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除染基準の実質緩和策の撤回を求める意見書を執行しました。

2014年09月26日 13時07分08秒 | イベント

除染基準の実質緩和策の撤回を求める意見書を執行しました。

PDF→除染基準の実質緩和策の撤回を求める意見書

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環境大臣 望月 義夫 殿

原子力規制委員会委員長 田中 俊一 殿

 

除染基準の実質緩和策の撤回を求める意見書

 

平成26年9月26日

とすねっと要望書第52号

 

東京災害支援ネット(とすねっと)

代 表 (弁護士)  森  川    清

 (事務局)〒170-0003東京都豊島区駒込1-43-14

          SK90ビル302 森川清法律事務所

TEL080-4322-2018  FAX03-6913-4651

 

 当団体は、福島原発事故の避難者や被害住民を支援する弁護士・司法書士・市民ボランティアによるネットワークである。

 除染の目標と線量評価に関して、平成25年11月20日に原子力規制委員会が決定した「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方」及び平成26年8月1日に環境省などが作成した「除染・復興の加速化に向けた国と4市の取組 中間報告」について、以下のとおり意見を述べる。

 

第1 意見の趣旨

 1 原子力規制委員会及び環境省は、福島第一原発事故によって放出された放射性物質で汚染された地域(以下、「汚染地域」という。)の除染に関し、汚染地域の住民の被ばく線量を予測ないし評価する際に、個人線量計によって事後的に測定される個人線量を重視する方針を撤回し、これに代えて住民の被ばくを予防することを重視する方針を明確にし、従来通り、空間線量率に基づいた線量予測を行うことを求める。

 2 環境省は、「毎時0.23マイクロシーベルトは除染により達成すべき空間線量率の基準ではない」とする見解を撤回し、汚染地域の住民の意見を聴いて、少なくとも毎時0.23マイクロシーベルトを大幅に下回る空間線量率を除染目標値として明確に定めるよう求める。

 

第2 意見の理由

1 本件方針の概要

  福島第一原発事故によって放出された放射性物質で汚染された地域(以下、「汚染地域」という。)では、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(以下、「除染特措法」という。)に基づき、旧警戒区域及び旧計画的避難区域に相当する除染特別地域と空間線量率が毎時0.23マイクロシーベルト(この数値は、追加被ばく線量年間1ミリシーベルトを、1時間あたりの放射線量に換算し、自然放射線量分を加えて算出し、環境省令で定めたものである。なお、除染特措法7条1項に基づく「基本方針」(平成23年11月11日閣議決定)では、除染の長期的な目標値として、「追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となること」と定められている。)以上の地域から指定される汚染状況重点調査地域において、放射性物質の除染が行われている。しかし、多くの地域で、除染後の空間線量率が汚染状況重点調査地域の指定基準である毎時0.23マイクロシーベルトを超えたこと等から、除染の効果に対する疑問や、除染後の住民の帰還を進める政策に対する批判が根強く、住民の間からは「再除染」を求める声も上がっている。

  こうした中で、原子力規制委員会は、平成25年11月20日、「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方」(以下、「基本的考え方」という。)を定め、の住民の被ばく線量について、空間線量率をもとに推計する方法を改め、個人線量(各人が身に付けて測定する個人線量計の測定値)で把握する方法へ転換した。その後、内閣は、平成25年12月20日、「帰還に向けた安全・安心対策」の具体化として今後基本的考え方を踏まえて実施していく旨の閣議決定をした。

その具体化の1つとして、環境省は、国と福島県内の4市(福島市、郡山市、相馬市、伊達市)との勉強会の中間報告として平成26年8月1日に「除染・復興の加速化に向けた国と4市の取組 中間報告」(以下、「中間報告」という。)を作成し、基本的考え方と同様に、除染に関しては、空間線量率よりも、個人線量を重視する方針を示した(中間報告17頁)・

さらに、中間報告は、除染の長期的目標値とされた年間1ミリシーベルトの追加被ばく線量から換算したものと環境省自ら説明していた「毎時0.23マイクロシーベルト」の空間線量率について、「(除染の)目標として定めた数値ではない」(中間報告15頁)、「“除染により達成すべき空間線量率の基準”ではない」(同17頁)と言い切り、これを除染の基準となる空間放射線量とすることを否定した(中間報告同頁。以下、上述した「基本的考え方」と「中間報告」に示された各方針を総称して「本件各方針」という。)。

  しかし、本件方針は、以下の理由で撤回されるべきである。

 

2 本件各方針を撤回すべき理由

 (1)本件各方針の目的は「帰還促進」

  基本的考え方は、標題に表れているように、福島第1原発事故の避難者の避難元への帰還を促進することが目的となっている。

  基本的か考え方と軌を一にする中間報告も、避難者の帰還を促進させる意図のもとに作成されたのではないかと考えられる。

  しかし、放射線の電離による人体の細胞への悪影響を考えると、住民には、無用な放射線からの被ばくを避ける権利ないし法的利益があるのは当然である。したがって、行政が、住民の「被ばくのおそれ」を無視した帰還促進策をすすめること許されない。また、行政は、住民の被ばく対策の立案・実施にあたっては、予防原則を踏まえて、できるかぎり住民が被ばくしないように立案しなければならないはずである。

 (2)被ばくによるリスクは最大限避けるべき

現在もなお、福島原発事故によって放出された放射性物質は広範囲に拡散し、住民が日常生活を送る中で原発事故による追加被ばくを受けるおそれのある放射能汚染地域が東日本の広い地域に広がっている。

   放射能汚染地域の住民は、外部被ばくするリスクだけでなく、放射性物質を含む食品の摂取及び放射性物質に汚染されたホコリやチリなどの吸入によって内部被ばくするリスクも抱えており、被ばくによる健康被害のリスクは決して少なくない。

   こうしたリスクは最大限避けなければならない。

 (3)現実化しつつある健康被害リスク

しかも、現在、そのリスクは、現実化されつつある。

チェルノブイリ原発事故で小児甲状腺がんの増加がみられたことから、福島原発事故でも小児甲状腺がんの増加が懸念されており、福島県内の18歳以下の子どもに対しては福島県民健康調査による甲状腺エコー検査が行われている。福島県民健康調査では、平成26年6月30日までに甲状腺検査を受診した福島県内の18歳以下の子どものうち、甲状腺がんの「悪性ないし悪性疑い」と診断された子どもが104例報告されている(平成26年8月24日第16回「県民健康調査」検討委員会)。さらに、がんを発症していないものの一次検査で5.0ミリメートル以下の結節や20.0ミリメートル以下の嚢胞が認められた人の割合は、平成24年度で44.6%に達している(平成25年6月5日第11回「県民健康調査」検討委員会)。

国は、これまで原子力発電所の建設を推進し、その設置を許可して稼働をすすめた結果、重大な原発事故を起こした経緯がある。国には、福島原発事故を引き起こした責任があり、この責任に基づいて福島原発事故による健康に対するリスクを早急に低減させる義務があるというべきである。

(4)個人線量の問題点

  基本的考え方は、「帰還の選択をする個々の住民の被ばく線量を低減し、放射線に対する不安に向き合うためには、住民が自分の個人線量を把握し、自らの行動と被ばく線量との関係を理解するとともに、個人線量の結果に基づく被ばく低減対策や健康管理を行うなど、個人に着目した対策を講じることが重要である」としている。(基本的考え方5頁)

   しかし、線量評価を個人線量で行う方針には、様々な問題がある。

   まず、放射線量(実用量)には測定のための調整方法の異なる複数の概念がある。「場のモニタリング」(特定の場所の放射線量の測定・評価)には、周辺線量(一般に、空間線量率が用いられる。)という概念が使われる。被ばくとの関係では、周辺線量は、その場所において住民等の被ばくのおそれがどの程度になるかを予測するのに有用な概念である。「被ばく線量の測定・評価マニュアル」(平成12年、原子力安全技術センター。以下、「マニュアル」という。)には、場のモニタリングは、作業場所に異常がないかの確認や、公衆の安全確認等を行うなどの目的で行われるものとして明記されている(マニュアル77頁)。このため、モニタリングポストやサーベイメーターは、周辺線量の概念によっている。

   これに対し、原発作業員などの放射線を扱う作業環境などで個人がどれだけ被ばくしたかを測定・評価するために用いられるのが、個人線量の概念である。個人線量は、個人線量計によって測定されるが、調整の仕方が異なるため、一般には、周辺線量よりも低い測定値が出ることが知られている。また、いわゆるガラスバッジなど非表示型の個人線量計は、測定中の被ばく線量はわからず、あとで線量が判明するだけである。マニュアルでは、放射線業務に従事しない住民に対して、個人線量の概念を用いることは全く予定していない(マニュアル36頁参照)。

   したがって、周辺線量から個人線量への切替えは、従来の被ばく線量評価の方法を根本から覆し、公衆の被ばく線量の評価を安全側とは反対の方向へ導く意味を持つ。

   実際、平成25年11月20日付の日本経済新聞ウェブニュースは、基本的考え方の報道に際し、「(個人線量は空間線量率に比べて)同じ放射線量でも数値は最大で7分の1程度に下がる見通しで、事実上の基準緩和となる」としている。日経の上記報道に従えば、本件各方針は、これまでの空間線量率から推定される被ばく線量に比して最大で7分の1になる個人線量計に切り替えるものであり、これまでの線量評価を実質的に大幅に緩和することを意味する。

   住民の被ばく線量が低く推計されることを狙って、本来用いられるべき周辺線量を放棄し、個人線量を導入することは、これまでの線量概念をねじまげるもので許されない。また、こうした個人線量への転換は、小児甲状腺がんの報告が相次いでいる中で、リスクを拡大させることにつながるもので、住民のリスク軽減の観点からは全く認めることができない。

   また、被ばく線量の評価を個人線量によるとすれば、住民1人1人が毎日線量計を肌身離さず身に付けることを求めるものであり、実際に実行することを困難なことを強いるものである。これまでのガラスバッジなどの配布のケースをみても、常時線量計を携行せずに自宅に線量計を置いたままにしていた人も多く存在した。そのような状況では個人線量計の測定結果は全く信用できない。結局、住民の被ばくを個人線量で測定・評価しようとすると、正確な線量を測定するのは困難である。

   もし、住民に個人線量計による放射線量の自己管理を求めるとすれば、正確な線量測定に失敗した時には自己責任となる。これは、国の放射線防護政策における責任のがれというほかない。

   さらに、個人線量は事後的に測定されるものであるから、周辺線量(空間線量率)と違って、「被ばくのおそれ」を事前に防ぐという機能はない。住民の被ばくを未然に最大限防止するという予防原則の観点は、線量評価を個人線量に転換することによって完全に失われる。

   個人線量計で測定した被ばく線量が「限度」を超えそうになっても、退避させてもらえる保障もない。現状では、そもそも線量限度が明確に示されていないという問題もある。かりに年間1ミリシーベルトの追加被ばく線量を超える人が出てしまった場合に、その人だけ避難させるのか、一斉に避難させるのか、何もしないのかも明らかにされていない。そもそも、汚染地域の住民は、帰還などによって、そこに住んでいるのであるから、個人線量が「限度」を上回ったとしても、他の場所へ転居することは容易ではない。つまり、住民に個人線量を導入しても、放射線を取り扱う事業所とは異なり、測定された線量は被ばくをした個人を守る行為規範として機能しないのである。

   したがって、本件各方針は到底採用することができない。

 (5)「基準」の否定は現在の放射線防護政策にも反する

  国は、現在の原子力の安全の確保については、「確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として」(原子力基本法第2条)行ってきており、その放射線防護政策の基準は、国際放射線防護委員会(ICRP)の平成19年等の勧告に基づき、平常時における公衆の追加被ばくの限度を年間1ミリシーベルト以下としている。

  国内法令においても、例えば、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)に基づいて定められている「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」3条1項によれば、年間1ミリシーベルトを線量限度とし、年間1ミリシーベルトを超える被ばくのおそれがないとはいえない区域は、居住の禁止される周辺監視区域に定められることになっている等、諸法令および告示により、一般公衆が居住可能な地域における被ばくの限度を内部被ばくを含めて、年間1ミリシーベルト以下と定めている。

  そして、原子炉等規制法の周辺監視区域や管理区域の設定においては、(周辺監視区域においては年間1ミリシーベルトの)線量限度を「超えるおそれ」(実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則2条2項6号)の有無が重要とされ、線量の監視・評価には一定の場の線量測定を行うための概念である周辺線量、すなわちモニタリングポストやサーベイメーター等によって測定された空間線量率が用いられてきている。

  また、年間1ミリシーベルトの被ばくのおそれを完全に払拭するには、単純に計算すると、空間線量率は毎時0.11マイクロシーベルト以下でなければならない。そして、追加被ばく線量は内部被ばくと外部被ばくを合わせて計算するものとされており、実際には放射能を含む塵の吸入や食品・飲料水の摂取などに伴う内部被ばくも考慮しなければならないから、外部被ばくの限度はもっと厳しくしなければならないはずである。さらに、放射線被ばくによる健康への影響には閾値がないという一般的に承認されている仮説から考えれば、被ばくの限度を年間1ミリシーベルト以下に抑えたとしても、放射線被ばくがあるかぎり、細胞レベルでの電離の影響は避けられず、健康・安全の面では万全とはいえない。例えば、アメリカ環境保護局(EPA)は、放射性廃棄物最終処分場における放射線量の環境基準を、追加被ばく線量で年間0.15ミリシーベルトと定めている。

  このように、年間1ミリシーベルトの追加被ばく線量の空間線量率は、それ自体、安全な数値とはいえない。従来の国の放射線防護政策の基準は、必ずしも厳格なものとはいいがたいのである。

  しかし、従来の国の放射線防護政策に基づいても、住民の追加被ばく線量は、少なくとも、年間1ミリシーベルトを超えるおそれがあってはならない。そして、環境省が、1日のうち屋内に16時間、屋外に8時間滞在し、屋内での放射線量は屋外の4割になると想定して、追加外部被ばく線量が年間1ミリシーベルトに当たると算出した空間線量率が毎時0.23マイクロシーベルトである。これは、除染の汚染状況重点調査地域を指定する際の環境省令の基準になった。

  こうした従来の国の政策から考えれば、追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下に抑えるには、空間線量率は毎時0.23マイクロシーベルトでなければならないはずである。多くの住民が、除染後の放射線量の「基準」(長期的目標であるかどうかはともかくとして)は、空間線量率で毎時0.23マイクロシーベルトであると受け止めてきたのも当然のことである。単純に考えて、除染をしても除染を行うための基準線量を超えているという状態は、必要な除染が足りないのであって、それで除染が十分に済んだと評価するのは矛盾であろう。汚染状況重点調査地域も除染の長期的な目標も共に追加外部被ばく線量として年間1ミリシーベルトの基準を採用しているのであるから、毎時0.23マイクロシーベルトは除染をするための基準であって、除染後の放射線量の目標ではない、というのは一種の詭弁であって、多くの住民を説得することはできない。

  したがって、環境省が毎時0.23マイクロシーベルトの空間線量率を除染の目標ではないとして否定したことは、必ずしも厳格な基準であったとはいいがたい従来の国の放射線防護政策に反するものであり、除染の目標を実質的に緩和するものというほかない。

(6)住民は除染の厳格化を求めている

   当団体は、平成25年7月から8月にかけて、福島原発事故によって全国に避難している世帯(以下、「避難世帯」という。)を対象に「原発事故による避難世帯の生活実態調査」を、福島原発事故によって放射能汚染の被害を受けている地域に居住している住民(以下、「被害地域住民」という。)を対象に「原発事故による被害地域住民の実態調査」を、それぞれ実施した。

   上記各調査によれば、避難世帯においては64%が、被害地域住民においては82%が、除染実施計画が今のままでは良いとは思わないと回答しており、除染の厳格化を求めている。これに対し、本件各方針は、除染の結果の評価を緩和させることにつながるものであり、住民の意向に逆行していると言わざるをえない。

   また、当団体と震災支援ネットワーク埼玉が避難世帯を対象に平成26年3月から4月にかけて実施した「埼玉・東京震災避難アンケート調査」によれば、「放射線量だけを考えた場合、戻っても良いと考えられる放射線量の水準」について尋ねたところ、「国が除染後の最終目標値としている線量以下(追加被ばく年1ミリシーベルト以下)」は21.2%だったのに対し、「震災発生前の線量(追加被ばく0ミリシーベルト)」はその倍の42.3%であり、年1ミリシーベルトを超える線量でも帰還すると答えた避難者はわずか10.0%にすぎなかった。

   つまり、原発事故の避難者の多数にとって、居住地が安全であると評価することのできるのは追加被ばく線量「ゼロ」の状態に戻ったときなのである。こうした避難者の意向に鑑みると、現在の政府による除染の長期的目標は不十分である。除染の目標、線量の評価や、帰還の可否等の居住地の安全性の判断には厳格化が求められこそすれ、これを緩和することは多数の声を無視することになる。

   国は、こうした住民の声に真摯に耳を傾けるべきである。

 

 3 結論

   このように、除染の評価や居住地の安全性の判断は、企業や研究所のように本来厳格な管理の下で事後的に測定される個人線量に基づいて行うのはふさわしくない。従来通り、より安全側に立った周辺線量(空間線量率)を基準とすべきである。

   そして、被ばくする住民の意見を尊重し、毎時0.23マイクロシーベルトよりも厳しい基準を除染の目標値として明確に示し、除染の効果の評価等や、避難・再除染等の必要性、居住地の安全性を容易に判断できるようにすべきである。

   放射線の人体への影響が科学的に完全に解明されたとはいえないが、一方で放射線が細胞のDNAを損傷させる電離作用のメカニズムは分かっている。また、特に放射線の影響を受けやすいとされる子どもについては、被ばくの影響を懸念する親たちの声も大きい。このような状況の下では、政府は、予防原則に立ち、住民ができるかぎり被ばくしないような政策を立案すべきである。

 しかし、本件各方針は、予防原則の観点からは全く逆行するものであり、単に住民を不安に陥れるばかりでなく、住民の実際の被ばく量を増やすことにつながる。

 かりに、住民の帰還を促進するために、現状では達成困難な除染の目標値を事実上緩和することを目論んでいるのであれば、本件各方針は、住民をだまし、愚弄し、住民の健康をないがしろにするものであるというほかない。

   以上の次第であり、本件各方針は到底許容することができず、意見の趣旨のとおり、直ちに撤回することを求める。

                                   以上


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