日経ビジネス誌2015.6.29号の特集は、「改善」。
イノベーションだ、ビジネスモデルだと喧しい世の中、ニッポン・トラディショナルのKAIZENを取り上げるとは、なかなか素晴らしい切り口です。
最近のイノベーション論は、ほとんどが机上の空論・・・横文字、チャート、美しいスライド・・・怪しいコンサルタントや経営学者が跋扈しています(笑)。
結果論をまとめただけのプアなコンテンツを金科玉条のように崇め、それを後生大事に奉る経営者や社員もいます。
以前あった「改善」と「革新」議論の焼き直しに近い感じです。
つい、
「じゃ、ここで、すぐ、イノベーションとやらを見せてください。」
と質問したくなります。
今から約100年前、米国のテーラーやギルブレスが提唱した科学的管理法が日本に輸入されました。
そこから、上野陽一や荒木東一郎といった能率技師・・・今で言う経営コンサルタントが、「能率」コンセプトと具体的方法論を国内に普及させていきました。
工場で始まった能率運動は、やがて、事務の仕事や役所などに拡大していきます。
そこから、日本の「能率」は、ガラパゴスとして独自の発展をしていきます。
そして、トヨタ生産システム、TOYOTAイズム、リーン生産システムへとつながっていくのです。
その真ん中にあるのが、英語にもなっている「KAIZEN」です。
今週号の日経ビジネス誌では、手垢がつきつつあるニッポンの改善にスポットライトをあて、身近なカイゼン活動を展開していこうと強調。
何と100もの具体的なカイゼン方法を紹介しています。
カルビー、資生堂、花王、三越伊勢丹などの企業事例も取り上げながら、カラーで図解しています。
特に、面白かったのが、コクヨの事例。
さすがは、オフィスのプロです。
社員を行動でパターン分け
改善ボードをオフィス中央へ
通路はあえてゆったり
フリー席からグループ席へ
部長席は固めて配置
部署が一目でわかる目印
午後5時は毎日清掃・・・
最後のセッションでは、「今からできる机まわりカイゼン」をとりあげています。
よく使うものを上の段の引き出しに
書類は立てて収納
目の高さに時計
ごみはゴミ箱の中のレジ袋に
作業スペースは広くとる
気分を上げるグッズを飾る
デスクトップのアイコンは10個まで・・・
ニッポンのイノベーションは、やはり、日々のカイゼンの積み重ねとその突然変異から産まれる、と信じたい土曜日の朝です。