ビル302 森川清法律事務所

TEL080-4322-2018  FAX03-6913-4651

 

 当団体は、福島原発事故の避難者や被害住民を支援する弁護士・司法書士・市民ボランティアによるネットワークである。

 福島原発事故の避難者に対する応急仮設住宅(公営住宅・公務員宿舎、民間借上げ住宅を利用した「みなし仮設住宅」を含む。)の供与期間に関し、避難者団体「ひなん生活をまもる会」が、その延長を求めて「応急仮設住宅の無償提供期間の延長を求める署名」を行い、16002筆の署名を集めて、本日、これを災害救助法を所管する内閣府特命担当大臣(防災担当)等の関係部局に提出した。当団体は、上記署名に賛同するとともに、上記署名の提出にあたり、みなし仮設住宅等の応急仮設住宅の供与期間を延長し、長期にわたって原発事故避難者に対する無償の住宅提供を続けることを求めて、以下のとおり意見を述べる。

 

第1 意見の趣旨

1 国は、原発事故避難者に対する応急仮設住宅の供与期間に関し、原発事故子ども被災者支援法の基本方針に「民間賃貸住宅等を活用した応急仮設住宅の供与期間を平成27年3月末まで延長。」と定めた期限を撤廃し、福島原発事故の避難者に対し、相当の長期にわたり、みなし仮設住宅等の応急仮設住宅を無償で提供することを、国の方針として定めた上で、各関係特定行政庁に対し、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律第8条に基づく応急仮設住宅の供与期間の延長を行うように施策を講ずるべきである。

2 1に付随して、原発事故の避難に関し、以下の施策も同時に行うべきである。

(1) 避難者に対して災害公営住宅または公営住宅等の有償の住宅を提供する際には、国、避難元の自治体、避難者受入れ自治体または借上げ住宅の貸主等が、避難者に対し、無償で提供されていた住宅から有償の住宅に移転するよう、文書または口頭で指導・指示したり、促したり、あるいは勧めたりすることのないようにすべきである。なお、現在の応急仮設住宅が狭隘であったり就業場所への交通の便、保育、教育、治療、介護等の生活状況が変化したりして環境の良い他の住宅への転居を希望する避難者がいる場合にも、避難世帯の環境改善ないし生活向上に資する場合には、避難世帯の希望に従い、他のみなし仮設住宅への転居を認めるべきである。

(2) 建設型の応急仮設住宅に住んでいる避難者に対しては、避難世帯の希望に従い、他の公的住宅・借上げ住宅等を利用した「みなし仮設住宅」を新規に確保して、みなし仮設住宅への移転を可能にするよう求める。

(3) 新規の避難者についても、無償のみなし仮設住宅の提供を再開するよう求める。

 

第2 意見の理由

1 国は、2013(平成25)年10月に策定した原発事故子ども・被災者支援法(正式名称は「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」。以下、「支援法」という。)の基本方針で、(主な具体的取組)として、「全国において、民間賃貸住宅等を活用した応急仮設住宅の供与期間を平成27年3月末まで延長。」と定めた。福島県や全国の避難者受入れ自治体も、現在、応急仮設住宅の供与の期限を「平成27年3月末まで」としており、全国の避難者や支援者から延長の要望が強く出ているにもかかわらず、その延長を約束していない(この点については、当団体が「福島・区域外避難と私たち-苦難と希望の先にあるもの-」集会参加者及び福島原発事故被害者有志一同とともに平成25年9月11日付けで「政府に提出した政府に対する要望書(2013年)」も参照されたい。)。

2 ところが、現在も避難者の避難元の市町村は、福島原発事故によって放出された放射性物質によって汚染されており、帰還した場合には深刻な追加被ばくのおそれが懸念されている。空間線量率のモニタリングポストの数値が低い地区でも、局地的に放射線量の高いホットスポットが多数存在し、それがどこなのかは目で見ても分からない状況であり、住民の不安は大きい。放射性物質汚染対処特措法(正式名称は「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」。)による除染も、じゅうぶんに進んでいない。除染によって生じた廃棄物は、その最終処分の目途も全く立っておらず、福島市・郡山市・いわき市などの都市部を中心に仮置き場の確保もままならない状態で、多くのケースで自宅や学校等での現場保管を余儀なくされている。食品や水などからの内部被ばくのおそれも払拭されていない。さらに、福島第1原発の使用済み核燃料の取り出しや汚染水漏れ等に伴って深刻な事故が起きる可能性もゼロとはいえず、帰還すれば事故が起きたときに影響を受けるリスクも高まる。こうした状況から、原発事故避難者の多くは、避難元に帰還するのは困難だと考えている。

  さらに、避難前と比べて生活費が増加している避難世帯が多く、避難住宅の無償提供を打ち切ることは、避難世帯の家計に大きな打撃を与えるものとなる。当団体が全国の広域避難者を対象に昨年7月から8月にかけて行った2013年避難者調査(「原発事故による避難世帯の生活実態調査」)によれば、避難世帯の71%が生活費増にあえぎ、その平均増加額は月額6万9898円であって、避難世帯には重い負担になっている。特に、東京電力株式会社から今日に至るまで十分な賠償金を受け取っていない区域外避難者(原発事故により政府の避難等の指示・勧告が出なかった地域(以下、「区域外」という。)からの避難者をいう。)にとっては深刻な問題である。これは、原発事故により国の避難等の指示・勧告が出た地域からの避難者を「区域内避難者」という。以下、同じ。)や、区域内避難者であっても任意の賠償を打ち切られた者(旧緊急時避難準備区域からの避難者など)にとって同じであり、避難住宅の無償提供の打切りは帰還を命ずるに等しい。母子のみが避難し、福島県内等に生計維持者がとどまるという「二重生活」を余儀なくされている世帯では、生活費が特に増加しており、こうした母子避難者に対しても、事実上、避難継続の断念を強いることとなろう。

3 避難世帯の多くは、放射能汚染から、わが子や大切な人を守ろうと必死の思いで避難しているのである。避難住宅の無償提供の打切りは、その思いを踏みにじることになる。

  当団体の2013年避難者調査によれば、仮設住宅の入居期間について「延長して欲しい」という回答が73%であり、「仮設住宅の入居期間を区切られていることに不安がある」との回答が66%であった。この調査から、避難者の大半は、仮設住宅の供与期間の期限を延長し、更に期限自体を撤廃して不安なく避難できるようにしてほしいと考えていることが分かる。支援法14条は、国に対し、避難先の住宅の確保等の「施策の具体的な内容に被災者の意見を反映」するとしている。したがって、国は、上記の避難者調査に典型的に表れている原発事故避難者の意向を無視すべきではない。

  このように、区域外避難者を含めて、すべての原発事故避難者が望んでいるのは、長期にわたる安定的な避難生活の継続である。長期にわたる避難が保障されなければ、子どもを上級学校に進学させるにも支障が生ずるし、長期勤務を希望されることの多いパート等の雇用の確保にも影響がある。原発事故の避難者には、長期にわたって安定的に無償の住宅提供を行うことが必要不可欠であり、その約束がないことが避難者を不安にさせている。

4 福島県は、新規の県外避難者に対する住宅提供を打ち切る一方で、福島県内に帰還する県外避難者には住宅の提供を進めようとしている。このため、県外避難者の中には、県外のみなし仮設住宅の提供期限が早期に打ち切られるのではないかという疑心暗鬼も生じている。

  福島原発事故が起きた大本には、起こりうる災害に対処できない危険な原発を設置・稼働させてきた国の原発政策があり、国には原発事故避難者に対して避難を継続できるように住居を確保する責任がある。

  特に、全国各地のみなし仮設住宅は、建設型の仮設住宅と比べて、建物は堅固であるから、災害救助法・建築基準法上の応急仮設住宅の供与期間の原則(2年)を適用させる意味が乏しい。そこで、これまで上記の供与期間を延長してきた時と同じように、被災者の住宅の需要に応ずるに足りる適当な住宅が不足するため、応急仮設住宅を存続させる必要がある状況に変わりがなく、かつ、安全上、防火上及び衛生上支障がない場合に当たるから、供与期間の特例を定めた特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律第8条によって供与期間を更に延長すべきである。

  そこで、国は、応急仮設住宅の期限の設定を福島県に任せるのではなく、福島原発事故の避難者が避難を続けることができるよう、応急仮設住宅の提供を長期にわたって確保する方針をはっきりと打ち出すべきである。その上で、国は、関係自治体(特定行政庁)に対し、供与期間の特例を定めた特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律第8条の許可を出すよう求め、避難者保護の方針を徹底させる必要がある(意見の趣旨1)。

5 区域内避難者を災害公営住宅へ、区域外避難者の一部の者を公営住宅へ、それぞれ転居を促すことにも、わたしたちは反対する。

  すでに、支援法の基本方針で「支援対象地域に居住していた避難者について、新規の避難者を含め、公営住宅への入居の円滑化を支援」する旨が位置づけられたことを踏まえ、支援法の支援対象地域からの区域外避難者については、公営住宅に入居しやすくするため、収入要件等を緩和する方向(「公営住宅法施行令第1条第3号の収入の認定の特例」)に政策が進んでいる。しかし、こうした措置をタテにみなし仮設住宅から有償住宅への転居の「円滑化」を進めることは、多くの避難者の意向と異なり、支援法14条の趣旨に反することとなる。

  現在提供されている応急仮設住宅が狭い等の理由で、より環境の良い住宅を求めている避難者は多い。その場合には、より環境の良い別の応急仮設住宅を提供すればよいのであって、当団体の2013年避難者調査でも、回答した避難者の26%が他の仮設住宅への移動を希望している。応急仮設住宅が狭隘である、就業場所への交通の便、保育、教育、治療、介護等の生活状況が変化した等の事情があって避難世帯の環境改善ないし生活向上に資する場合には、仮設間移動を認めるべきであって、有償の住宅に誘導すべきではない。

  行政は、こうした有償の住宅への転居を、行政の側から(または貸主を通じて)、避難者に求めたり指導したりすることのないようにすべきである(意見の趣旨2(1))。

5 区域内避難者の多くが避難している建設型応急仮設住宅は、建設から3年近くを経過して老朽化が進んでいる。

  しかし、区域内避難者は、生活の本拠が避難区域内にあったことから生活の再建はほとんど進んでおらず、すでに東電からの任意の賠償金の支払いを打ち切られた地域もあり、このまま有償の災害公営住宅等に転居すると、経済的に苦境に陥る世帯が続出することが懸念される。

  現在の避難世帯の経済状態に鑑みると、建設型の応急仮設住宅が老朽化したり狭隘になった場合には、本人の希望に従い、民間借上げ住宅や公営住宅等のみなし仮設住宅への転居を認めるべきである(意見の趣旨2(2))。

6 新規避難者についても、支援法の基本方針にあるように有償の公営住宅への入居を勧めるのではなく、原則に立ち返って災害救助法を適用し、無償のみなし仮設住宅の提供を再開すべきである。そのために、内閣府防災担当は、福島県知事と協議をし、新規避難者に対するみなし仮設住宅の提供の再開を働きかけるべきである。

  当団体が区域外の住民を対象に昨年行った2013年被害住民調査(「原発事故による被害地域住民の実態調査」)によれば、原発事故による被害地域住民の52%が、「避難が可能であれば、あなたや他の家族も避難したいと思う。」と回答し、40%の者が区域外からこれから避難する世帯にみなし仮設住宅の無償提供を再開してほしいと希望している。

  新規避難者の多くは、経済的な問題や家庭内の事情で2012(平成24)年12月までに避難したくても避難できなかったものが相当数含まれていると考えられるから、既に避難した者と同じように無償の住宅を提供すべきである(意見の趣旨2(3))。

7 よって、原発事故避難者に対する「みなし仮設住宅」を含む応急仮設住宅の提供は、国の責任によって、平成27年3月末以降も、相当の長期にわたって続けるようにするべきである。

                                   以上

 


応急仮設住宅の無償延長を求める署名16002筆を、提出しました!

2014年04月25日 18時06分32秒 | イベント

福島県の避難者の応急仮設住宅の無償延長を求める署名16002筆を、

内閣府防災担当部署に、避難者のみなさん、東京災害支援ネット、きらきら星ネットで提出しました。

16002筆の署名に込められた思いよ、届け!

福島県の避難者が暮らす応急仮説住宅無償提供の延長を!


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