ジッタン・メモ

ジッタンは子供や孫からの呼び名。
雑読本の読後感、生活の雑感、昭和家庭史などを織り交ぜて、ぼちぼちと書いて見たい。

〔読後のひとりごと〕【究極の免疫力】西原克成 講談社インタ-ナショナル

2006年07月17日 | 2006 読後のひとりごと
究極の免疫力】西原克成 講談社インタ-ナショナル

 7月1日早暁、運ばれた病院で橈骨神経麻痺という病名をつけられた。別名、腕マクラ症候群というようだ。
つまり私の場合は転寝で右腕を圧迫し、右指先が不自由となり、掌がお化けのようにダラリとした症状になって直らない。
救急病院の整形外科医は神経圧迫がとれ神経組織が再生されるまで2~3ヶ月待つしかない、ビタミン12をよくとれとおっしゃった。
発症から今日で15日経った。
だが、症状はほぼ回復した。
数日間は字も書けず、箸もとれなかった右指先がいまでは自由に動き、発症以前とくらべて体、腕、指先とその動きにムリはない。
右腕の圧迫箇所と思われるところは触っただけでビリリとしたがいまは軽い鈍痛に変った。
 この間、なにをしたかといえばブログにも書いたが、ビワの葉温灸で腕の経穴・経絡部位を温めた。
効果がでたので、専門の院を一度だけ訪問し、大枚4000円、45分の温灸をしてもらった。
灸の理論はよくわからないが、少しツボの部位などもかじったこともあったから温灸をするのにはまったくの抵抗感はなかった。
B12を含む食物はよく採っている。
ともかく、1日1ミリ神経が伸び、10センチまでのきたら治るといった整形外科医のご宣託より、わずか15日で元の状態になったということは考えさせられた。
そうした時間のなかで「究極の免疫力」という本に出会い、温灸の合間に読んだ。
 温灸もツボに灸をすることで身体を温める。「免疫力」もつまるところ、腸を冷やさず、冷たいものを食せず、身体をあたため口呼吸をせず睡眠も十分にとれという。
そのすべてが60兆ある人体細胞内のミトコンドリア機能の保全と活性化と深くつながっているから重要と強調されている。
アメーバーにもミトコンドリアがあり、このミトさんは独立生命体に酷似しているとのこと。
からだを冷やすことは強い免疫力を持つミトコンドリアの機能障害を引き起こすということからダメだということが繰り返し強調されている。 もともと人間は体温37度の恒温動物として生きており、身体を冷やしていいことはない。
それを細胞レベルから説いているところが面白かった。
著作ではひとことも敷衍していないし語る世界のレベルが違うのかも知れないが、この理論は鍼灸理論や気功法といった東洋医学やヨガ、足湯健康法などにも力を与えるのではないかと読後に思った。
 経絡、気血の調和や経絡中を流れる栄養物質とミトコンドリアの関連など今後に論証があれば期待したい。
 呼吸と免疫のしくみの解説や内臓脳としての「脳」の捉え方も新鮮だった。
 体内の様々な調節を指揮する司令塔である脳を唯脳至上とせず内臓の系列発展上と脳としてとらえ、神経系、免疫系、内分泌系の相互作用という流れを腸と内臓系、呼吸系のミトコンドリアの働きの役割に置き換えて説いているところにこの本の特徴があるようだ。
 ただ、「すべてはミトコンドリアの機能保全のために」という強調から「究極の免疫力」と題したのはどうだろう。
究極のと断定してしまってよいのか。
「免疫学の個人授業」(多田富雄 南伸坊 新潮社)という本で免疫学の歴史が語られていたが、免疫学は誕生してから50年にも満たないし、いまだ発展途上の分野のようだ。
「究極」といえば、これしかない、あとはないの言い様に聞こえる。
この題名、言いすぎではないか。  

 ともあれ、いまでは両手でキーボードが打ててこの文を書いているし箸も使える。
整形外科医は数ヶ月「待つべし」、自分が選んだのは温灸治療。
読んだのは「究極の免疫力」この相関を考えているうちに橈骨神経麻痺は消えた。
免疫力とは病気を免れる力を言うそうだが、その力にあやかるべく学んで取り入れたい。

 ■■ ジッタン・メモ
 【免疫学の個人授業】多田富雄 南伸坊 新潮社 (2004年11月5日 記)

 来る日も来る日もウサギの鼻孔に卵の白身を流し入れて、自己免疫制止力の実験をしていた東大医学部助手の多田が1971年、抑制T細胞を発見した。
同じ年、南伸坊は美学校で赤瀬川原平から宮武外骨の講義を受けていた。
この2人が授業形式で「免疫」を語っているのがこの本。
自己とは、非自己とはという哲学的なテーゼからはじまって、免疫の仕組みがわかりやすく語られている。
免疫細胞群の多彩な表情がいい。
体内の番犬役でなんでもパクつく大食いのマクロファージー、非自己をみつけるべくパトロールしているやつ、異物侵入に即出動して殺すやつ、その殺傷能力がいきすぎにならないよう監視し報告しているやつ、など免疫の世界でのそれぞれの顔を語ってくれて飽きない。
見上げる空は茫洋としているが、体内の宇宙は自らのからだにあるから興味はつきない。
人類医学の歴史の流れにくらべて免疫学の歴史はまだ浅い。
黄金時代を迎えたのは1970年代からというから驚く。
それにしても免疫を学ぶことは健康への学びにも通じる。
ツボ重視の経絡療法はリンパ液の流れを重視する。
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